環境規制の端境期にあり、世代交代の節目を迎えているバイク。ラインナップに大変動が起きるのは必定だ。そこでヤングマシン創刊48年の知恵とカンをベースに、願望&妄想も織り交ぜながら、バイク未来予想を導き出してみた。本ページではスーパースポーツカテゴリーについて、ホンダの新V4=RVF1000Rの可能性を中心に予想する。
舞台はユーロ5の最終決戦。いよいよ新V4計画にGOサインか?!
持てる技術を注ぎ込んだ直4の集大成=CBR1000RR-Rをリリースしたばかりのホンダ。次に着手するのは究極のV4スーパースポーツ=「RVF1000R」と予想したい。
ヤングマシン本誌が以前から提唱していたとおり、そのコンセプトは「現実的な価格で買える最新のRC213V-S」だ。RCV-Sは、’15年に2190万円で限定販売されたモトGP公道レプリカ。まさに究極のV4機だが、既に5年が経過しており、最新のRR-Rに見劣りする部分も出てきた。RCV-Sがサーキット用キットを装着して215psなのに対し、RR-Rは素で218ps。電子制御のほか、ウイング付きの空力ボディなど車体面もRR-Rが上回る。こうしたアップデートを施し、なおかつ戦闘力を維持するには、ユーロ6移行前の今しかない。
加えて、ドゥカティのパニガーレV4Rに対抗する狙いもある。スーパーバイク参戦向けのV4Rは超絶の221psに加え、価格も463.4万円とかなり現実的。排気量を拡大したストリート仕様のSTDも存在する。V4でレースの栄光を築き上げてきた本家ホンダとしては、その威信に賭けて他社の独走を看過するわけにはいかないだろう。ドゥカティ並みに価格を抑え、しかも強いV4をホンダなら市販できるハズだ。
RC213V-S発表後も、基礎研究は地道に続けられていた
「V4」はホンダの重要なシンボルのひとつ。直4のRR-Rと並行して、V4の研究開発も進められてきたとの噂だ。事実、RCV-Sが登場した’15年以降も、V4関連の特許がホンダから意欲的に申請されている。なお、「RVF」の車名は’95年型RVF/RC45以来使われていなかったが、’14年に改めてホンダが商標登録している。
HvsDのガチ市販V4合戦が見たい
ホンダRC213V-S:すでに5年落ち
V4を搭載したモトGPマシン=RC213Vの「扱いやすい、ゆえに速い」というコンセプトを再現した公道マシン。’15年に200台程度が生産された。世界耐久などの市販車レースには、上限価格4万ユーロ(約490万円)をクリアできず参戦NG。5年の間に技術は進歩し、パワーをはじめ、IMU(慣性センサー)が5軸など、最新型に凌駕される面も増えてきた。
ドゥカティ パニガーレV4R:軽量仕様も追加
新開発の90度V4を引っ提げて登場した新旗艦。R仕様は1103ccのSTDに続いて追加された、998ccの本気バージョンだ。スーパーバイク世界選手権(SBK)公認取得モデルの側面を持ち、価格も規定内に収まる。’20年には500台限定仕様の「スーパーレッジェーラV4」も追加。224psにパワーを高め、カーボンフレームなどで驚異の16kg減も果たす。
SS直4最強のRR-Rに挑むのは?!
さて、新V4計画の如何はともあれ、現時点で直4最強SSのCBR1000RR-Rについて。本誌テストではサーキットタイムでBMWのS1000RRを上回り、4速で299km/hに到達。「ライバルがツアラーに感じる」ほど速い。なお’20年3月に行われたSBK初戦ではハスラムの5位が最高位だった。
戦闘力を増したRR-Rに対する最大のライバルの最有力は、ニンジャZX-10RRだろう。’19年の8耐で26年ぶりにカワサキに優勝をもたらし、SBKでは史上初の5年連続Vを成し遂げた名機だ。現行型はユーロ4対応のため、次期型でフルチェンジとの予想もあれば、プチ改良でユーロ5に対応するとの見方も。詳細は’20年内には明らかになるだろう。
創刊48年のヤングマシンが蓄えた知恵とカンをベースに、願望&妄想も織り交ぜながら導き出すバイクの近未来予想。次ページでは600ccスポーツカテゴリーについて、CBR600RRとYZF-R7を中心に予想する。
〈特集〉バイク新車近未来予想
●文:沼尾宏明 ●CG:白圡学 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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