
400ccクラスが熱狂に包まれた昭和50年代後半、最後発として登場しながら瞬く間に頂点へと登り詰めたのがホンダCBX400Fだ。空冷4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載し、当時の最先端技術を惜しみなく投入したこのマシンは、単なる移動手段を超えたスポーツ性能を誇っていた。今なお多くのライダーを惹きつける伝説の名車について、その概要とインプレッションを紹介する。
●文:ヤングマシン編集部 ●取材協力:ZEPPAN UEMATSU
後発ゆえの圧倒的完成度。48馬力を誇った最強の4気筒
1981年11月、カワサキ、ヤマハ、スズキに続いてホンダが満を持して放った400cc4気筒モデルがCBX400Fである。最後発ということもあり、新開発のエンジンは空冷DOHC4バルブを採用した超コンパクトな設計で、最高出力は当時のクラストップとなる48psを叩き出した。
外観上の大きな特徴は、かつての「ヨンフォア」を彷彿とさせる、美しくクロスしたエキゾーストパイプだ。これはヨンフォアと同じデザイナーが手がけたもので、車名にある「X」を象徴する造形となっている。さらに、テールカウルに一体化された灯火類など、斬新なスタイリングも相まって、1982年には3万1533台という驚異的な販売台数を記録し、市場のトップに君臨した。
先進メカニズムの塊。インボードディスクとプロリンク
CBX400Fには、当時のホンダが持つ最先端技術が詰め込まれていた。足まわりには、リンク式モノショック(プロリンク)や中空アルミスイングアーム、エア加圧式フロントフォークを採用。ブレーキには、鋳鉄ディスクを内部に隠した「インボードディスクブレーキ」が前後ともに装備されている。
これらの装備は単なる飾りではなく、実際の性能も極めて高かった。当時のSS400やTT-FIIIといったレースシーンでも、CBX400Fは「勝てるマシン」としてその名を轟かせ、1982年シーズンには圧倒的な戦闘力を発揮したのである。ストリートでの扱いやすさと、サーキットに通用する高性能を両立した稀有な一台であった。
【HONDA CBX400F 1981年(昭和56年)11月】初期型にはツートンカラーの他、1万5000円安い単色のモンツァレッドも用意された。
【HONDA CBX400F 1982年(昭和57年)7月】2年目には、写真の青×白カラーも追加され計3色設定に。ホイールは銀だ。
【HONDA CBX400F INTEGRA 1982年(昭和57年)7月】カウル付きモデルとして国内初の認定を受けたモデル。オートキャンセルウインカーも装備。
【HONDA CBX400F 1984年(昭和59年)10月】再生産された2型。白×赤のほか、黒×赤も用意。ブラックコムスターホイールが特徴。
「エンジンはシャープで車体はカチッとしている」
テスターの丸山浩によれば、同時期のライバル車であるXJ400Dと比較しても、CBX400Fの走行性能は歴然としていたという。スペック上はわずか3馬力の差だが、実際に乗ってみるとパワーの差は歴然で、エンジンはとてもシャープかつ軽快に吹け上がる特性を持っている。
車体に関しても、ツアラー然としたゆったり感のあるXJに比べ、CBXは剛性感が高くとてもカチッとした乗り味である。また、特徴的なインボードディスクブレーキについては、初期タッチからスッと効き始める独特の好感触があり、現代のブレンボ製ブレーキにも通じるようなコントロール性の良さを備えている。
レーサーレプリカ時代の先駆けとなった存在
CBX400Fの登場は、その後のバイクシーンを大きく変えるきっかけとなった。このマシンの高いスポーツ性は多くのライダーをサーキットへと向かわせ、のちのレーサーレプリカブームを牽引する第一の立役者となったのだ。
軽快に回るエンジンと、意のままに操れるカチッとした車体。丸山は「もし当時XJではなくCBXに乗っていたら、もっと早くレースの世界に入って世界グランプリを目指していたかもしれない」と語るほど、その走りの完成度を高く評価している。単なる旧車としての価値だけでなく、スポーツバイクの原点としての魅力が、この一台には凝縮されているのだ。
動画インプレはこちら
あの頃の中型#4:XJ400D & CBX400F試乗インプレッション
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
高機能な開発の傍らでマイノリティ好きな感性のファンにも応えるカワサキ! 1985年、カワサキはライバルたちのレーサーレプリカに迎合しない、フルカバードボディのGPZ400Rをリリースした。 ただ驚いた[…]
