アドベンチャーイメージで人気沸騰中のADV150が排気量アップのフルモデルチェンジで160に進化。さらにビッグスクーターの顔としてロングセラーを続けるフォルツァも、最新排出ガス規制適合&新フェイスデザインで超熟成。高速道路も走れるのが魅力の最新軽二輪スクーター2台を、丸山浩が比較試乗だ。
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:長谷川徹
【テスター:丸山浩】かつては初代フォルツァを仕事の足として使っていたことも。その便利さが忘れられず、最近再びスクーター所有に触手が伸びかけているとか。原二もいいが高速道路に乗れる軽二もいいと熱い視線。
ホンダの2大スクーターが排ガス規制対応で新型に〈ADV160/フォルツァ比較〉
世間では手頃なサイズ感と動力性能、それにユーティリティスペースから原付二種スクーターが人気沸騰中。これでついでに高速道路も使えたなら…。そんな要望に応えてくれる軽二輪クラスのスクーターも再評価の動きが高まっている。
そんななかホンダの2大モデルがモデルチェンジ。片や原二クラスの使い勝手とアドベンチャーイメージで話題をさらったホンダADV150の進化版。もう一方は、250ビッグスクーターの古株として熟成を重ねてきたフォルツァ。そこでこの2台を乗り比べてみた。
ホンダ ’23 ADV160 概要
ADVは、やはり’22で排気量アップを果たしたPCX160と同系エンジンを採用することで160に進化。しかも2バルブから4バルブへとグレードアップし、令和2年排出ガス規制にも適合した。トラクションコントロールであるHSTCも新たに装備。新エンジンに合わせてフレームも新型となっている。デザインも従来イメージを踏襲しつつ改められ、シート高が15mm下がっているところもひとつの大きなポイントだ。
ホンダ ’23 フォルツァ 概要
フォルツァも今回から令和2年排出ガス規制に適合。フォルツァの場合はこの規制対応がメインで、基本は従来モデルからのマイナーチェンジといわば完熟(!?)に達した状態だ。最高出力や最大トルクは発生回転数も含めて従来と変更なし。変わったのが外観から分かるのは一新されたヘッドライトおよびテールまわり、それにメーター周辺のデザインだ。
ADVは手軽さ感、フォルツァは上質感〈ADV160/フォルツァ試乗インプレッション〉
ホンダ ’23 ADV160 試乗インプレッション
実際に乗ってみると、やはりADVはちょっと大きい原二並みのサイズ感が何よりも最高だ。15mmダウンしたシートは前の方に座れば両足かかとまで地面に着き、いちいちバイクを降りずに方向転換できるなど街中の狭い場所での使い勝手は抜群。
エンジンについても必要十分にして速すぎない程よさが、やはり普段使いに秀逸。2→4バルブになってかなりパワフルになったのかと思ったがそうではなく、最高出力として従来よりアップしたのは1psで、バルブ変更は排ガス規制に合わせて高効率化を狙ったという印象だ。
なので高速道路を走ってみると常に全開で回っている状態で速度としては排気量なり。それでも100km/hほどなら車体に不安定さもなく走れてしまう。新東名の120km/h区間を走るにはちょっと気合いが要りそうとか、長距離は疲れそうだなと思うくらいで、このサイズで高速を走れるのはかなり嬉しい。
また、小ぶりなスクリーンが非常に優れていたのもビックリした。角度を立てた状態にすると全面的に風を避けて高速道路でも問題なし。ビッグスクーター特有の後ろからの巻き込み風も感じられず、風切り音も比較的静かだ。
フラットなバーハンドルもADVの持ち味のひとつ。このマシンで本気のアドベンチャーをしようとは思わないけれど、スポーティ感もあり、街中をキビキビ走るにはいい感じだ。
ホンダ ’23 フォルツァ 試乗インプレッション
一方、フォルツァはベースとなる’18モデルから車体がシェイプされたが、サイズ感としてはやっぱりビッグスクーター。シート高はADVと同じだがトランク容量を確保したぶん横幅があり、前方に座ってもかかとは若干浮いてしまう。
ただ、街中取りまわしの手軽さではADVに勝てないが、フォルツァは長距離にめっぽう強い。安定感はADVより2クラスは上に感じられ速度レンジも高い。適度な絞り角とタレ角が付いたハンドルと足を置きやすいフロアボードがロングでも疲れないのんびりポジションを提供。スクリーンは走行中にも作動する電動無段階式など贅沢だ。
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