
EICMA 2025では日本/欧州/北米メーカーと並んで中国/インドのブランドが存在感を増し続けている。ブースの大きさや注目度いおいて主役級として肩を並べる彼らの現在地を、現地取材に赴いた河野正士さんにレポートしてもらった。
●文/写真:河野正士(ヤングマシン編集部)
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自社だけでなく往年の欧州ブランドをも束ねる
いまや中国ブランドとインドブランドは、世界の二輪市場のなかで欠かせない存在となってきた。EICMAで彼らの動きを定点観測していると、それを強く感じる。今年も、中国ブランドは強い存在感を見せていた。自社ブランドに加えベネリ/モルビデリ/Keewayの各ブランドを束ねるQJ Motorグループや、VOGEブランドを独立させて展開するロンシンは大きなブースを展開し、ニューモデルに限らず自社開発の多様なエンジンを展示していた。また近年急速に勢力を拡大しているCF MOTOもニューモデルが大きな注目を集め、欧州や日本のブランドと変わらぬほどの賑わいを見せた。ダカールラリーやスーパースポーツ300世界選手権(WorldSSP300)クラスで活躍するKOVEも同じだ。
インド・ブランドは、その影響力も戦略もパワフルになってきた。ロイヤルエンフィールドはすでに大きな存在となっているが、インドの巨大二輪車ブランドHero Motoもブースを展開し、じりじりと世界戦略を練り上げているようだし、今年はノートン・ブランドを展開するTVS Motorが自社およびノートンを引っさげてEICMAに初参加した。またBSA Motorcycleブランドを持つクラシック・レジェンズ社はマヒンドラ傘下であり、BSAブランドの再構築に乗り出すとともに、EICMAで新型車のコンセプトモデルを発表した。2025年に起きたKTMグループの出来事は、インドの巨大グループBajajがそれを収めた。EICMA2025にはKTMグループもBajajもブースを展開していなかったが、KTMグループの小排気量モデルの開発や製造を担っていたBajajが経営権を握ったことで、今後はKTMグループの各ブランドに対して大きく関与してくることは間違いない。
製造インフラから二輪車市場を牽引する立場へ
彼らは単に、自国二輪車市場で大きなシェアを持っているだけではない。TVSやロンシンはBMWと、CF MOTOはKTMグループと、QJやHeroはハーレーダビッドソンと、それら欧州や北米ブランドと組んでエンジンや車体の開発を行い、エンジンや車両の生産も担っている。そして彼らは欧州や日本ブランドのデザインを手がけていたデザイン会社と提携して車体デザインを行っていたり、各ブランドの元デザイナーたちを引き入れ欧州に自社のデザイン部門を設立したりしている。
そう、彼らは欧州ブランドや日本ブランドと変わらぬ立ち居振る舞いでEICMAに立ち、そのなかのいくつかは欧州や北米、ASAN地域の二輪市場で、すでに存在感を高めている。EICMAや国際試乗会で他国のジャーナリスと話すと、必ずと言っていいほど、それら新興ブランドの日本での反応を聞かれるし、ほとんどのブランドが日本には販売チャンネルを持っておらず、または持っていても販売モデルを限定して活動していることを伝えると、日本は4メーカーのお膝元で、そういった状況は理解できるよ、と答える。しかし彼らの自国では、そういった新興ブランドの存在感が年々増していて、ユーザーからの注目度も高いと話す。
トップメーカーに引けを取らない規模のCFMOTOブース。
ほんの少し前までは、どこかで見たようなデザインであったり、コストコンシャスなディテールで構成されたモデルであったりがブースに並べられていたそれらのブランドは進化し、いまや押しも押されぬEICMAの確たるコアブランドに成長しているし、EICMA後の各国メディアの報道状況を見ていても、そのコンテンツボリュームは日本や欧州のブランドに引けを取らない。
またこれまで中国は、世界の二輪車市場における製造インフラであった。しかし、そこで地力を付けたいくつかのブランドが、いまや二輪車市場を牽引している。またインドは世界の二輪車メーカーに強い影響力を持つ巨大なマーケットを有しており、インドでの成功は二輪車メーカーにとって不可避の課題だ。500ccモデルを中心にしたモデルラインナップの充実は、その表れだ。そしてEICMAで垣間見られるインド・ブランドの新しい世界戦略は、そのレッドオーシャンで鍛えられた体力と自信に裏打ちされている。
個人的には、その新しいプレーヤーたちによって二輪市場が活性化することを大いに楽しみにしている。この混沌とした二輪市場からどんなニューモデルが出てくるのか、またどんなビジネスモデルが構築されてくるのか、楽しみでならない。
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