
東京オートサロン2026の会場において、実用性の高さで来場者の足を止めていたのが、日本精機が展開するBtoCブランド「moado(モアド)」の第1弾プロダクト、後付けヘッドアップディスプレイ(HUD)「LumieHUD(ルミエハッド)」。純正HUDで世界屈指のシェアを誇る同社のノウハウを凝縮しており、シンプルながらドライバーの「視覚的負担」を劇的に軽減するお役立ちアイテムなのだ。
●文:石川順一(ヤングマシン編集部) ●写真:石川順一/日本精機 ●外部リンク:日本精機
USB給電で「置くだけ」の簡単導入を実現
LumieHUDの設計において徹底して貫かれているのは、ユーザーの利便性だ。電源は汎用性の高いUSB(Type-A)給電を採用しており、シガーソケットから変換アダプターを介してスマホを充電する現代の利用スタイルに最適化。特別な工具や技術は不要で、ダッシュボードに置くだけで即座に使用可能というカンタンさなのだ。
機能としてもシンプルで、透明なスクリーン上に走行速度が表示されるだけ。それでも、スピードメーターを確認するために視線を下げる必要性を減らしてくれるというメリットは大きい。都市部や山間部でのGNSS受信状況に左右される面はあるものの、目の前の道路から視線を外さずに自車の速度を確認できるため、ドライバーの安全性を大きく向上させてくれるのだ。
視認性確保のためにこだわった「焦点距離」
開発時にもっともこだわったというのが、表示が「奥に見える」という光学設計だ。一般的なメーターを確認する場合、視線は前方から手前の計器類へと下がり、さらにピント(焦点)を近くに合わせ直す必要がある。しかし、LumieHUDはドライバーの視点から約1500mm先に虚像を表示させる設計となっており、道路を見たままの焦点距離で情報を把握できる。
これはとくに、加齢によりピント調整に時間がかかるようになった高齢ドライバーにとって大きな助けとなる。焦点が合うまでの「ボヤけた時間」を排除し、瞬発的な判断力を維持することが可能だからだ。実際に車内で確認すると、人間の目はうまく奥の表示を捉えることができ、カメラ越しでは伝えきれないほど自然に進行方向へ数字が浮かび上がる。
ガジェット感を排したデザインと多彩なカラー展開
これまでのカーアクセサリーは「オールブラック」の無骨な印象が主流だったが、LumieHUDはあえて丸みを帯びた造形と柔らかなカラーバリエーションを主にすることで、新たなユーザー層を狙っている。当初はブルー、グレー、アイボリーの3色で展開し、2025年にはユーザーの要望に応える形でシックな「オールブラック」や、雪景色をイメージした「スノーホワイト」が追加された。
さらに、2026年春には新色「サクラピンク」の投入も予定。こうしたカラー展開の背景には、軽自動車や小型車に乗る女性や初心者といった、これまでHUDに馴染みがなかった層へ普及させたいという強い想いがあるという。カフェのようなインテリアにも馴染む質感を追求しており、ガジェット特有の威圧感を感じさせない仕上がりだ。
純正HUDのノウハウを凝縮した思い切りと今後の展開
日本精機は、メルセデス・ベンツSクラスに採用されるAR(拡張現実)対応HUDなども手がけるプロフェッショナル集団だ。そんな彼らだからこそ後付けHUDとしての限界を見極めつつ、リッチなコンテンツに走るのではなく「速度表示のみ」「USBで簡単に使える」という必要十分な実用性に特化することができたのかもしれない。
現在は車速表示(km/h)がメインだが、現場ではナビ連動などのアップデートを望む声も上がっており、今後の展開が検討されている。価格は2万2000円(税込)で、公式ECサイトや全国のカー用品店で購入可能だ。動作温度範囲もマイナス30度から60度まで対応しており、過酷な車内環境に耐えうる信頼性は計器メーカーならではの強みだ。
視認性という走りの基本性能を底上げするこのデバイス、これからのドライブのお供に導入してみては。
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