全日本ロードレース選手権、2025年シーズンの暫定カレンダーが発表された。今シーズン、低い気温から転倒者の多かった3月の2&4開幕戦を来年も同様のスケジュールとし、一方で全クラスが開催されるのは5月から。年間のレース数もクラスによってバラバラだ。ライダーやチームスタッフの育成を考えると──。
●文/写真:ヤングマシン編集部(佐藤寿宏)
参加者が減ればレースは先細りに
先日、来年のカレンダーはどうなる? と書いた直後に2025年シーズンの暫定カレンダーが発表されました。それによると今年同様、3月アタマに鈴鹿2&4レースで開幕。第2戦もてぎも2&4となり、序盤2戦はJSB1000クラスのみ。5月の第3戦SUGOでようやく全クラスが開催されることになっています。ST1000クラスとST600クラスは、前半戦はこの1戦のみ。第4戦筑波のJ-GP3クラスが2レース開催になったのは、よいことだと思いますが、シリーズ戦として考えると微妙なところです。レースが少なければレース感も育たないですし、これだけ間が空いてしまうとライダーを始めメカニック、スタッフの育成にも不向きな環境と言わざるを得ないでしょう。
エントラントは、それぞれ本当に頑張っていますし、危機感をもって走っています。事前テストが前週に行われていますが、他に仕事を持っている人が大多数を占めているだけに、メーカーテストをレースウイークの木曜にしてレース数を増やすことはできないでしょうか? J-GP3クラスのエントリーは減っていますし、現状のチャレンジクラスよりも、アジアタレントカップを目指す若手ライダー育成を考えたカテゴリーを考えるのもありでしょう。J-GP3クラスは地方選手権でも開催し、国内、国際ライセンスを混走するようにしてレース数を増やす方法もあるでしょう。エントラントがいなくなってしまえばレースはできないわけですし、エントラントがやりやすい方向を探っていただきたいものです。
岡本裕生の速さが目立ったオートポリス
さて、もてぎ2&4レースで水野涼+ドゥカティが初優勝を達成し、シーズンの流れが変わるかと思われましたが、オートポリスでは、ヤマハファクトリーの岡本裕生が速さを見せ始めてダブルウインを達成。両レースとも中須賀克行に付け入るすきを与えませんでした。中須賀は両レースとも2位となり、水野はレース1では3位に入ったものの、レース2では転倒、再スタート後20位とノーポイントに終わりました。これで暫定ポイントランキングは、中須賀が176、岡本が163、水野が133となり、シリーズチャンピオンは、ヤマハファクトリーの2人に絞られて来ました。
ノビしろのあるドゥカティ+水野
第7戦岡山の公開テストでは、岡本が好調を維持。中須賀も僅差で続き、一歩置いてAstemo Honda Dream SI Racingの野左根航汰とドゥカティの水野と続いています。今回も岡本と中須賀のヤマハファクトリーに野左根と水野が、どう絡んでいけるか!? オートポリスは苦戦した水野ですが、岡山は、まだまだノビしろがありそうです。真っ向勝負を仕掛けていけるか楽しみなところです。
オートポリスで今季初表彰台に上がった日本郵便Honda Dream TPの高橋巧、桜井ホンダの伊藤和輝、SDG Honda Racingの名越哲平、AutoRace Ube Racing Teamの津田拓也も調子を上げて来ており上位に顔を出しそうです。
ARRC ASB1000とダブルタイトルが現実味を帯びてきたST1000國井勇輝
ST1000クラスをリードする國井勇輝は、第6戦オートポリス、アジアロードレース選手権(ARRC)と連戦をこなし、心身の疲れは否めなかったが公開テストでもトップタイムをマーク。暫定ランキング2位のKawasaki Plaza Racing Teamの岩戸亮介とは現在23ポイント差。28ポイント差をつければ最終戦を待たずにシリーズチャンピオンを決めることができます。今回もAstemo Honda Dream SI Racingから渡辺一馬の代役として羽田太河が出場。公開テストから速さを見せており、國井にしてみればオートポリスのレース2のように岩戸との間に入れるのが理想でしょう。ARRC ASB1000クラスでもポイントリーダーに立ち、全日本ST1000クラスとのダブルタイトルが射程に入ってきました。
