●文:モーサイ編集部 ●監修:鷹橋公宣
配達物を届けている最中なのであろう、カギを着けたまま(時にはエンジンをかけたまま)置いてある新聞配達や郵便配達のバイクを見かけることが珍しくない。「その間に盗まれたりしないのか?」と心配になってしまうのだが、実際に被害もあるようだ。
たとえば、2020年11月、和歌山県和歌山市と紀の川市で新聞配達用バイクが盗まれる事件があった。
盗難されたバイクは行方不明のまま見つからないケースも多いが、この新聞配達用バイクは高架下でカギ付きの状態で発見された。つまり、配達の途中でカギを付けたまま置いてある状態で被害に遭ったと見られている。
この事件では、盗難されたバイクによる交通事故などは起きなかったが、もしその車両が事故を起こし、被害者が出ていたらどうなるのだろうか?
盗難された車両(バイクであれクルマであれ)の持ち主も、カギを付けっ放しにしていたことで罪に問われるのだろうか?
元警察官/刑事の鷹橋公宣さんに尋ねた。
──仮に、カギを付けたままエンジンを切らずに駐車したバイク(あるいはクルマ)が盗まれ、その車両が交通事故を起こしたとします。その場合、持ち主も何らかの責任を問われることになるのでしょうか?
基本的に、交通事故の責任は運転者にあります。運転者以外が交通違反になるのは“無免許/飲酒運転の場合に車両を提供した”や“運転を依頼した”といった場合にのみ限られるので、盗難されたバイクが交通事故を起こしても持ち主に責任はありません。
刑法のどこを見ても、“盗まれた罪”なんてものが存在していないので当然です。
しかし、バイクを盗んだ犯人が事故を起こした場合、持ち主として「なぜ犯人がこのバイクに乗っていたのか?」という事情聴取を受けることにはなります。
その際に「キーを付けっ放しでエンジンをかけたままだった」と言えば、いちおうは「あなたも交通違反の『停止措置義務違反』に当たる」という説明を受けるでしょう。
ただし、盗まれた事情を考えれば、停止措置義務違反であっても切符処理を受ける可能性はほとんどありません……
※本記事は2021年9月28日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
交通取り締まりは「未然に防ぐため」ではなく「違反行為を探して検挙するため」? クルマやバイクで運転中に「なんでそんな所に警察官がいるの?!」という運転者からすれば死角ともいえる場所で、交通違反の取り締[…]
「もしも出先でヘルメットを盗難されたら、自宅までどうやって帰るのだろう」バイクに乗っていると、こうした疑問も浮かぶのではないでしょうか。そもそもヘルメット窃盗犯は、なぜ人が使った中古のヘルメットを狙う[…]
一定以上のスピードの車両を自動的に撮影する「オービス」 結論から言うと、基本的にバイクはオービスに撮影されても捕まらない。そもそもオービスはバイクを取り締まるつもりがない。ただし警察にもメンツがあるか[…]
「一時停止違反」に、なる!/ならない!の境界線は? 警察庁は、毎年の交通違反の取り締まり状況を公開しています。 最新となる「令和3年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等につい[…]
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
最新の関連記事(バイク雑学)
ライダーを魅了してやまない「ハイパーVTEC」 CB400SF(スーパーフォア)に採用されていることでも有名な、バルブ制御システム「ハイパーVTEC(HYPER VTEC)」。この口コミを検索してみる[…]
夏場はサイドスタンドがアスファルトにめり込む危険性あり!いったいどういうこと? 駐車場などに使われている一般的なアスファルトについて、その軟化点は47.0〜55.0℃と言われていますが、夏場の強烈な直[…]
「コスプレとバイク」本編 今回のバイク:Vストローム250とNIKEN Vストローム250はスズキの250㏄クラスのアドベンチャースタイルのバイクです。ガソリンが17L入るタンクやフロントのスクリーン[…]
バイクのハンドルに荷物をかける行為は交通違反? じつは、ハンドルにレジ袋/カバンなどを引っかけて運転する行為は、明らかな交通違反です。 道路交通法第55条第2項には、「運転視野やハンドル操作などを妨げ[…]
キャストでもスポークでもない独自構造のホイール 国産の2輪車にキャストホイール車が登場し始めたのは、1970年代後半のこと。当初は一部の高級モデルにのみ採用されたこともあり、ワイヤースポークとは違う新[…]
人気記事ランキング(全体)
最短2日間で修了可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付を除い[…]
第1作から36年の“時間”も再現! カウルが紫外線で退色し、くすんだトーンだが、じつは緑青を用いたペイント。擦れて色が剥げ落ちた箇所も塗装だ。車体右側のエンジンケースカバーやサイドカバー、マフラーには[…]
【第1位】スズキ SV650/X:110票 ツウにも根強く愛される、スズキのSVが王座に輝きました。もはや貴重となってしまった国産V型2気筒エンジンを搭載するミドルネイキッドは、”ザ・バイク”とも言え[…]
1位:「新型CB400」スーパーフォアルックで2025年秋にデビュー!? ホンダが開発中の新4気筒400ccネイキッド車に関して、スタイリングについて報じた6月の記事が1位。CB400スーパーフォアの[…]
どんなUber Eats配達員でも必ず持っている装備といえば、スマートフォン。これがなければ、仕事を始めることすらできません。 そんなスマートフォンですが、太陽が強く照っている日に使うと画面が真っ黒に[…]
最新の投稿記事(全体)
【第1位】カワサキ Z900RSシリーズ:181票 1000-751cc(大型二輪)クラスでのチャンピオンにも輝いた、Z900RSシリーズが2冠を達成です! やはりその人気は高いものがありますね。登場[…]
2002年、「Vロッド」誕生 2002年式から2017年式まで、ハーレーのラインナップに名を連ねたVロッドシリーズ。その系譜を辿るのも興味深い。現行モデルのパンアメリカ/スポーツスターS/ナイトスター[…]
1位:【2024年5月版】125ccスクーターおすすめ11選! 恒例となっている125ccスクーターまとめ記事の5月版が1位。手軽なサイズで原付一種(50cc以下)よりもパワーがあり、幹線道路でも交通[…]
空冷なのがいかにもホンダ〈CB125〉 ロータリーエンジンを搭載したバイクは、’72年にモーターショーで発表されたヤマハRZ201や’74年に海外で市販されたスズキRE5があるが、ホンダも試作していた[…]
愛知県と岐阜県の境に位置する犬山市には、人気釣りスポットの入鹿池(いるかいけ)があります。バス、ヘラブナなどのさまざまな釣りが楽しめますが、冬季は産卵期で身が一番大きくなるワカサギがおすすめ。釣りごた[…]