スズキは11月23日に開幕したEICMA(ミラノショー)で2022年モデルのKATANAを発表した。ユーロ5排ガス規制に対応させたパワートレーンは電子制御面がアップデートされ、さらに新登場となるマット系のボディカラー2色をまとっている。
●文:ヤングマシン編集部
エンジン:電スロ化して吸排気系も変更
スズキのストリートファイター・GSX-S1000Sをベースに2019年に復活した2代目KATANA。偉大なる初代カタナをオマージュしつつ、アップハンドルやショートテールなど現代流の解釈を加えて新たなファン層を開拓している。その新生KATANAが2022年モデルへと進化した。
エンジンは従来どおり、名機の誉れ高き2005年型GSX-R1000(K5)に端を発する999cc並列4気筒を継承しつつ、新たに電子制御スロットルを獲得。さらに排気系を再設計し、エアクリーナーボックスも内部構造を変更。吸排気カムシャフトはリフトとオーバーラップを減らした新プロファイルとされる。
これらにより、最高出力を150→152psに向上させつつ、より山や谷の少ない滑らかな出力特性を獲得。ユーロ5にも対応させている。最大トルクは108→106Nmへわずかに減少したが、逆に低速トルクは増強されているという(数値は欧州仕様同士の新旧比較)。
さらに、従来型も装備していたスリッパークラッチには新たにアシスト機能を追加。ラジエターもフィンピッチを拡大してエアフローを約18%低減、放熱性を高めてアイドリング時の温度を約1.5度下げた新作が採用されている。
電子制御:上下双方向のクイックシフターをゲット
新たに電子制御スロットルを投入したことで、出力特性を3モードに変更できるS-DMS(スズキドライブモードセレクター)も新採用。トラクションコントロールは従来型の3段階+OFFから5段階+OFFへと進化し、より細かなセッティングを可能としている。
電子制御面でさらに嬉しいのは、アップ/ダウンの双方向で作動するクイックシフターの装備だろう。快適性を向上させるアイテムとしては、クラッチミートの際に自動でエンジン回転を高めてエンストを防ぐローRPMも新採用されている。
外観:細部色変でフレッシュ感UP
ベース車であるGSX-S1000から譲り受けたフレームやサスペンションといった車体まわりに変更はないが、ハンドルはポストを別体とし、トップブリッジとの間にラバーマウントを噛ませてフローティングマウント化。振動を低減して快適性を向上させている。
新KATANAで話題を集めそうなのは新しい車体色だろう。ダークブルーとグレーの2色は、ともにつや消しのマット仕上げで、前者はホイールをゴールドに、後者はレッドとしてモダンな華やかさを演出。細かな部分では倒立フォークのアウターチューブを従来の黒→ゴールドに、リヤショックのスプリングを赤→グレーとしてコーディネート。カラーコンセプトの“プレミアムシック”を体現する仕上がりとしている。
LCDメーターは基本的には従来型を踏襲するが、追加された電子制御に応じてS-DMSやクイックシフターのインジケーターを追加。バックライトを従来型の白に加え、アンバーにも変更可能とするなどの変更を加える。画面下部には「刀」のロゴも追加された。
エンジンや電子制御のアップデートは、基本的には登場済みのストリートファイター・GSX-S1000を踏襲したものと言っていいが、アップライトなライポジを持ち、今回スタイリッシュなボディカラーも得た新KATANAは、より街中で“映える”1台と言っていいだろう。日本導入時期や販売価格は現時点で未定だが、早期の導入を期待したい。
2022 SUZUKI KATANA主要諸元(欧州仕様。[ ]内は従来型国内仕様)■全長2125[2130] 全幅830[835]全高1110 軸距1460 シート高825(各mm) 車重215kg(装備) キャスター/トレール25度/100mm ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 999cc 内径×行程73.4×59mm 圧縮比12.2 152ps/11000rpm 106Nm/9250rpm[148ps/10000rpm 107Nm/9500rpm] 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量12ℓ ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=190/50ZR17
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