
1円で買える(かもしれない)溶接機! ・・・どうです、興味ないですか? 怪しい? ごもっともです。なんたって激安すぎるにもほどがあるシロモノですからして普通に溶接できただけでめっけもの。安かろう悪かろう、安物買いの銭失いになるのかどうか人柱レビューいってみます!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
怪しさ100%夢も100%! ヤフオクで1円で売ってた溶接機
正直に言います。この溶接機、最初から怪しすぎます。スペックはほぼ不明。説明は最低限。ツッコミどころは満載です。・・・ですが、だからこそです。もし、これで普通に溶接ができてしまったら? それだけで、もう“めっけもん”ではないでしょうか。今回手に入れたのは、ヤフオクに出品されていた「1円スタート」の溶接機です。
もちろんオークション形式のため、価格は完全に運まかせ。タイミングと競り合い次第で結果は大きく変わりますので価格の保証などどこにもありません。ですが、現実として本当に運が良ければ、1円で手に入る可能性もゼロではありません。
とはいえ送料は別です。そう言うと興ざめかもしれませんが、直近の落札相場を調べてみるとこれがまた驚きなんですよ。それがコレ。
- 最安:99円
- 最高:7,250円
- 平均:1,118円
平均で見ても1,000円ちょっとです。どう甘く見積もっても、これはもう「異常に安い」と言っていいでしょう。どうです? 送料を入れたとしても興味でてきませんか? うまくすれば缶コーヒー数本分の値段で溶接機が手に入るかもしれない。もちろん「安かろう悪かろう」の可能性は大いにあります。むしろ、オオアリでしょう。
ですが・・・もし“まともに溶接”できたとしたら? というわけで今回は、この正体不明・超激安溶接機にあえて挑んでみることにしました。人柱レビューはじまりはじまり~。
いきなりタイトル詐欺かい?
まずは問題のオークションタイトルから見ていきましょう。「2025最新モデル ハイスペック!半自動溶接機 MMA-500」…をや? さらに説明文には、こうあります。
「100V用鉄・ステン・アルミ対応多機能インバータ直流溶接機」。…おい?? ツッコミどころは山ほどありますが、ここで声を荒らげるのは野暮というもの。そして届いた箱がコレですよ。IGBTが実装されてるかどうかはあとで解るとしても、気になったのはイラスト。
これってば電気溶接ですらない。ガス溶接だし! まったく、もう開封前からワクワクさせてくれますね(フンス!)
いざ開封! はい、知ってた。
付属品は・・・溶接機本体、軍手(?)、革手袋、溶接ブラシ、組み立て溶接面、遮光グラス(樹脂製)、説明書、溶接棒、そしてMMA(アーク溶接)用トーチとアースクリップ。以上です。
「半自動溶接機」を名乗っておきながら、ワイヤ送給装置はありません。専用トーチも、ノズルも、チップもありません。あるのは「溶接棒を咥えて溶接」するアーク溶接(MMA)トーチのみ。
「うん、知ってた」
念のため補足しておくと、一般的に「半自動溶接」といえばワイヤが自動で送られてくるMIG/MAG方式を指します。一方、このマシンの型番はMMA-500。MMAとは「Manual Metal Arc」(手動アーク溶接)の略です。
つまり半自動溶接ではない。アーク溶接機です。溶棒を買えばステンレス溶接はできますが、アルミ溶接はできません。
わかっちゃいたけどやっぱり笑ってしまった。でもでも、そこまで詳しくない方が純粋にタイトルだけで落札していたら完全にアウトなので、マジでご注意ください。繰り返しになりますが・・・これは「2025最新モデル ハイスペック! 半自動溶接機」ではありません!
詳細スペックは藪の中へ
続いて詳細スペックを確認してみます。しかし、説明書を開いてみてもそのような記述は見当たらないのでヤフオクの説明欄から引用しましょうかね。
- 製品モデル:MMA-500
- 製品サイズ:22.7 × 10 × 15cm
…以上! 電流値は? 定格使用率は? 出力は? 一切の記載がありません。
説明書にも具体的な数値がないのでスペックは完全にベールの向こう側、藪の中。溶接機のレビューといえば、サイズから始まって溶接の最大出力や定格出力、使用できる溶接棒の太さなど詳細情報があるものですが、それらも一切ナシ。
すべては使えばわかる・・・とでも言うか? 何アンペア出るのか。そもそも本当に100V用なのか。ここまで情報がないと、むしろ畏怖を覚えます。ナニコレ面白そう。もう、やることはひとつ。実際に火を飛ばしてみるしかありません。
いざ溶接!やってみよう
あ、そうそう。付属品のチェックを忘れてましたよ。溶接トーチは、意外にも「フツー」です。すぐ割れそうというわけでもないし、ホルダーのバネが弱すぎるということもない。ただひとつ気になったのは妙に「ヤレ感」があったことぐらい??さすがに中古品ってことはないでしょうが、なんか小傷があったのは事実です。
むしろ「弱っちい」のはアースクリップ。これは弱い。荒っぽく扱ったら歪みは不可避なので、ちょっと気を付けてあげましょうかね。
興味深いといえば、付属していた溶接用? 手袋。不燃素材なのか? ゴワゴワした布でできた手袋なのですが、なぜか両方とも右手用(!)でした。・・・これは、左右共用なのか、それともホントに右用×2なのか、もはやそれすら判断できません。
なんかもう、アッチコッチに気が散っちゃっていっこも集中できてないですが・・・溶接やってみましょうか。ダメでもともと。まともに溶接できたら、それだけで大金星ってことで!
