ホンダの原付二種ラインナップは百花繚乱の充実を見せていて、17インチホイールのカブ系から12インチのダックス125、モンキー125、グロムさらにはスクーターと選び放題だ。今回は、ニューカラーが登場したばかりのダックス125と、海外で2024年モデルが登場して国内仕様もカウントダウンと思われるモンキー125を比べてみたい。似ているようでかなり違う2車なのだ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:ホンダ
ダックス125[45万1000円] vs モンキー125[44万円]はどう違う?
ホンダの原付二種リバイバルシリーズは、先駆けとなったモンキー125に続きスーパーカブC125、CT125ハンターカブが登場。そしてダックス125が2022年9月に発売され、現在のラインナップが完成した。それからは順次カラーチェンジなどを経てきていて、44万円に統一されていた価格はスーパーカブC125およびダックス125が45万1000円に。2023年末にニューカラーが追加されたハンターカブと、2024年のニューカラーが海外のみ登場しているモンキー125は、今のところ44万円をキープしている。
今回はそれらのうち、前後12インチホイールや車格といったサイズ感で好対照になりそうなダックス125とモンキー125の比較をお届けしてみたい。
まず、横型空冷単気筒エンジンを搭載するのはダックス125もモンキー125も共通で、前後12インチホイールに前後ディスクブレーキ+1チャンネルABS、倒立フロントフォークといった装備もほぼ同等。一方で大きく違うのは、クラッチ操作がない4速トランスミッションを採用するダックス125に対し、モンキー125は5速マニュアルトランスミッションを採用していること。そしてもうひとつは、タンデムOKのダックス125と1人乗り専用のモンキー125という違いだ。
エンジンのスペックは同一ではなく、最高出力/最大トルクは同じでも発生回転数はモンキー125のほうがやや低回転寄り。これはマニュアルクラッチを使用することから、発進しやすいようにトルク特性を変更しているのだろう。また、各減速比もけっこう異なっていて、1次/2次合計の減速比がショート傾向のモンキー125のほうは、1速も低く設定されている。これもやはり発進時の力強さを重視したのだろう。また、5速まで入れると全体の減速比はモンキー125のほうがロングになり、やや低い回転でクルージングできる。つまり、モンキー125のほうが1~5速のカバー範囲が広いということだ。
ダックス125は逆の特性だ。クラッチ操作を必要としない自動遠心クラッチを採用したことで、一定の回転まで上げると自動でクラッチが繋がり、エンストの心配がないのと、効率よく半クラッチ状態を作ってくれるため、特に意識せずアクセルを大きく開けて発進することができる。同時に、1速でアクセルを戻した際のエンジンブレーキの利きを穏やかにする意味もあるかもしれない。これらの理由により、1速はモンキー125よりもかなり高め(同じ車体速度なら回転数は約17%低い)の設定とされている。一方、トップ4速でモンキーと同じ速度で巡行した場合は、エンジン回転数が3.8%ほど高くなる設定だ。
とはいうものの、欧州のダックス125のリリース資料には「スーパーカブC125と同じように90km/h巡行が可能」と記載されていることもあって、減速比の違いについてはあくまでもキャラクターの違いというだけで、実際の走りではあまり気にならないはず。AT限定免許で乗れるダックス125は4速でズボラな走りも可能、MT免許のモンキー125は5速でギヤチェンジを楽しめる、そんな棲み分けと言えそうだ。
人とつながるダックス125、ソロで楽しいモンキー125
ダックス125とモンキー125のキャラクターの違いは、タンデムがOKかNGかという点でも大きく分かれている。同じレジャーバイクで2車とも大きさはだいたい同じように感じるかもしれないが、2人乗りが可能なダックス125はフラットで前後に長いダブルシートを採用していて、ライディングポジションについては前後移動の自由度の高さが特徴だ。そしてシート幅はスリムなため、実際の足着き性では優勢だろうか。ただし、モンキー125はシート全体が尻を支えてくれるような形状なので、長時間の走行でも痛みは出にくい。
ちなみに、車両の全長でもダックス125のほうが50mmほど長いが、それだけでなくタイヤは同じ12インチでもダックス125のほうが前後とも扁平率が低く外径がワンサイズ小さいことから、見た目の印象でもダックスの胴長短足スタイルが強調されている。
そのほか、車重はモンキー125のほうが3kg軽く、全幅では5mmスリムといった違いもあるが、走行フィーリングの違いにはあまり影響なさそう。WMTCモード燃費はダックス125が65.7km/l、モンキー125は70km/lとやや差があり、燃料タンク容量もダックスのほうが3.8Lと小さめ(モンキー125は5.6L)なので、給油頻度にはそれなりの影響がありそうだ。
1969年発売の初代ダックス(ST50/ST70)は、メカニズムの露出を可能な限り抑えることで、バイクの気軽さを誰もが楽しめるというコンセプトを具現化したというが、現代のダックス125にもその思想は受け継がれ、燃料タンクや配線類を隠すプレス成型フレームを新作して継承。クラッチ操作を省略し、気軽なタンデムも可能な設計とした。家族や友人、恋人とも楽しめるのがダックス125なのだ。
もう一方のモンキー125は、可愛らしいスタイリングながらメカニズムはしっかりとモーターサイクルを意識させるもので、ソロライド専用設計なことも走りのよさを予感させる。ひとりでトコトコ走ることも、誰かと一緒にビューンと走ることも、自在に楽しめる1台だ。初代モデルは2017年に発売され、2021年にエンジンが新型に切り替わっている。
このほか、アップフェンダー+ブロックタイヤでオフロードテイストも併せ持つモンキー125に対し、ダウンフェンダー+ロードタイヤのダックス125という違いもある。価格は44万円のモンキー125と45万1000円のダックス125。スタイリングや大きさは似ていても、それぞれのコンセプトには明確な違いがある。モンキー125は国内でも2024年夏あたりにカラーチェンジを受けそうだが、タータンチェック柄シートが欲しいなら今のうちかもしれない。悩める時間は意外と短いかも……?
