●文/写真:モトメカニック編集部(たぐちかつみ/栗田晃) ●取材協力:ワイズギア
バイクを眺めているヒマがあるなら「動くところにオイルさせ~!!」なんてことを言われた数十年前。確かにその通りで、可動部分がしっかり潤滑されていてこそ、本来の性能が長続きするというものだ。ここではヤマルーブシリーズを使って潤滑ポイントを再確認しておこう。
巻頭特集「ぼくらのガレージ」 様々な形態の個人ガレージを覗き見して、サンデーメカニックの夢である「マイガレージ製作」の参考にしよう! 自分仕様的なアイデアを思い浮かべるにも参考になるはず。また、ガレー[…]
メンテナンスの必須項目・エンジンオイル交換はできれば始動暖機後に!!
今回のメンテナンス車両はカワサキKLX250R。レベルゲージの覗き窓を見るかぎりオイル汚れはひどくなく、オイルフィラーキャップの裏側に乳化したハンドクリームのようなエマルジョンの堆積もなかったので、オイル交換せずにエンジン始動。エンジン回転を高めずに暖機運転を行ってからエンジンオイルを抜き取った。
つまり一般的なオイル交換と作業手順は同じである。エンジンオイルは温まると流動性が良くなりスムーズに抜けるのだ。オイル交換の際には、特に不都合な理由がないかぎり、エンジン暖機後にオイル交換を実施しよう。
ちなみにドライブチェーンへの注油も同様。近所をひとまわり走って、ドライブチェーンを温めdた方が、チェーングリスの浸透性が高まって良いのだ。
今回エンジンオイルを交換したのはカワサキ車だが、あえてヤマルーブを使用。『モトメカニック』編集スタッフもマシンオーナーも好みのオイルだ。前身のエフェロ時代からファンが多い。
クランクケース底に締め付けられているドレンプラグのガスケットが完全に潰れていたので、銅製新品ガスケットに交換した。アルミ/銅/鉄のクラッシュタイプと色々ある。
エンジンオイルを交換する際には、フィルターハウジング内の旧オイルもできる限り抜き取りたい。今回は新品フィルターに交換するので、気持ち良く作業進行できる。ウエスで養生。
NTB製オイルフィルターには数種類のOリングがセットになっていた。つまり他の機種でも同じオイルフィルターを利用しているモデルがあり、共用部品化しているのだろう。
フィルター室の奥にセット保持されるはずのスプリングが落下してしまうのはこのエンジンでは珍しくない。無理にフィルターをセットせず、スプリング座を曲げて調整。
スプリング座を曲げてフィルター室に保持できるようになった。このスプリングが外れたままフタを閉じると、フィルター機能を果たさなくなりNGだ。要注意である。
エンジンオイルを抜き取りオイルフィルターを交換したら、ドレンボルトを締め付ける前にウエスでドレン周辺を拭き取り、さらにパーツクリーナーで洗浄後にボルトを復元する。
エンジンオイルは編集部御用達のブランドのひとつ、ヤマルーブ・スポーツの10W-40を利用。4ストエンジン車のエンジンオイルは入れ過ぎないように注意しよう。
エンジンオイルの注入量はレベルゲージでロアレベルから中間の間にする。エンジン始動後にアイドリングさせてからエンジンを止め、両輪接地状態で車体を垂直にしてレベルの窓の範囲内に調整しよう。
各種ケーブルへの注油により、本来の性能を回復
続いて、ケーブルの動きにねっとり感がある際は、ケーブルコンディションを疑おう。劇的な効果を得るには、ケーブルインジェクターを利用し、まずはパーツクリーナーでケーブル内を洗浄。反対側が汚れないようにウエスで養生しよう。
さらにエアーガンに細いノズルを取り付け、ケーブルインジェクターを介してケーブル内をエアーブローする。この作業を繰り返し行うことで効果はより確実になる。最後にケーブル・グリースを使って、ケーブル内にフレッシュな潤滑油を注入。この作業を行うことで、驚くほど作動性は良くなる。
ちなみに新品ケーブルの組み込み時も同様に作業すれば、ケーブルのライフは間違いなく長くなるはずだ。チャレンジしてみよう。
使用したヤマルーブは、左からスーパーブレーキ&オイルクリーナー、防錆潤滑浸透剤、ワイヤーグリースの3種。
その昔、ケーブルインジェクターのパテントはヤマハが持っていた。それだけにヤマハのメンテナンスに対する認識は他のメーカーよりも進んでいた。作動が重く汚れがひどい場合はパーツクリーナーをケーブルに通してみよう。
各種ケーブル類の作動抵抗を減らし、スムーズに動かしてくれるワイヤーグリース。クラッチレバーやブレーキレバーの摺動面やピット部分にも効果的なので、適量塗布しよう。
ウインカースイッチの作動節度のカッチリ感が今ひとつだったので、スイッチハウジングを開いてまずは内部をパーツクリーナーで洗浄する。FI化で不要になったチョーク部品を紛失しないように。
スイッチ操作時の節度が今ひとつでネッチョリ感があるときには、迷わずハウジングをひらいて患部周辺の汚れをパーツクリーナーで吹っ飛ばそう。原因の多くはクモや虫だ。
パーツクリーナーで洗浄しつつスイッチをカチカチ動かす。つぎに防錆潤滑浸透スプレーを要所に吹き付け、さらにスイッチを動かし作動性を高める。吹き付けすぎには要注意。
防錆潤滑浸透スプレーを吹き付けたら作動性を確認し、いい感じになったらスイッチ周辺をエアーブローして不要な潤滑剤を除去する。汚れがひどい場合は綿棒を併用しよう。
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