
“アルプスローダー”として名を馳せた往年の名機トランザルプがついに復活! 270度クランクの新ツインでV2時代の鼓動感はそのまま残しつつ、回りの良さと車重の軽さでアドベンチャー界に新たな風を巻き起こしそうだ。その乗り心地やいかに!?
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ホンダ
【テスター:丸山浩】自身の主導団体”ウィズミー”会長/YouTubeチャンネル”MOTORSTATION TV”の司会/ヤングマシンのメインテスターを務めつつ、オンオフ2輪4輪問わずレースに参加するモータージャーナリスト。ツーリングはタンデムが大好き。
アフリカツインより20~30kgも軽い!
ついに復活したトランザルプ。フロント21インチのワイヤースポークホイール、そしてブロックパターンタイヤとなかなか本格的なアドベンチャースタイルで、アフリカツインに憧れていたけど車重や大きさに二の足を踏んでいたような人は、きっと気になっていたことだろう。開発コンセプトは「日常から世界一周まで」。なかなか欲張りに聞こえる。
【HONDA XL750 TRANSALP】 ■全長2325全幅840全高1450軸距1560シート高850(各mm)車重208kg(装備)キャスター/トレール27度/111mm ■水冷4スト並列2気筒OHC4バルブ754cc内径×行程87×63.5mm圧縮比11.091ps/9500rpm7.6kgg-m/7250rpm変速機形式6段リターン燃料タンク容量16L ■ブレーキF=WディスクR=ディスク ■タイヤF=90/90-21R=150/70R18 ●色:白 ●発売日:5月25日 ●価格:126万5000円
【ライディングポジション】身長168cmだと足着きはつま先立ちながら、アドベンチャーとしては膝の曲がりが強めなコンパクトライディングポジション。タンクやスイッチまわりの圧迫感が少ないのもいい。スタンディングも超やりやすいぞ。[身長168cm/体重61kg]
実車を前にすると、兄貴分たるアフリカツインに負けないそれなりの存在感を発しているが、跨ってみるとタンクの圧迫感などがなく、コクピットまわりはスッキリとコンパクト。それに車重が圧倒的に軽い。アフリカツインと比べて約20kg、DCT仕様となら約30kgも違う。
おかげで整地されたアスファルト上ならUターンなどもずいぶん軽く回ることができる。ノーマル状態でのシート高は850mmで、身長168cmの私だと両つま先が地面に届くといった感じ。ちょっとこのあたりは人によってハードルの高さを感じる部分となるが、ちゃんと対応策(後述)があるのでご安心を。
新設計の754ccパラツインは排気量が少ない分、アフリカツインよりも“優しい”感じだ。デカすぎずイキすぎず気軽に走れるところがいい。だが、ちゃんと270度クランクらしいドカドカ感はあるし、林道や街乗りは2000rpm以下で走ってもドロドロと楽しく、3000rpmも回せば加速感も十分だ。
クルーズしていると、シートの高さがもたらしてくれる高い目線から、南アルプスを眺めつつ走らせるのが実に気持ちいい(今回の試乗会場は山梨県の小淵沢町)。バイクがあまり視界に入りすぎないのも、まわりの景色を堪能するのにちょうどいい。高速道路も得意で、比較的立ち気味な角度のスクリーンが予想以上に風を防いでくれる。私の体格だと120km/h区間でもヘルメットのシールドを開けて走ることができたのには驚いた。
【まったりも良いお味】乗った瞬間からすぐにスタンディングで走りたくなる雰囲気。まったりと景色を堪能しながらダート道を通過すると気分は最高だ。
長距離山脈を駆け抜ける、まさしくアルプスローダー