ダックス125 vs モンキー125 をスペックで比較!
車名 | ダックス125 | モンキー125 |
型式 | 8BJ-JB04 | 8BJ-JB03 |
全長✕全幅✕全高 | 1760✕760✕1020mm | 1710×755×1030mm |
軸距 | 1200mm | 1145mm |
最低地上高 | 180mm | 175mm |
シート高 | 775mm | 776mm |
車両重量 | 107kg | 104kg |
エンジン種類 | 空冷4ストロークOHC 単気筒 | ← |
総排気量 | 123cc | ← |
内径✕行程 | 50.0mm✕63.1mm | ← |
圧縮比 | 10.0 | ← |
最高出力 | 9.4ps/7000rpm | 9.4ps/6750rpm |
最大トルク | 1.1kg-m/5000rpm | 1.1kg-m/5500rpm |
始動方式 | セルフ式 | ← |
変速機 | 常時噛合式4段リターン (停止時のみロータリー式) | 常時噛合式5段リターン |
燃料タンク容量 | 3.8L | 5.6L |
WMTCモード燃費 | 65.7km/L | 70.0km/L |
タイヤサイズ前 | 120/70-12 | 120/80-12 |
タイヤサイズ後 | 130/70-12 | 130/80-12 |
ブレーキ前 | ディスク | ← |
ブレーキ後 | ディスク | ← |
乗車定員 | 2名 | 1名 |
価格 | 45万1000円 | 44万円 |
色 | 黒、青、灰 | 赤、黄、黒 |
発売日 | 2024年8月22日 | 2023年9月21日 |
Honda DAX 125[2024 model]
Honda MONKEY 125[2023 model]
参考:タイ仕様モンキー125[2024年モデル]
こちらは2024年5月下旬にタイで発表された2024年モデル。変更内容はカラーチェンジのみだが、燃料タンクのモノトーン化や柄なしタックロールシートの採用でイメージをガラリと変えている。日本でも2024年夏の登場が見込まれている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ダックス125)
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり[…]
新色「パールシャイニングブラック」登場、グラフィックは各色共通 ホンダは、原付二種125ccのレジャーバイク「ダックス125」に新色のパールシャイニングブラックを追加し、2024年8月22日に発売する[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり[…]
特徴的なグラデーション状ストロボパターンを再現 このカラーが欲しかったんよ! とお思いの読者も少なくないと思われるのは、タイのカブハウスが発表した「New Honda DAX 1978 Special[…]
最新の関連記事(モンキー125)
1984年型のダートバイク『Z50R』がモチーフ ホンダはタイで、モンキー125(現地名:モンキー)の特別仕様として「モンキー Z125R スペシャルエディション(MONKEY Z125R SPECI[…]
できることは一緒。でも得意分野がそれぞれ違う 最近、原付二種、いわゆる125ccクラスのバイクの存在が見直されている。コロナ禍に加えて公共交通機関の縮小などで通勤・通学の足として125ccクラスのバイ[…]
125ccのMTバイクは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり[…]
シート&タンクが単色に、フレーム色も独自設定 ホンダは、タイで先行発表されていた「モンキー125」の2024年ニューカラーを発表した。従来のタータンチェック柄のシートはシンプルなブラックに改められ、タ[…]
人気記事ランキング(全体)
125ccスクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限[…]
1441cc、自然吸気のモンスターは北米で健在! かつてZZ-R1100とCBR1100XXの対決を軸に発展し、ハヤブサやニンジャZX-12Rの登場からのちにメガスポーツと呼ばれたカテゴリーがある。現[…]
バランス重視キャラでコストと性能を両立か 「カワサキとの真っ向勝負は避けるとしても、出力的に70ps程度は出してくるだろう。フレームは軽量化のため、ダイヤモンド型を採用する可能性が高い」 ヤングマシン[…]
スタイリッシュな250ネイキッドでのキャンプツーリング記 夏の早朝。日が出る前に、ボクはブリクストンがリリースする「クロムウェル250」で走り始めた。スチール製セミダブルクレドールフレームに空冷250[…]
国内導入予定はないけれど……のZ125プロ カワサキは北米で2025年モデルを続けざまに発表している。ここで紹介するZ125プロは、金色に輝く倒立フロントフォークに加えて2025年モデルの濃緑にはゴー[…]
最新の投稿記事(全体)
ブランド・ストア『FREUDE by BMW』内「CAFÉ & BAR B」にて10月28日まで ビー・エム・ダブリュー株式会社は、本日10月3日(木)から10月28日(月)の期間[…]
BIGなCBとBIGな企画 ビッグマック! ビッグサンダー! ビッグカツ!! てんちょーもBIGになってバイクをもっと布教したい! そう、目標はホンダのBIG-1ぐらい大きくなきゃね。え、BIG-1っ[…]
アラを探しても見つからない!? 完成度の高い並列4気筒エンジン 1980年代以降、250~750ccまでステイタス性とパフォーマンスの両面で高性能の代名詞となっていたのが並列4気筒エンジンです。とくに[…]
新規ハーレーオーナーも多いX350&500。そんなオーナーと交流したい。10月1発目は「Webike Festival2024」が会場だ! モリワキ初のハーレー用マフラーを装着した『ウィズハー[…]
レース用ではなく、公道で楽しむためのパーツ 長年にわたり、公道で気持ちよく安全にバイクを楽しめるパーツを作り続けてきたアエラ。レーシングパーツ、つまりサーキットではなくステージはあくまでも公道。そのた[…]
- 1
- 2