
これまでとはチョイと違うガソリンタンクの錆落としをやってみようか。「溶かす」わけでもなく、化学の力で「変質」させるわけでもなく「電気」の力で「分解」するというもの 。・・・電気の力で分解? 何ソレ面白そう! てことで詳しいことはよくわかりませんがとりあえずやってみましょうかっ!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
有言実行のチャンス到来
さあ有言実行! 予告していた実験をするチャンスがやって参りました。以前、バイク部品のサビを電気の力で分解するという実験をやってみましたが、同じ方法でガソリンタンクのサビを落としたら面白いんじゃなかろうかと思ったのですよ。
いま錆の電気分解がアツい!(個人的に) 「錆落とし」 バイクやクルマのレストアで切っても切れないのが、まさにコレ「錆」との戦いですよね。鉄と酸素が結びつくと錆になる。そのままだとどんどん進行して鉄を侵[…]
なんたって、ガソリンタンクは内側がサビるもの。その中に犠牲電極を入れたら、360度方向の錆分解ができるのでめちゃくちゃ効率がいいんじゃないかと思ったわけです。やばい薬品も使わないから、すごいエコな感じもするしね??(←実はそうではない 詳しくはまた後ほど)
だけど、ネットで調べてもやってる人がほとんどいないんですよね。なんでだろう? 効率的じゃないのかしらん。でもいいのです。やってみたいんだからしょうがない。そんなわけで、今回実際にやってみましょうか!
今回、錆の分解をするのはヤマハポッケのガソリンタンク。しかも2個! 青タンクと黒タンクがあるのですが、まずは青タンクの方から見てみましょうか。
こちらは比較的軽傷なのですが、でも(↓)この状態。
これは何だろう? 茶色いサビの部分と黒い塊?サビというか、タール状の汚れというのか、ガソリンが変質したものなのかなと思ったけど、付着のしかたから考えると腐食の一種とも見て取れますが・・・スミマセン、詳しいことはよくわからないっす。
そしてもうひとつの黒タンクの方は、さらに状況が深刻なのですが、覗いてみると・・・(↓)
はいっ! 期待通りの見事なサビっぷりですね~
サビがうっすら発生してるどころではなくて、もはやつぶつぶの固形物を形成してる有様。こうなるともう最悪ですよね。錆落とし剤を使っても取りきれずに、あとから後からずっと茶色い粉が出てくる負の連鎖パターン。まさにサビの無間地獄。
バチッ! とならないための短絡防止
ここでサビの電気分解のおさらいです。
サビの電気分解とは、サビを落としたい鉄製部品をマイナス極(陰極)、犠牲電極となる鉄をプラス極(陽極)につなぎ、セスキ炭酸ソーダなどを溶かした水を電解液として直流の電気を流す方法です。電気を流すことでサビが変化して剥がれやすくなり、犠牲電極側では鉄の酸化物などが生成されます。
なお、電気分解中は水素などのガスが発生するため、十分に換気し、火気や火花は絶対に近づけないようにします。とくにガソリンタンクで行う場合は、ガソリンを完全に抜き、十分に洗浄して燃料蒸気が残っていないことを確認したうえで作業する必要があります。
ここで問題になるのは、電気を流すということ。ガソリンタンクは鉄製なので、内側はほぼすべて電気が流れます。
つまり、犠牲電極を内部に入れるには、何らかの方法で電気の流れを遮断しなければならないのですよ。非伝導性の入れ物に入れれば短絡はしないけど、それだとサビの電気分解が成立しない。かと言って、むき出しだと接触して短絡してしまう。
この悩ましい条件を満たすために、厚めのネットに入れるとか、犠牲電極の形状を工夫してうまいこと浮かすとか、あれこれ考えてみたのですが・・・ここは文明の利器、3Dプリンターを使ってこんなの作ってみました。
テッテレ~!
犠牲電極のパイプにぴったりはまるC型のリングですね。これをいっぱい印刷して取り付けてみました。
金属の表面を露出させつつ、どう動かしてもガソリンタンクの中で接触しない「ゼッタイ短絡させないマン」仕様です!
ガソリンタンクの給油口にも同様にスペーサーを作ってはめ込んで、鉄パイプをあれこれ向きを変えながらテスターでチェックしてみたら・・・うん、ちゃんと絶縁できてるようです。素晴らしい!
いくぜ! サビの電気分解
そんじゃさっそくやってみましょう。まずは電解液を作ります。
使うのは「セスキ炭酸ソーダ」。水1Lに対して大さじ1弱ぐらいの割合で、ガソリンタンクを満タンにします。「ゼッタイに短絡させたくないマン」仕様の犠牲電極(鉄パイプ)を入れて、最後にもういちどテスターで導通チェック。うん、大丈夫だね!
さて、ここで確認です。絶対に間違えちゃいけないのは、安定化電源をつなぐ電極の向き。
ガソリンタンクにマイナス(陰極)、犠牲電極にプラス(陽極)を接続。
電気の強さは参考にするデータがなかったので、とりあえず12Vの10Aに設定しました。最後に電極をもう一度確認して、ドキドキワクワクしながら、「スイッチオン!」
・・・
・・・
分かっていたけど、ガソリンタンクは外から中の状況を見ることはできないので、何がどうなったのかさっぱり分かりません。
かろうじて給油口から覗くと、何やら対流してるのはわかるんだけど・・・うん、やっぱり状況は不明。ちゃんとサビ落としできてるのか、反応してるのかどうか確信持てないまま、とりあえず15分放置していました。
「腐ってやがる・・・」
とりあえず15分後。盛大に電流が流れていて、まったく反応が途絶える様子はないのですが、どうしても気になるので途中経過を見てみましょうか。
犠牲電極を引き出してみると・・・お?