のんびりクルージングで流すのも快適なのだが、そこから乗り込んでいくと、このマシン本来の楽しみ方に気付いた。トランザルプの2気筒は、ストリートファイターのCB750ホーネット(日本未発売)と共通の、いわば元気なスポーツエンジン。排気量が少ない分、アフリカツインよりも“回して乗る”ところにトランザルプならではの強みがあったのだ。それをもっとも感じさせたのがワインディングだ。
ストリートファイターと共用するエンジンは4000rpmくらいから元気よく、そして7000rpm以上は強烈にドーンと回っていくので、高回転を多用して走らせるのが面白い。それにハンドリングがユッサユッサせずとにかく軽い。高回転の歯切れもいいからスロットルのレスポンスでキビキビと向きを切り替えられる。アスファルトのワインディング区間をビュンビュン飛ばすには、アフリカツインよりいいペースで走れちゃうのだ。
その一方で、オフロード性能はライディングモードの「グラベル」ではパワーを抑えトラクションコントロールも強めにして、突然のダートでも安心して通過できる設定にしているように、見た目ほどガシガシに攻める本格キャラではない。行程のうち8割はアスファルト上を俊足で駆け抜け、残り2割のダートを安全にクリアできるようにしたキャラクターと考えた方がいい。4輪で言うとガチまでいかないSUVに近い感じだ。
と、ここで思い出したのが、初代トランザルプが提唱していた“アルプスローダー”という言葉。広いヨーロッパのアルプスでは、のんびり楽しみすぎると陽が落ちるまでに峠を越えられない。所々にダートや石畳もあるアルプスを一気に超えるのにCRF250Lではパワー不足だし、豪華なアフリカツインでは時間にも縛られずもっと優雅でゆっくりした旅を楽しみたくなる。まさにアルプスローダーたるコンセプトを新トランザルプも引き継いでいたのだ。
日本でも街中/高速/峠を俊足で駆け抜け、キャンプ場近くのダートをアフリカツインほど怖がらずにクリアできるというのは、旅のツールとして大きな可能性があるはず。2人乗りが得意なところもイイネ!
【未舗装路ウェルカム!】アフリカツインより約20~30kgも軽い車重が安心感に。ダート初心者でも走りを助けてくれる「GRAVEL」モードがあるのも特徴のひとつだ。
【5つのラインディングモードでどんな場所もカバー】“日常から世界一周まで”をコンセプトとする新トランザルプは5つのライディングモードを搭載。いずれもセールススペックではなくイキすぎずヤリすぎない“実際に役立つ”セッティングなのがポイントだ。
【高速タンデムもラク楽】専用設計のシートレールがタンデムや積載時も高い剛性を発揮。少々揺さぶってもハンドリングは乱れない。これなら2人旅も快適だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(XL750トランザルプ)
4/4:ドゥカティ「スクランブラー・ナイトシフト・エメラルド」 ドゥカティの人気ネオクラシックモデルに、都会の夜を彩る新色「スクランブラー・ナイトシフト・エメラルド」が追加され、4月4日に発売となる。[…]
電スロ(TBW)とEクラッチの組み合わせはホーネットとともに初! トランザルプにもEクラッチ仕様が登場! 同時デビューのCB750ホーネットと同じく、ライダーのスロットル操作を電気信号に変換し、スロッ[…]
Eクラッチ普及計画が進行中! Eクラッチと電子制御スロットルが初めて連携 ホンダは「第42回 大阪モーターサイクルショー2026」、「第53回 東京モーターサイクルショー2026」、「第5回 名古屋モ[…]
Eクラッチと電子制御スロットルが初めて連携する750シリーズ ホンダが欧州2026年モデルの5車にEクラッチを新搭載。これまでにミドル4気筒の「CBR650R」「CB650R」、250cc単気筒の「レ[…]
トランザルプってどんなバイク? トランザルプは754cc 2気筒エンジンを搭載したオールラウンダー。何でも1台でこなせる欲張りなマシンなのですが、ただの万能バイクではありません。 軽快でスポーティーな[…]