ST600クラスも阿部恵斗が今シーズンは圧倒的な速さを見せており、2年連続チャンピオンを岡山で達成する可能性も高いと言えるでしょう。J-GP3クラスは復調した尾野弘樹が4連覇に向けて突っ走りそうです。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(レース)
デイトナを制した伝説のマシンが代官山に出現! 日本が世界に誇るサンダンスハーレーのレーシングマシン「Daytona Weapon I」と「Daytona Weapon II」が、代官山蔦屋書店(東京都[…]
「おいテツヤ、肉を焼いてるから早く来い!」 年末年始は、家族でケニー・ロバーツさんの家に遊びに行きました。ケニーさんは12月31日が誕生日なので、バースデーパーティーと新年会を兼ねて、仲間たちで集まる[…]
高回転まで回す/回さないの“キワ”を狙うバニャイア 2024年最終戦ソリダリティGPと、2025年キックオフとも言えるレース後のテストを視察してきたので、遅ればせながらマニアックにご報告したい。 今年[…]
2スト500cc最強GPマシンを4ストで凌駕せよ! ホンダが世界GP復帰宣言後、1978年から開発していた500cc4ストロークV型4気筒のNR500。 当時の最高峰500ccクラスで覇を競っていたヤ[…]
スズキからBMWのファクトリー車へ オートレース宇部Racing Teamは、BMW M1000RRのファクトリーマシンを入手し、浦本修充選手を擁して2025年のJSB1000に参戦すると発表した。ス[…]
人気記事ランキング(全体)
アッパーカウルはフランスで882.5ユーロ 1980年代のGSX1100S KATANAをモチーフにしたスペシャルモデルを製作することは、S2コンセプトのスタッフが何年も温めていたアイデアだった。それ[…]
【’09VMAX開発秘話】2リッター「音魂(オトダマ)」は失敗だった 新VMAXの開発には実に十数年の歳月が費やされた。このプロジェクトを長い間推し進めてきた中心人物は開発の経緯をおよそ次のように語る[…]
ライトグレーのボディにライトブルーのホイールが新鮮! ヤマハが「MT-25」の2025年モデルをインドネシアで世界初公開した。欧州で発表済みの兄弟モデル・MT-03に準じたモデルチェンジ内容で、現地価[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
欧州&北米で昨秋登場した新型YZF-R3の250cc版 ヤマハはインドネシアで新型「YZF-R25」を発表した。2024年10月に欧州&北米で登場した新型YZF-R3と同様のモデルチェンジ内容とした2[…]
最新の投稿記事(全体)
先日、バイク好きな友人と車でドライブしているときに(私は助手席だけれど…)ライダー同士がすれ違う際に、ピースをしあっている光景を見た。なんだか楽しそうなことしてるなーと思い、「あれって、車に乗ってる俺[…]
スパナプライヤー:刻みのないジョーが平行にスライド。スパナのように使えるプライヤー ストレートのスパナプライヤーは、細部の形状や仕上げは異なるものの、ヒンジの仕組みや特徴はクニペックスのプライヤーレン[…]
ハイパワーだけでなく、本来持つテイスティさを損なわず、より“らしさ”を強調するストロークアップ エンジンを強化する際、排気量アップが効果的なのはたやすくイメージできるだろう。ハーレーダビッドソンはエボ[…]
直線基調の斬新スタイルへの挑戦 「デザインの源流はバック・トゥ・ザ・フューチャー」 好みにカスタムしたバイクで行きつけのカフェに向かい、日がな一日、気の合う仲間とバイクを眺め、バイク談義に耽る。 その[…]
1位:ホンダ新型「CB1000」8月時点最新情報まとめ ホンダがCB1000ホーネットをベースに、CB1300の後継機として開発を進めているというウワサの新型CB1000。その8月時点のスクープ情報ま[…]
- 1
- 2