
ヤマハは、2022年モデルをもってFJR1300シリーズの生産を終了すると発表しているが、気になるのはヤマハ製の白バイが今後どうなるのかということ。ホンダはNT1100の白バイ仕様が登場するという噂もあるなか、全国を走る白バイの姿はどのように変化していくのだろう?
現在、白バイといえばホンダ「CB1300P」とヤマハ「FJR1300P」
日本における白バイは、世界でいえばポリスバイクと呼ばれたりして、各国でデザインもさまざま。いずれにも共通するのは、違反車両を追いかけるのに十分なエンジン出力と威風堂々としたたたずまい、そしてライダーたちの手本になるような運転技術を持った警察官が颯爽と走らせてるということだろう(一部に例外もあるような気はするけれど)。
だから、白バイには基本的に大型バイクを使用していて、その他の用途に原付二種などの警察車両が配備されていることもある、という感じになる。ちなみに海外では、サブ的に使われる車両にはスクーターが使用される例も少なくないようだ。
日本国内の白バイといえば、現行車両はホンダ「CB1300P」とヤマハ「FJR1300P」。古くは有名なメグロK2やホンダCB450、CB750フォアといった白バイから多様な車種を経て、ホンダVFR800Pに代わりCB1300Pが配備開始されたのが2009年。ヤマハFJR1300Pが配備され始めたのは2014年だ。一方、生産終了になっているスズキのGSF1200P(2004年に配備開始)は、現存稼働している白バイがどれだけあるのかわからない絶滅危惧種になっている。
バイク乗りの立場からすれば、運転している時にはあまり喜んで近付きたい対象ではないかもしれないが、そうは言っても停めてあればカッコイイし、ついつい観察してしまったりするもの。CB1300Pがマイナーチェンジで勇ましい排気音を出すようになったことも、多くの方がご存じなのではないだろうか。
FJR1300の生産終了が発表されちゃったけど……
ヤマハは、2018年にマイナーチェンジした現行型FJR1300(市販車)に、FJR誕生20周年記念モデルを設定し、2022年2月に発売。これをもって生産終了することを発表した。となると、白バイはどうなるのか……。
ヤマハの現行モデルで次期白バイの候補になりそうな排気量のマシンといえば、MT-10、ナイケンGT、トレーサー9 GTあたりだろうか。欧州ではTMAXやトリシティの警察車両もあるようだが、日本の典型的な白バイの姿は想像しにくい。となれば、上記3車ということになるだろうが、MT-10はオーバースペックかつ正義の味方っぽくない面構え(失礼!)だし、ナイケンも特殊と言わざるを得ない。
というわけで、候補の筆頭はトレーサー9 GTになるだろうか。実は欧州ではすでに以前のモデルで警察車両が製作させており、日本での白バイ姿もイメージしやすい。FJR1300Pほどのトルク&パワーはないが、軽量で機動性が高く、電子制御による安全装備も満載。さまざまなオプション装着を前提にしていて発電能力には余裕がありそうだし、なにより長時間の走行でも疲れない。2021年にフルモデルチェンジして最新の排出ガス規制に適合しており、この先も長く活躍できるはずだ。
欧州で2015年に登場したMT-09トレーサー・ポリス。大型スクリーンや青色のフラッシングライト、リヤボックス&サイドケース、コンフォートシート、補助バッテリー、消火器ホルダーなどを追加装備している。新型ではさらにシャープな印象になりそうだ。 [写真タップで拡大]
さて、実はホンダ製の白バイにも世代交代の噂がある。CB1300Pから最新のNT1100へと移行するのではないかとの情報があったのだ。国内仕様はDCTのみが販売されているが、輸出仕様ではマニュアルトランスミッション(MT)仕様もあり、白バイに採用するならどちらも選択肢になるだろう。トレーサー9 GTと同じくツアラーベースとすることで、長時間の公務でも余計な疲労は少なく済みそうだ。
ただ気になるのは、CB1300Pの引退が、すなわちCB1300シリーズの終焉を意味することにならなければいいが……ということ。CB400SF/SBがまさかの生産終了(2022年10月までは生産)となった今、CB1300シリーズからNT1100へとダウンサイジングというのも現実味を帯びる。このあたりは引き続き情報を収集していきたい。
欧州のFJR1300Pほか
※本記事は”ヤングマシン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
関連する記事
2018年2月14日、アメリカで新型FJR1300Pが発表された。Pとは言うまでもなくPolice Bike(ポリスバイク)の略で、日本でも同じ名前で白バイに導入されている。日米のFJR1300Pには[…]
バイクの死亡事故でもっとも多い致命傷部位は頭部(35.7%)だが、それに次ぐのが胸部(32.1%)ということはまだまだ十分に知られていない。胸部プロテクター/ボディプロテクターの普及に向けて2007年[…]
交通違反車両の取り締まりをするだけでなく、皇族や要人の警護、マラソンや駅伝の先導などさまざまな場面で活動をしている白バイ。 普段、私たちはバイクに乗っている白バイ隊員の姿しか見かけませんが、彼らはいつ[…]
「前回の東京」こと1964年東京オリンピック。その時の聖火リレーにおいて、走者の先導と周辺警護という重要な任務を担ったのが白バイとその隊員たちだった。その当時、白バイとして使われていた主要な車種はメグ[…]
1980年代のZを語るとなれば、外せないのがローソンレプリカ……ではなく、このKZ1000ポリスだろう。1970年代のアメリカで製作され大ヒットしたTVドラマ「CHiPs(邦題:白バイ野郎ジョン&パン[…]
最新の記事
- ’22最新ヘルメットカタログ〈クロスオーバー〉ツアークロス3/ホーネットADV/Xロード/DS-X1 etc.
- ライダー平均年齢の若返りとバイクに対するイメージ向上!活況続くバイク業界
- ホンダ ホーク11 [’22後期新型バイクカタログ]:大人の時間を楽しむためのカフェレーサー
- 【YM緊急アンケート】人生最後に選ぶ1台とは!? アナタが考える「上がりのバイク」教えてください!
- 高知・室戸スカイラインの絶好線形をバイクで駆ける〈ニッポン絶景道#1〉
- 1
- 2