
初代BIG-1ことCB1000SFから、33年の長きに渡りホンダネイキッドのフラッグシップとして君臨してきたCB1300シリーズが、いよいよ生産終了を迎えた。CB1000Fの正式発表までカウントダウン状態と思われる今、BIG-1と共に数々の伝説を残し、現CBアンバサダーとなった丸山浩が、なぜBIG-1を愛してやまなかったのか述懐する。
●まとめ:宮田健一 ●外部リンク:ホンダ
CBで戦うことにロマンがあった
’91年の東京モーターショーに参考出品されたCB1000SFのプロトタイプを見たときは、純粋に「カッコイイ!」と衝撃を受けた。そして’92年に市販版が出るや早速手に入れ、最初はツーリングメインで楽しんでいたんだ。
TOFで伝説的な強さを誇った丸山浩のWITH ME・CB1000SFも最初は自走で参戦。まだカラーリングもノーマルだった。
そのうち「こんな大きいバイクでレースをやったらもっとカッコイイよね」と仲間内と盛り上がった勢いでTOF=テイスト・オブ・フリーランス(現テイスト・オブ・ツクバ)に挑戦。なんと初戦は自走で行ったんだ。現地で保安部品を外してレースだなんて、いかにも草レースらしい楽しみ方でしょ。
で、戦ってみるとそこはプロレーサーの私。中途半端じゃ気が済まず、本気になって続けていくことになった。当時のTOFはXJR1200の戸田隆やミハラスペシャリティのGPZ900R、そして私のCB1000SFが3強と呼ばれ、毎回バチバチの激戦。そのうち私の活躍に感化されてCBで参戦する他のライダーも増えていった。
残念なのはそうした彼らが長続きしなかったことだが、それについては仕方がないことだった。単純にリザルトのみを求めるなら、もっと楽に速く走れるマシンがあったんだもん。いや、ホントにCBで勝つのは大変だったんだ。XJRにしたって排気量が200ccも違ったからね。
TOF最強の初代BIG-1【’92・CB1000SF(SC30)】初代BIG-1ことCB1000SFは、998cc直4にダブルクレードルフレーム+2本サスでビッグNKブームを牽引。’93からTOFに参戦した丸山浩の走りはCB乗りたちの憧れに。
でも、私は大好きなCBにこだわった。CBで勝つために毎戦ごとに仕様を変えてたよ。もうリヤサスなんて何本換えただろう。フロントフォークはHRCキットを入れたRC30用がベースだったな。マフラーもサーキットではエキパイがどうしても擦っちゃうし、パワー特性を含めて結局は自分で納得いくものを作ってしまった。
【’98・初代CB1300SF(SC40)】’98発売の初代CB1300SF(SC40)。排気量は1284ccでRサスのダブルプロリンク機構がユニークだった。マフラーは左右2本出し。車重273kg。
そしてコースレコードも打ち破り、やれるとこまでやり切り3連勝したところでCB1000SFによるTOF挑戦は終了したんだ。
次にBIG-1は’98年に初代1300のSC40型に進化した。最初は排気量もアップしているし、これで再びレースか! と思ったんだけど、当時のビッグネイキッドはとにかく重厚長大がもてはやされた時代でバランス的にスポーツ性は二の次。だからウィズミーでのチューンもストリート向けに留まっていたよ。
SC54の登場で再びレースに挑戦
SC40もリヤサスのダブルプロリンクは理論的には優れていたんだ。1000時代は奥で踏ん張ってタイヤをグリップさせるためにスプリングをダブルレートにしたりなど苦労したけど、それをリンクのプログレッシブ効果で解消しようという……。だが、いかんせんSC40は車重が重すぎて活かしきれなかったんだ。
そんな反省もあったのか、CBは再びスポーツ性を手に入れた。今回のファイナルエディションまで続くSC54型だ。そのデカさとスポーツ性のバランスの良さはご存じのとおり。
個人的にニンマリしたのはエキパイの集合方式だった。4-2-1ながら1-4番・2-3番を最初につなぐのは、私が1000SF用に作ったマフラーと同じ。1-2番・3-4番をつなぐノーマルマフラーに対しレースで勝つため試行錯誤して作り出したもので、ホンダの開発者も参考に購入していたという裏話も。実車を前にやっぱりスポーツ性を求めるならあれが正解だったんだと思った記憶がある。
かくしてSC54でレースマシンを作り、もう一度TOFに挑むことに。初戦で2位と好調な滑り出しとなった。ほどなくホンダがこのSC54で鈴鹿8耐に挑戦することになり、なんとライダーに私とエイミングスポーツの前田淳(故人)が選ばれることに。
【’03・2代目CB1300SF(SC54)】車重254kgと大きく軽量化したSC54型は’03デビュー。翌’04には開発陣自らがチームを作って鈴鹿8耐に挑戦。CB乗りたちのロマンに応えて見せた。
ファイアーブレードなど並みいるスーパースポーツ相手の戦いはなかなか難しく、決勝は追突されるなど結果は不本意だったが、カウルの付いたその姿がその後に100台限定のドリームスペシャルやスーパーボルドールへとつながったのだから、あえてCBで挑むというロマンはファンにしっかり届いたと思う。
現在、自分のSC54レーサーはエンジンをノーマルに戻して、マル耐など主に草レースを楽しむ仕様に。自走の1000SFでレースに行った初心の頃を忘れず、CBファンとロマンを分かち合っている。
今は初心に帰って楽しむ!
CBファンたちと走りを一緒に楽しむために今はノーマルエンジンに戻したSC54レーサー。自走で行った約30年前と思いは同じだ。
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