RCBテクノロジーを継承し誕生したCB900F CB750FOURの登場から10年ライバル車の追撃から復権するためホンダが選択したのは耐久レース常勝のワークスマシンRCB1000の心臓を持ち既存のバイ[…]
大型バイクと違って400ではカウル装着に人気がいまひとつ! 1979年にデビューしたカワサキZ400FXは、ホンダCB400フォアから久しぶりの4気筒で、しかもDOHCと頂点テクノロジーを搭載していた[…]
インライン4の元祖CB750Fは第3世代で原点追求に徹していた! 1983年12月、ホンダはナナハンでは5年ぶりの直4NewエンジンのCBX750Fをリリースした。 当時のホンダはV4旋風で殴り込みを[…]
400ccでも360°クランクが路面を蹴る力強さで圧倒的! 1982年にVF750SABRE(セイバー)とアメリカン・スタイルのMAGNA(マグナ)でスタートしたV4攻勢。 当時は世界GP頂点が500[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
RCBテクノロジーを継承し誕生したCB900F CB750FOURの登場から10年ライバル車の追撃から復権するためホンダが選択したのは耐久レース常勝のワークスマシンRCB1000の心臓を持ち既存のバイ[…]
これまで以上に万人向き、さらに気軽な乗り味に! 10月上旬の全日本ロードレース選手権第6戦では、フル参戦しているJ-GP3クラスで3位を獲得。今季2度目の表彰台に立てたのですが、そのちょっと前に、かつ[…]
理想のスタートダッシュを決める「購入サポートキャンペーン」 Hondaでは「Rebel 250 E-Clutch」および「Rebel 250 S Edition E-Clutch」の新車成約者を対象に[…]
終わらないハンターカブの進化と魅力 2020年の初代モデルの登場以来、CT125ハンターカブの魅力は留まることを知らない。 先日発表された2026年モデルでは、初代で人気を博した「マットフレスコブラウ[…]
ライター中村(左)とカメラマン柴田(右)で現行と初代のGB350を比較 予想以上に多かったGB350の初代と2代目の相違点 「あら、エンジンフィーリングが変わった?」2025年9月、車種専門ムック「G[…]
人気記事ランキング(全体)
高いコスパと「旅」をテーマにした日常着としてのデザイン 『葬送のフリーレン』は、魔王を倒した勇者一行の後日譚を描くファンタジー作品だ。主人公のエルフ・フリーレンが、かつての仲間との約束を果たすため、あ[…]
YKKと組んだ“固定力革命”。ねじれに強いPFバックルの実力 今回のシェルシリーズ刷新で最も注目すべきは、YKKと共同開発したPF(ピボットフォージ)バックルの採用だ。従来の固定バックルは、走行中の振[…]
街中の視線を独り占めする「愛おしいデザイン」 coffret(コフレ)の最大の特徴は、その名の通り「小箱」のようなコロンとした愛らしいフォルムだ。全長約2.1m、幅約1mというコンパクトさは、見ている[…]
現行2025年モデルの概要を知るなら… 発売記事を読もう。2025年モデルにおける最大のトピックは、なんと言っても足つき性を改善した「アクセサリーパッケージ XSR125 Low」の設定だ。 XSR1[…]
ガソリン代の悩みから解放される「圧倒的な経済性」 まずビベルトラックで注目したいのが、日々のランニングコストの安さだ。 昨今のガソリン価格高騰は、業務や生活で車を使わざるを得ない人々にとって死活問題。[…]
最新の投稿記事(全体)
Y’S GEARの新作コレクション バイクメーカー・ヤマハのノウハウを惜しみなく投入するY’S GEAR(ワイズギア)から、2026年モデルの新作コレクションが届いた!今年はオリジナルヘルメット3型を[…]
最新モデルについて知るなら…最新モデル発売記事を読もう これから新車での購入を考えているなら、まずは最新の2026年モデルをチェックしておこう。W800の2026年モデルはカラーリングを一新し、202[…]
伝説の始まり:わずか数か月で大破した959 1987年11月6日、シャーシナンバー900142、ツェルマットシルバーの959はコンフォート仕様、すなわちエアコン、パワーウィンドウ、そしてブラックとグレ[…]
ワークマンプラス上板橋店で実地調査! 全国で800を超える店舗を展開。低価格でありながら高機能のワークウエアを多数自社ブランドにてリリースし、現場の作業着のみならずカジュアルやアウトドアユースでも注目[…]
ライディングの「固定姿勢」によるコリを狙い撃つ バイク乗りなら経験しがちな、ツーリング後の身体の悲鳴。ヘルメットの重みで張る首筋、前傾姿勢で固まる背中、ニーグリップで酷使した太もも。楽しい時間の裏側に[…]
- 1
- 2




































