
ホンダはEICMA 2024で電動過給機付きV型3気筒エンジンのプロトタイプを公開。世界中で話題を呼び、2月には英国で「V3R」の商標が出願されたことで車名の候補が明らかになった。大阪・東京・名古屋モーターサイクルショーでも展示予定だが、ここへきて北米で2種類の商標が出願されたことがわかった。
●文:ヤングマシン編集部 ●イメージCG:SRD
その名も「V3R」と「V3R E-COMPRESSOR」だ!
ホンダが全く新しい4ストロークV型3気筒エンジンのコンセプトモデルを公開したのは、2024年秋のEICMA(ミラノショー)でのこと。かつてホンダ2ストロークで存在したV型3気筒エンジンという形式が復活するだけでなく、電動過給機「E-コンプレッサー」というアイテムを投入したことで大きな話題になった。
今も出力や排気量などすべては謎のままだが、大阪・東京・名古屋モーターサイクルショーに出展されることで興味を持っている方も多いだろう。
排気量については、2027年からMotoGPマシンのレギュレーションが変わることにちなんで850cc前後じゃないか、といった話もあるが、あくまでも噂にすぎない。
2025年2月には英国で「V3R」という商標が出願されたことが明らかになり、これが新しいV型3気筒エンジンを搭載したマシンの名称になるのでは、と想像力をかき立てた。
ヤングマシン編集部ではこれを受け、レーシングマシン的な車名「RC-V3R」を提案。さらに、このV3+電動ターボで鈴鹿8耐のエクスペリメンタル(EXP)クラスに出場というビックリ計画をブチ上げた。
EXPはエンジンやフレーム、外観まで、ざっくり言えば何でもOKなプロトタイプクラス。昨年はスズキが参戦し話題になったのは記憶に新しい。ホンダV3もまだまだ開発途上と言うのならば、いっそ決勝はターボOFFの自然吸気で走らせたっていい。その代わり予選に全振りし、超ハイブーストの一発仕様でファクトリーRR-Rをストレートでブチ抜く……。そんなストーリーがホンダのホーム・鈴鹿で紡げたら、もう浪漫しかない。
趣味性の塊!! 2輪世界初の電動過給機+75度V3
【V3 E-COMPRESSOR[コンセプトモデル]】ホンダが約40年ぶりに手掛けるV3に、モーターでコンプレッサーを回す電動過給器を合体。4輪では電動ターボとして既に市販化されている技術だが、2輪では世界初。想定は大型バイクだが、V3の利点を活かした200㎜幅のリヤタイヤとほぼ同等の超スリムな車体もアピール点Vバンク角は75度とされている。写真は大阪モーターサイクルショー出展時のもの。
ピーキーもフラットも出力特性は自由自在
電動過給機はエンジン回転と無関係に出力特性を作り込めるのが美点で、搭載位置の自由度も高い。今後の課題はモーター用の冷却系や電気系(高電圧回路+バッテリー)の配置か。V3エンジンは75度のバンク角にポイントがありそうだ。
そして3月下旬、北米で「V3R」と「V3R E-COMPRESSOR」という2種類の商標が出願されたことが判明した。後者のネーミングが初出になり、EICMA 2024で出展された際の「V3 E-COMPRESSOR」ではなく“R”が付いて「V3R E-COMPRESSOR」になっているのがポイントだ。
過給機あり/なし、どんな乗り味になる?
2種類の商標が想像させるのは、電動過給機を搭載するバージョンと非搭載NAバージョンが存在するということ。
つまり、
自然吸気(NA):V3R
電動過給機付き:V3R E-COMPRESSOR
という棲み分けになる。
本当に2種類あると想定した場合、きわめてコンパクトなV3エンジンなので、NA版であればミドルクラス(650~850ccあたり)の他車と比較しても、かなり軽量コンパクトなマシンになりそうだ。
ちなみにではあるが、VFRではなくV3Rになるのは、
V型2気筒=V-Two →VT
V型3気筒=V-Three→VT
V型4気筒=V-Four →VF
とすると2/3気筒ともに『VT』で被ってしまうためV3にしたのでは、と考えるのが自然だろう。
閑話休題。
そして「V3R E-COMPRESSOR」である。こちらはミドルクラスの排気量に1000cc並みのパワー&トルクを持たせるのではと思え、ニンジャ1100SXなどのスポーツツアラー方向か、それともRC-V3Rとブチ上げたようなスーパースポーツになるのか……。
これまでのホンダ車の流れでいえば、最新テクノロジーを投入するのはVFRシリーズという時代があり、その延長線上に来る可能性も高い。となれば、「V3R〇〇F(〇=排気量)」といったスポーツツアラーとして誕生するかもしれない。
そして、軽量ハイパワーを生かしたスーパースポーツ路線も期待せずにはいられないだろう。なにしろ、上記VFR系にはかつてVFR750(RC30)やRC45といったスーパースポーツが存在したほか、2気筒のVTR1000FにもVTR1000SP1/2という兄弟車があった。
これらを電動過給機のあり/なしで造り分けるのか、それともバリエーション展開する中にそれぞれ電動過給機あり/なしが存在するのか、興味は尽きない。
VFR/VTRには2バージョンあった
※VFR1200系にはクロスオーバーのVFR1200Xも存在した
走行可能な車両はすでにある!
最後に、各所で取材して得た「V3Rの乗り味」についてお伝えしよう。
まず、2025年1月28日に開催されたホンダ二輪事業の説明会では、二輪・パワープロダクツ事業本部長の加藤稔氏が市販化について「内燃機関領域の新たなチャレンジと位置づけており、モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感できることを目指している。走りだけでなく、燃費、排ガスにおける高い環境性能も実現しており、量産化に向けて開発を進めていくのでご期待ください」と述べている。
さらに、さらに、質疑応答でより詳しくV3ターボの説明を求められた加藤氏は「電動ターボは先々週、熊本でテスト車に乗りました。いい出来です。ご期待下さい(笑)。具体的な排気量は言えないが、コンパクトなエンジンとコンパクトなボディで、軽量でありながら全領域で電子制御による過給ということで、とてもパワフルな仕上がりになっている。まだテスト車だが、これから目標に向かって引き続き本気で開発していく」とも発言した。
このほか、モーターサイクルショーなどで嗅ぎまわってきた情報によれば、電動過給機には専用のバッテリー(12Vではない)を搭載する必要があり、それが車重増に繋がるのは間違いないのだが、それを含めても同クラスのスポーツバイクより軽いとのこと。これはエンジン本体がコンパクトなだけでなく、過給機も小さく、またバッテリーはリチウムイオンなどで軽量コンパクトに収めているということだろう。
また、当然かもしれないが、やはり3気筒なので2気筒と4気筒の中間的なパルス感になるという。市販車として世に出てくる日が楽しみだ。
次ページでは、妄想たくましいヤングマシンスクープ班が、V3エンジンで鈴鹿8耐を走るというイメージを膨らませ、予想CG「RC-V3R」を制作してみた。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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