(嗚呼、ここまで期待値の低い溶接レビューがかつてあっただろうか?)
材料は2.3mmの鉄板。付属の溶接棒で試してみます。
溶接の強さ調整ダイヤルを真ん中にすると表示されたのは「254A」。え、254アンペア!? 最大500Aとか書いてますが本当にそんなパワーでるのかしらん? いやいや、それを判断するのは時期尚早というもの。まずは溶接、やってみましょう! いざ、アークスタート。
「バチッ… バチッ…」
なかなかアークが飛びません。スクラッチの瞬間、火(アーク)が飛びそうなのに飛ばない。もどかしい。こいつはもどかしいぞ! 「バチッ… バチッ… ジュワワッ!」やっとアークスタート!!
・・・と思たら、すぐアークが途切れました。「あぁ、やっぱダメなのかな?」アークスタートができないのは溶接機として致命的。ましてやアークが持続してくれないことには溶接そのものができません。
・・・これはゴミ確定、なのか・・・? ネタとしてはおいしいけど財布的には無駄遣いになってしまうぞ??
溶接棒を変えたら、事件が起きました
ここで試しに、付属の溶接棒を外して国産メーカーの溶接棒に変更してみました。ホームセンターでもおなじみのSUZUKID製。100Vの低電圧溶接でも安定したアークが飛ぶとても信頼のあるブランドです。
頼むよスズキッド! SUZUKID製溶接棒でスタートしてみると・・・「チッ チッ・・・ シュババッ!」あっさりアークがスタートしちゃったよ。
「えっ? 普通に溶接できるんだけど…」拍子抜けするほど普通に溶接できてしまいました。アークはスッと飛び、ビードも滑らか。溶け込みも十分です。溶接ビードを比較してみるとその違いはとても分かりやすい結果でした。
- 付属の溶接棒:溶接棒径が太いわりに、パワー不足でアークが不安定
- 国産の溶接棒:溶接棒径は細いのに、ビードは太く、溶け込み良好
通常、溶接棒が太くなるほど溶接パワーが比例して上がるものなのですが、今回は細いはずのSUZUKID製溶接棒のほうがパワーが出て、むしろ電流を下げなければいけないほどという結果でした!
溶棒1本通し溶接
今度はSUZUKID製国産溶接棒に切り替えて、溶接棒1本をまるごと使ってテストしてみましょうか。
アークスタートから途切れることなく、至ってフツーに溶接。350Aに引き上げて溶接も試してみました。
結果がこちら(↓)
うん・・・普通に溶接、できているね!? アークは安定してるし、ビードは途切れず、溶け込みも十分。正直「あれ?」と声が出るレベルで普通です。
限界テスト500Aの真実
せっかくなので、最強設定も試してみます。ダイヤルをぐるっと回して表示上の最大出力「500A」
今回の溶接条件として、電源は家庭用100Vの20Aブレーカーに接続しています。最強の(表示上は)500アンペアでどこまでいけるか?
いざ、尋常に勝負! ジュワワッ!!
「バッツン!」
はい、ブレーカー発動。結果として、溶接棒を3分の2ほど使ったところでブレーカーが落ちました。
次に設定を落として「350A」表示で再トライすると、今度は落ちずに完走。実際の溶接ビードを見てみると、溶接棒との相性で350Aがちょうどよかった感じでした。とはいえ本当に350A出てるという印象はなく、イメージ的には250Aぐらい(これまでの経験上から判断)でしょうか。とはいえ、この溶接機、ちゃんと溶接ができたという事実、これは確認できました!
まとめ「ダメでもともと」が正解
というわけで、このヤフオク1円スタート溶接機。
- スペックは謎
- 表示アンペアは盛り気味
- タイトルはやりたい放題
- 付属の溶接棒は使い物にならなかった
…にもかかわらず、まともな溶接棒を使えば、普通に溶接できてしまいました。「ダメでもともと」というスタンスでしたがこれほど普通に使えたのは驚きです。
思えば・・・ かつての100ボルト溶接といえばほとんどが使い物にならない(言いすぎかもですが)ほどの技術を要求されるシロモノだったのですが、それから比べるとこの価格でここまでの溶接ができるってのは技術進歩のなせる業なのでしょうか(良い時代になったものです・・・)。
と、いうわけで・・・怖いもの見たさで。運試し感覚で。遊び半分で。そんなスタンスなら、十分に「アリ」な選択肢ではないでしょうか?
本当に運が良ければ、1円で手に入るかもしれない溶接機。さて、あなたならこの地雷、踏みに行きますか?? この記事を読んで(なおかつ動画もご覧になって!)それでも興味あるという方はぜひトライしてみてください~!
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
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