ヤマハは、MTシリーズの最高峰モデル「MT-10 ABS」と「MT-10 SP ABS」をモデルチェンジし、2022年10月26日に発売する。出力向上とともにデザインや電子制御も進化させ、操る悦びをサウンドでも表現したという。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ヤマハ
充実の電子制御やパワーアップに加え、SPは二輪市販車で世界初採用のサスペンションも
ヤマハは、同社の最高峰スーパースポーツ「YZF-R1」のエンジンを仕立て直して搭載したMTシリーズの最高峰モデル「MT-10 ABS」および上級モデルの「MT-10 SP ABS」をモデルチェンジし、2022年10月26日に発売する。
新型MT-10は“MT-king’s Dignity”をコンセプトに開発しており、エンジンは吸排気系を見直して平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合しながら6psのパワーアップを実現。吸気側では新たに3本のダクトを備えるエアクリーナーボックスを採用し、断面積と長さの異なる各ダクトによる共鳴音をチューニング。4000~8000rpmで官能的なサウンドを発生させる。このサウンドデザインは、四輪車のパワートレインサウンド開発にも小されたαlive ADを応用したものだという。
また、IMUを核とした高精度な各種電子制御に加え、ヤマハ初採用の可変速度リミッターYVSL(Yamaha variable speed limiter)を装備するのもトピックだ。クイックシフターはアップのみだった従来から上下対応になり、スポーツライディングの充実度と普段使いの利便性を向上した。デザインはMT-09系にも共通するツリ目のポジションライトで新たな表情を得て、さらにエルゴノミクスも追求したとしている。
上級モデルのSPは、オーリンズ製スプールバルブ内蔵の電子制御サスペンション(市販二輪車への搭載は世界初)を装備するほか、ブラックアウトされたハンドルバーやシルバーの燃料タンクなど、スペシャルな外観を奢った仕様だ。
YAMAHA MT-10 ABS / MT-10 SP ABS[2022 model]
主要諸元■全長2100 全幅800 全高1165 軸距1405 シート高835(各mm) 車重212kg[214kg](装備)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 997cc 166ps/11500rpm 11.4kg-m/9000rpm 変速機6段 燃料タンク容量17L(ハイオク指定)■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/55ZR17 ●価格:192万5000円[218万9000円] ●色:灰、青、暗灰、[銀] ●発売日:2022年10月26日 ※[ ]内はSP
MT-10 ABS/MT-10 SP ABSのメカニズム解説
注目はクロスプレーンクランクを採用するエンジンだ。ベースとなっているYZF-R1は2021年型で先行して最新排出ガス規制に適合し、スペック値は200psで変わらないもののヤングマシンがで実測数値で1割近くもパワーアップしていた。新型MT-10はスペックも変更され、従来の160ps/11500rpmから166ps/11500rpmへとパワーアップし、トルクも11.3kg-m/9000rpm→11.4kg-m/9000rpmとされた。
また、“操る悦びを体感できるサウンドデザイン”を謳い、新たに3本の吸気ダクトを備えるエアクリーナーボックスを採用。断面積と長さの異なる各ダ
クトが生む吸気音を各周波数帯で共鳴させ、かつそれぞれのダクトから出る音圧のバランスをチューニング。4000~8000rpmで官能的なサウンドを発生させ、加速時やコーナー立ち上がり時にトルク感に加え、サウンドでも走る悦びを伝えるとしている。
今回は初の試みとして四輪車のパワートレインサウンド開発に用いられたαlive AD(※)を応用し、二輪車のサウンドデザインを進めたという。
※エンジン回転数や車速に合わせて電子音を合成再生するシステム
また、タンクカバーの上面左右に音の響きを強調するアコースティック・アンプリファイア・グリルを設置したことにより、吸気による共鳴音だけでなくダクト自体の振動である“ダクトの鳴り”をライダーに向けて発生。CP4エンジン(クロスプレーンクランク採用の4気筒)ならではの、90度V4エンジンのような感応的な伸びるサウンドを体感できる。
メーターは4.2インチフルカラーTFTをスタンダードモデルにも採用(従来はSPのみ)。アクセルポジションセンサーグリップ(APSG)採用のライドバイワイヤスロットルにより、4つのパワーモードに設定できるほか、新たに採用した6軸IMUと合わせて、バンク角検知型トラクションコントロールシステム、スライドコントロールシステム、リフトコントロールシステム(ウイリーコントロールに相当)、エンジンブレーキマネジメント、ブレーキコントロール、そしてこれらを統合して制御できる『ヤマハライドコントロール(YRC)』を実装し、YZF-R1並みの電子制御を実現している。
また、上下対応となったクイックシフト(従来はアップのみ)を採用したほか、最高速度を任意で設定できる可変速度リミッターのYVSL(Yamaha variable speed limiter)を採用した。これは高速道路や街中などの状況や速度制限に合わせて、決められた数値以上の速度が出ないように設定できるというものだ。
デザインは重厚だった従来型からコンパクトなフェイスになり、ヘッドライトはモノフォーカスLEDをツインで装着。そして他のMTシリーズに共通するツリ目のポジションライトを採用した。スムーズなデザインとなった燃料タンク形状などにより、エルゴノミクスも向上している。
フロントブレーキには、別体リザーバータンクのブレンボ製ラジアルマスターシリンダーを採用し、コントロール性を向上したという。
フレームは200psに対応するYZF-R1譲りの軽量デルタボックスを採用。前後サスペンションはKYB製で、上級モデルのSP(詳細未発表)はアップデートされた電子制御式オーリンズサスペンションとアンダーカバーなどを装備する。タイヤはブリヂストン製のバトラックスハイパースポーツS22だ。
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
現在、白バイといえばホンダ「CB1300P」とヤマハ「FJR1300P」 日本における白バイは、世界でいえばポリスバイクと呼ばれたりして、各国でデザインもさまざま。いずれにも共通するのは、違反車両を追[…]
スピンフォージド製法のホイールも新たな装い ヤマハは、「MT-09 ABS」および「MT-09 SP ABS」のカラーリングとグラフィックを変更した2022年モデルを発表。MT-09は7月28日、MT[…]
1980年代レーシングヘリテイジが蘇る! ゴロワーズブルーをオマージュ ヤマハは2021年11月に欧米でフルモデルチェンジしたXSR900を発表。昨夏に発売されたMT-09をベースとしたネオレトロモデ[…]
'21 ヤマハ トレーサー9 GT 概要 [◯] ツアラー性能を底上げ。フルパニアでも自然だ ’15年に登場、’18年のマイナーチェンジを経て、今回が初のフルモデルチェンジとなるトレーサー。正式車名は[…]
『S22』はブリヂストンらしさに溢れている 最近、新型のバイクに乗るとブリヂストンのBATTLAX HYPERSPORT S22(以下S22)を履いていることが多かった。ヤマハのYZF-R7やMT-0[…]
最新の記事
- ホンダが電動トライアルバイク「RTLエレクトリック」で全日本トライアル参戦! ライダーは元世界チャンピオンの藤波貴久
- 独尊の水冷V型2気筒クルーザーに待望の250が登場! ヒョースン「GV250」シリーズ3機種を一挙発売
- ヤマハの新型モデル「YZF-R9」日本発売は2025年春以降! ウイングレット装備の3気筒スーパースポーツ
- 【正式発表間近】カワサキが「W230/メグロS1」「KLX230/S/SM」の発売時期を明らかに!
- 【SCOOP特別編】ホンダ新型CB400は…こうなる!! プロがその姿を大胆予想〈③装備&デザイン編〉
- 1
- 2