FCRユーザー必見! キースターの燃調キット&逆転蘇生キットでスペシャルキャブレターを再生【第2回】

ケーヒンFCRキャブレターは、鋭いレスポンスと高い吸気性能によって長年支持されてきた人気のスペシャルキャブレターです。しかしその性能を発揮するためには適切なセッティングと定期的なメンテナンスが欠かせません。また長年使用されたFCRには、オーバーホールだけでは解決できない経年劣化もあります。それを修復するために開札されたFCR逆転蘇生キットを紹介します。
●文&写真:栗田晃 ●BRAND POST提供:キースター
「キャブボディ摩耗」こそFCRが抱える問題
FCRにはセッティング以外にも、長年使用することで発生する特有の問題があります。それがキャブボディ内部の摩耗です。
FCRのスロットルバルブは、操作抵抗を軽減するために4個の樹脂ローラーを介してキャブボディと接触しています。ところが長期間使用すると、このローラーが接触するキャブボディ側が徐々に摩耗していきます。
摩耗の原因となるのはエンジンの吸気脈動です。アイドリングからスロットル開度1/4程度までは吸入負圧の影響が大きく、スロットルバルブには細かな振動が発生しています。その結果、ローラーが長年にわたってボディを叩き続けることで摩耗が進行していくのです。
そもそもFCRはレースユースを前提として開発されたキャブレターです。高開度域での吸気効率向上を重視しているため、街乗りで多用される低開度域を何万kmも使い続けることは想定されていません。
しかし、現実にはツーリングや街乗りで長期間使用されるケースが多く、結果としてボディ摩耗という問題が表面化するようになったのです。
摩耗が進むとローラーが段差部分を乗り越える際に抵抗が発生し、スロットル操作が重くなります。さらに症状が進行すると引っ掛かり感が発生し、本来の軽快なスロットルフィールを損なってしまいます。
FCR燃調キット&逆転蘇生キット
41φダウンドラフトキャブレター用キャブレター オーバーホール&セッティングパーツセット (TRX850)●販売価格28,600円
燃調キットと後述する逆転蘇生キットを合わせたセット。逆転蘇生キットが必要な場合、燃調キットをセットでなければ購入できない(逆転蘇生キット単体では購入できない)点に注意が必要。
なぜ“逆転蘇生”なのか?
こうした問題に対する解決策として開発されたのが、キースターのFCR逆転蘇生キットです。
スロットルバルブのローラーが接触して摩耗した部分はキャブボディそのものなので、従来は「ボディが摩耗したら寿命」と考えられてきました。もちろん根本的な解決方法はキャブレター本体の交換ですが、FCRは高価なスペシャルキャブレターです。特に4気筒車では交換費用も高額になり、買い替えに踏み切れないユーザーも少なくありません。
そこでキースターが着目したのが、摩耗した部分そのものを補修するという発想でした。ローラーが転がるボディ内部に0.1mmのステンレスプレートを装着し、摩耗によって生じた凹部を覆うことで、本来の転がり面を再構築するのです。
「ボディが摩耗したら終わり」とされてきたFCRを、ステンレスプレートによって再び使える状態へ蘇らせる――。そんな発想から生まれたのが逆転蘇生キットという名称です。寿命と考えられていたキャブボディを再生し、窮地を逆転するアイデアを形にした製品といえるでしょう。
さらにプレート装着による寸法変化に対応するため、スロットルバルブに装着するローラーも専用品を付属しています。加えて純正では1箇所にしか採用されていないボールベアリングを4個すべてのローラーに組み込むことで、フリクションロスを低減しています。
単なる補修ではなく、摩耗したFCRを再び快適に使用できる状態へ導くための専用キット。それが逆転蘇生キットなのです。詳しくは過去に掲載した記事をご覧ください。
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ボディ内側の凹み部分を厚み0.1mmのステンレスプレートでカバーして、新たに設定したローラーとベアリングが転がるのが逆転蘇生キット最大の特長。
逆転蘇生キットには、ステンレスプレートをボディに貼り付けるためのヒノキ棒や、スロットルバルブのローラーを交換するためのオリジナル治具も付属する。
FCR用燃調キットは2種類から選べる
キースターのFCR向け製品には、「FCR用燃調キット」と「FCR用燃調キット&逆転蘇生キット」の2種類が用意されています。
燃調キットには、各種ジェットやニードル類に加え、オーバーホールに必要な補修部品がセットされています。そして燃調キット&逆転蘇生キットには、それらに加えて逆転蘇生キットが加わります。
ここで注意したいのは、逆転蘇生キットが単品販売されていないことです。
そのためボディ摩耗が確認できる場合は、最初から逆転蘇生キット付きのセットを選択するのがおすすめです。
判断方法としては、スロットルバルブを取り外し、ローラーが接触するボディ面を目視確認するのが確実です。摩耗による段付きや凹みが確認できる場合は、逆転蘇生キット付きのセットが必要です。オーバーホールとセッティングを同時に行えば、FCR本来の性能と操作感を取り戻しやすくなるでしょう。
FCR燃調キット
41φダウンドラフトキャブレター用キャブレター オーバーホール&セッティングパーツセット (TRX850) FCR-L41D4●販売価格1万6500円
純正キャブレター用の燃調キットはキャブレター1個ずつで販売しており、2気筒車は2セット、4気筒車は4セット必要となる。だがFCR用燃調キットは1セット1台分の販売となり、TRX850用は1セットで2キャブ用のキットが入っている。
次回はTRX850のFCR41のオーバーホール作業を紹介
前回はキースターのFCR用燃調キットの概要を、そして今回はFCR逆転蘇生キットの概要を紹介しました。
FCRは優れた性能を持つ一方で、定期的なオーバーホールと適切なセッティングが欠かせません。また長年使用された個体では、ボディ摩耗という経年劣化への対処も重要になります。
次回はヤマハTRX850に装着されたFCR41を題材に、FCR用燃調キットを使用した実際のオーバーホール作業を詳しく紹介する予定です。分解時のチェックポイントや消耗部品の交換、さらに逆転蘇生キットが必要かどうかの判断方法についても解説します。
FCRを長く愛用したいライダー、これからメンテナンスに挑戦したいユーザーは、ぜひ次回の記事にも注目してください。
次回はヤマハTRX850に装着されたパワーフィルター仕様のFCR41キャブレターのオーバーホールと再セッティング作業を通じて、キースターのFCR用燃調キットと逆転蘇生キットの実力を検証しよう。
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