【ビギナーQ&A】クルマへの積載はよく見るけど… “三角表示板”ってなに? バイクに必要?

●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
バイクにも積載必須!? “三角表示板”とは?
クルマでは、万が一の事故や故障などのトラブルに備えて“三角表示板”を積載することが推奨されています。三角表示板は、赤い反射板で作られた三角形の器材で、細長く折りたたんで専用のケースで保管するのが一般的です。
バイクはクルマほど積載スペースも広くないため、日常的に三角表示板を積載しているというライダーは多くないでしょう。
しかし、三角表示板については、道路交通法第75条第3節“運転者の義務”に記載があり、“自動車の運転者は、故障その他の理由により本線車道若しくはこれに接する加速車線、減速車線若しくは登坂車線又はこれらに接する路肩若しくは路側帯において当該自動車を運転することができなくなつたときは、政令で定めるところにより、当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示しなければならない”と定められています。
第75条はあくまでも高速道路での走行に限った条文ですが、“自動車”には51cc以上のバイクも該当しており、高速道路本線でバイクを停止させる必要が生じた際には、三角表示板といった“停止表示器”を設置し、バイクが停止していることをほかの交通に認知させなくてはいけません。
一方で、一般道路では、バイクが故障して停車を余儀なくされても三角表示板を設置する義務はありません。ただ、第75条に則るため、少しでも高速道路を利用する可能性がある場合には、メインの走行が一般道路であっても、三角表示板といった停止表示器をあらかじめ積載しておく必要があります。
三角表示板の設置方法は?
では、三角表示板はどのように活用するのが正しいのでしょうか?
まず、高速道路の本線上でアクセルが呼応しなくなったり、挙動がおかしくなったりとバイクに異変を感じたら、左ウィンカーを出して、路肩にバイクを停車させましょう。後方の安全などを確認しつつ、1番左の車線を走行してできるだけ路肩にバイクを寄せて停車します。
街中を走行中、バイクに異変を感じたら左のウィンカーを点灯させ、周囲の安全を確認したのち、路肩に停車させるようにしましょう。そのあとで三角表示板を車両の50m以上後方に設置します。
その後、同乗者がいる場合には、ガードレールの外に避難させます。そのうえで、三角表示板といった停止表示器をバイクから50m以上後方の場所に設置します。設置が完了したらライダーもガードレールの外に避難し、バイクの付近には絶対に残らないようにしましょう。
停止表示器を設置する際は、わずかですが本線上を歩行することになります。周囲の交通に十分に注意し、無理のないタイミングを見計らうようにすることが重要です。なるべく本線上を歩かないよう、ガードレールの外や路肩を利用しましょう。
もし、ガードレールが設置されていない路線の場合には、同乗者と一緒にバイクより後方の路肩へ避難しておくようにしましょう。
身の安全がある程度確保できたら、警察やロードサービスなどに連絡して救助を要請します。もしスマートフォンが手元になかったり、トンネル内で使用できなかったりする場合は、路肩に設置されている非常電話を利用することができます。
非常電話は、高速道路の路肩に1km間隔で設置されており、受話器をとることで高速道路の管制センターと直通で電話が繋がるようになっています。管制センターでは、どこの非常電話から電話がかかってきているかなどが自動的に確認できるため、ライダーのおおよその現在位置も伝達されます。
スマートフォンから連絡する場合は、道路緊急ダイヤルである“#9910”に電話をかけるようにしましょう。道路緊急ダイヤルは24時間いつでも対応しており、事故や故障時の停車はもちろん、道路への落下物などの連絡なども受け付けています。
万が一のトラブルでも正しく停車の処理をおこない、自身や同乗者はもちろん、周囲の交通の安全も確保するようにしましょう。
非常電話は高速道路本線の路肩では1km間隔、トンネル内では200m間隔で設置されています。受話器を取ることでスムーズに管制センターにつながり、おおよその場所も伝達されます。万が一の事故で運転者の気が動転していても、情報が伝わるように工夫されているのです。
バイク専用の三角表示板がおすすめ!
ただ、冒頭でも述べたようにバイクは収納スペースが少なく、「三角表示板といった出番の少ない器材はあまり積載したくない」「そもそも積むスペースがない」というライダーも多いでしょう。
バイクには専用設計の三角表示板を購入するのがおすすめです。バイク用品の開発/販売を行っているコミネやエマーソンといったブランドでは、バイク専用の三角表示板を販売しています。
クルマ用のものに比べて小型で軽量なうえ、小さく折りたたんでコンパクトに収納できるようになっています。また、リアのタイヤに付属させておくことができるタイプもあり、限られたバイクの収納スペースを圧迫しないように工夫されています。
また、停止表示器には三角表示板以外のアイテムもラインナップされており、最近では灯火式の器材も増えています。バイクにも気軽に積載しておけるような小型のライトタイプの停止表示器なども販売されているので、自身の愛車の収納スペースと相談しつつ、購入を検討してみてください。
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