
日欧の主要メーカーが長年支配してきた1000ccクラススーパーバイク市場に、新興勢力のCFMOTOが放ったのが超弩級のV4マシン「V4 SR-RR」だ。自社で完全新設計した997ccの90度V4エンジンを搭載し、中国のテストコースで315.82km/hという驚異の最高速度記録を樹立。量産車初のアクティブ空力デバイスやMotoGP直系の技術を惜しみなく注ぎ込んだ、アジア発の本格スーパースポーツだ。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:CF MOTO
中国国内の最高速記録を叩き出した「V4 SR-RR」
2026年6月15日、中国江西省の上饒(シャンラオ)自動車試験場。そこで中国のモーターサイクル史を塗り替える歴史的な瞬間が訪れた。CFMOTO(シーエフモト)が開発したリッタークラスの新型スポーツマシン「V4 SR-RR」のプロトタイプが、GPS測定による正式なクローズドテストにおいて、315.82km/hという最高速度を叩き出したのだ。
このテストは重慶の国家モーターサイクル品質検査テストセンターや公証人役場が立ち会い、厳格な測定とビデオ記録のもとで実施された。これは、これまで日欧の限られた強豪メーカーだけが到達していた「時速300キロオーバー」の極限領域に、自社設計の完全オリジナルパワーユニットを引っ提げて堂々と足を踏み入れた確たる証明となった瞬間だった。
テストに用いられた車両は量産一歩手前のプロトタイプであり、レース専用のモンスターマシンやドラッグレース用の特殊改造車ではない。日常のストリートや市街地を走る市販車とほぼ同等のパッケージでこの大記録を打ち立てたという事実こそが、このマシンの基本骨格とエンジンスペックが世界一線級のポテンシャルを備えている証だ。
MotoGP直系の逆回転クランク!自社開発90度V4エンジンの咆哮
マシンの心臓部を司るのは、CFMOTOが完全自社開発した997ccの90度水冷V型4気筒エンジンだ。なんと40件以上の特許技術が詰め込まれたこのオリジナルユニットは、最高出力157kW(210馬力以上)を1万5000rpmという超高回転域で発生させる。乾燥重量180kgという軽量さと相まって、レーシングエキゾースト装着時ではあるものの、「0.86kg/hp」という馬力あたり1kgを大幅に下回る強烈なパワーウェイトレシオを実現した。
注目すべきは、MotoGPの最高峰レーサーでもおなじみの「逆回転クランクシャフト」を市販前提車として採用している点だ。エンジンの回転方向をタイヤの回転方向と逆にすることで、加速時のウィリーを物理的に抑制し、コーナーへの進入時にはマシンの軽快なヒラリ感をよりダイレクトに引き出してくれる。
排気系には世界的人気を誇るアクラポビッチ(Akrapovic)製エキゾーストシステムをドッキング。右手をひねると、低回転域ではツインのようにドコドコと粘り強くトラクションを掛け、1万回転を超えた瞬間から、まるでサーキットを駆け抜けるMotoGPマシンのような、甲高く突き抜けるV4特有の咆哮を轟かせる。
出力特性はスムーズで直線的なパワーを意識して調律されており、サーキットのストレートエンドや急な登り勾配でも、パワー不足でもたつくことのない怒涛の加速感を提供してくれる仕様だ。
世界初のアクティブ空力と6軸IMUがもたらす鉄壁の制御
210馬力を超える強大なパワーを、誰もが安全かつスピーディに手なずけるための車体パッケージも一流だ。
最大の見どころは、量産車向けとして世界初となる「電子制御アクティブ・ウイング・システム」の採用だ。通常のスーパースポーツが固定式のウイングを装備するのに対し、V4 SR-RRは走行状態に合わせてウイングの角度を電子制御で可動させる。これにより、加速時には空気抵抗を12%も削減してトップスピードの伸びを最大化し、超高速域からのブレーキングや高速コーナリング時には、フロントタイヤの接地荷重を45%も引き上げて車体をピタリと路面に吸い付かせる。
さらに、車体の姿勢変化を瞬時に検知する 6軸IMU(慣性計測装置)を搭載。コーナリングABSやトラクションコントロールシステムはもちろん、前後連動のe-CBSブレーキやヒルホールドコントロール、さらにはセミアクティブ電子制御サスペンションまでを完全に統合して統制している。
この鉄壁の電子デバイスがライダーの技術を影で支えるため、路面状況を問わずスロットルを開ける恐怖感を劇的に和らげ、コーナーでの安全なライディングをサポートしてくれるというわけだ。
日欧の牙城に迫るバリューを実現した意欲作
さらに高価なカスタムパーツとして扱われていたセミアクティブ電子制御サスペンションや、アクラポビッチ製エキゾースト、そして何より量産車世界初の電子制御可動アクティブウイングを「標準装備」として盛り込んでいる点も魅力。
レースやR&Dに莫大な投資を行う同社の技術的な執念が、このV4 SR-RRという一台の結晶として具現化された。これまで「スーパーバイクは日欧製に限る」と考えていたベテランライダーにとっても、この最先端の空力デバイスとMotoGP直系のV4がもたらす極上のパフォーマンスは、魅力的な選択肢となるはずだ。正式な発売予定の発表が待ち遠しい。
CFMOTO V4 SR-RR SPECS
| 項目 | 諸元 |
|---|---|
| エンジン形式 | 水冷4ストローク90°V型4気筒DOHC4バルブ(逆回転クランクシャフト採用) |
| 総排気量 | 997cc |
| 最高出力 | 157kW(210馬力以上)/15000rpm |
| 変速機形式 | 6速MT(双方向クイックシフター標準装備) |
| 乾燥重量 | 180kg(レーシングエキゾーストキット装着時、計測条件:乾燥重量) |
| 装備重量 | 200kg未満(計測条件:装備重量/Curb Weight) |
| パワーウェイトレシオ | 0.86kg/hp |
| 主要電子制御 | 6軸IMU/e-CBS前後連動ブレーキ/コーナリングABS/トラクションコントロールシステム/クルーズコントロール/VHCヒルホールドコントロール |
| 足回り装備 | セミアクティブ電子制御サスペンション/アクラポビッチ製エキゾーストシステム |
| 空力装備 | 電子制御アクティブ・ウイング・システム(可動式) |
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