おおおおおおおおおおぅ!??
なんか大変なことになってるんですが!!!「腐ってやがる・・・」
ガソリンタンクの中を覗いてみても、思わず名台詞が飛び出す始末。つっても早すぎたのか遅すぎたのか、それは分からない。ていうか、これやっちゃってよかったんだろうか??
ガソリンタンクの中が、まさに腐海と化してるよ?
錆電気分解の結果はコチラ
始めちゃったものをやめるわけにもいかず、あと50分電気分解を続けてみました。電源を切って犠牲電極を取り出すと・・・
おっ
ひょっっ
フオオオ(((卍(^ω^)卍)))フオオオ
毒キノコを採取したようです。科学的な知識をまるっきり持ち合わせてないので、一体ガソリンタンクの中で何が起こったのかよくわからないのですが、何がどうしてこうなってしまうのでしょう?
前回もそうだったけど、サビの電気分解と言うから、犠牲電極に同じようにサビが移るだけかと思ったら、そうでもないんだね。ていうか、茶色はわかるけど、何で緑色になるんだろう?
ガソリンタンクの中はもう(↓)コレっすよ・・・
でも、まあ大切なのはガソリンタンクのサビがどうなったかですよね。
電解液を抜いて、内部を水で洗浄して、中身を覗いてみると・・・
おおおおお!!!
なんだろう。いろいろ予想外すぎて、うまいコメントが出てこないんですが。
この黒いのは一体何だろう?こっちのガソリンタンクには黒い物体がなかったので、サビが変質したものか、もしくはサビの下にあったものか、はたまた電気分解の副産物か?何にしても、サビ取りクリーナーで溶かしたのとは明らかに状況が違う感じ。これってば、赤サビから「黒サビ(四三酸化鉄)」への還元転換ってやつかしらん?(詳しくはわかりませんが)
ただひとつ、とても驚いたことは、ガソリンタンクの中を何回すすぎ洗いしても粉サビが出てこないんですよね。普通のケミカルを使ったら茶色い粉が出てくるものですが、それがまったくないとは・・・。
ごめん、ちょっと理解が追いつかない。
青タンクも電気分解やってみたら
謎は残るけど効果があるのははっきり分かったので、今度は青タンクのサビの電気分解をやってみます。手順はまったく一緒。電解液の濃度も同じ。流す電気もまったく同じです。こちらも1時間放置してみました。
さっきの黒タンクほどのサビはなかったし、内部的には多少綺麗な感じだったから、毒キノコや腐海は発生しないかなーと思いながら、犠牲電極を取り出してみると・・・
ファッ!? (゜Д゜;)
黄色、白、そしてやっぱり緑・・・多少程度の差はあれども、やっぱり閲覧注意の域を出ないご様子。う~ん!何がどうしてこうなるんだろう???
でも肝心なのはガソリンタンクの中身ですよね。給油口から覗いてみると。
お?
\( ‘ω’)/ウオアアアアアア!! どーすか! どーですかっ!! 最初へばりついていたサビや黒い物体もろとも、全部剥がれてなくなってるではないですか。
綺麗になると思ってはいたけど、もうここまで効果があったとは。まだ薄ら残ってる感じはあるけども、いや、もうこれなら十分じゅうぶん。そして、こちらのガソリンタンクもすすいでも粉がまったく出ないんですよね。不思議、不思議。
コスト50円のサビ落としはアリか?
というわけで、ガソリンタンクのサビ落としを電気分解でやってみましたがいかがでしたでしょうか。嘘偽りのないリアルなレポートです。
実際やってみた肌感覚としては、これまでのサビ落としのどの方法とも何かが違うのですよね。仕上がりの表面と言うか、ツヤと言うか、溶かされたカンジでもないし、変質したわけでもない。
ていうか、そもそもガソリンタンクの内部のサビを電気分解していいものなのかどうなのか。筆者は科学的な難しいことはよく分からないので、有識者の見解を求めたいところです。
そして気になる方も多いであろう、このサビ落としにかかるコストについてですが、直流安定化電源という道具は必要なものの、その他に必要なのは犠牲電極とセスキ炭酸ソーダだけなので、廃材を犠牲電極に使えば、今回新たにかかったコストは50円でした。
50円でガソリンタンクの錆が落とせるとはね・・・!
ちなみにですが、サビ落としをしてからしばらくたってもサビの再発などは見られてません。とても快適に使っております。もっとも、これはもっと長期的な目線で経過観察はしたいところですけどもね。
ひとつの蛇足で終わってしまうのか、それとも根本的に何かを覆す大きな発見なのか。それは定かではありませんが、錆落としを使わず、2つのガソリンタンクがここまで綺麗になったのは事実なので、その結果をレポートといたしましょう。
いや~それにしても、電気分解めちゃくちゃ面白い。次にガソリンタンクの錆落としをする機会があれば、また電気分解してみたいですね。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました~!
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