最新の関連記事(新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード)
2025年の大幅刷新が生み出した、疲労知らずの「極上の乗り味」 「最新のアドベンチャーバイクは速くて快適だが、どれも電子制御の塊で味気ない」。そんな不満を抱えるライダーにこそ、V85TTはおすすめだ。[…]
長距離ツーリングの「あの疲労感」を最新の足回りで劇的に改善 アドベンチャーバイクの醍醐味は、どんな道でも躊躇なく突き進めることにある。しかし、長時間のライディングや荒れた路面での走行は、ライダーの体力[…]
「ちょうどいい」がもたらす自由。完全新設計の並列2気筒 BMWの「GS」ファミリーはアドベンチャーバイクの最高峰として君臨しているが、その大柄な車体に尻込みしてしまうライダーも少なくない。そんなジレン[…]
漆黒と真紅が織りなす、ストリートでの圧倒的な存在感 ドゥカティの単気筒ラインアップを完成形へと導くモデルとしてこのほど登場した「Nera(ネラ)」。イタリア語で「黒」を意味するその名の通り、デザイン全[…]
段差を恐れない「足長」サスペンションの威力 一般的なスクーターはタイヤが小さくサスペンションのストロークも短いため、路面のギャップを拾いやすい。しかし、SR GT 200 Sportは根本から設計が異[…]
人気記事ランキング(全体)
クォータークラスの既視感を打ち破る2台の黒船 かつて日本の250cc──いわゆる「クォータークラス」は、メーカーの技術と狂気がぶつかり合う群雄割拠のセグメントだったはず。しかし、「効率」もより重視しな[…]
TT通算6勝目のディーン・ハリソン選手がスーパーバイクTTを制覇 スーパーバイクTT決勝レースは天気予報がすぐれず不安視されていたが、前日になって雨予報が消え、5月31日13時30分に予定どおりにスタ[…]
ツーリング仕様の「後付け感」や「ゴチャゴチャ感」を美しく解決 スクーターに快適性を求めてあれこれパーツを追加すると、ハンドル周りがゴチャつきがち。スマホホルダーにUSB電源、そして今やツーリングの必須[…]
適度なパワーと車格がもたらす、公道での爽快なスポーツ性 250ccクラスでは久々となる4気筒エンジン搭載の新型として、2020年9月に新登場したのがNinja ZX-25R。2023年型で熟成が図られ[…]
スーパースポーツの「扱いきれない不安」を最新技術で打ち破る 「リッタークラスのスーパースポーツは速すぎる。強烈な加速や高速域でフロントが浮き気味になり、接地感に不安を覚える」。圧倒的なパワーと引き換え[…]
最新の投稿記事(全体)
創業100周年を祝う特別なブランド体験「DUCATI DAY 2026」 2026年の「DUCATI DAY」は、単なる車両展示にとどまらず、ドゥカティのブランドが持つ100年の歴史とこれからの未来を[…]
レストアは固着との戦い!と言うけども 古いバイクに固着したボルトやナットは付き物ですよね。 ヤマハのポッケをいっちょ直したろうかと意気込んだものの、コイツの固着っぷりが尋常じゃなかったんだ、いやホント[…]
免許不要で乗れる4輪モビリティの高い利便性 免許を返納した後の足代わりや、ちょっとした荷物を運ぶ際の手段として、何を選ぶべきか。シニアカーでは積載量に限界があるし、自転車では体力的な不安が残る。そんな[…]
ツーリングの「迷子」と「風の疲労」、最新のXMAXがすべて解決する 「知らない道へのツーリングはスマホのナビ頼りだが、画面が小さくて見づらい」「高速道路を使った長距離移動は、風圧による疲労がしんどい」[…]
2026年6月6日(土)、バイクの聖地・鈴鹿サーキット(交通教育センター)にて「Ducati Day 2026」の開催が決定! 今回の目玉は何と言っても、ベールを脱ぐ3台の日本初公開モデル。ドゥカティ[…]
- 1
- 2







































