バイクの未来はどこへ向かうのか?

ユーロ6規制の大波に備え、強制進化で二輪車の未来を切り開け【バイク新車近未来予想】

  • 2020/7/24
ユーロ6規制の大波に備え、強制進化で二輪車の未来を切り開け【バイク新車近未来予想】

環境規制の端境期にあり、世代交代の節目を迎えているバイク。ラインナップに大変動が起きるのは必定だ。そこでヤングマシン創刊48年の知恵とカンをベースに、願望&妄想も織り交ぜながら、バイク未来予想を導き出してみた。

過激なモデルが続々登場する流れは当面続きそうだが、実は大幅な強化が予想される排ガス規制ユーロ6が未来に控えており、現在のようなハイパフォーマンスのガソリンエンジン車はこれでラストとなる可能性がある。バイクの近未来を大予想する前に、まずは現状を押さえておきたい。

想定内のユーロ5は”ツワモノどもが夢の中”

厳しい逆境で生物が進化するように、バイクも環境規制が厳しくなるたびに世代交代が進んできた。古くは2ストロークが、12〜13年前にはキャブレター車が消滅。しかし4ストロークやFI(フューエルインジェクション)が台頭し、高性能化を果たした。

近年は、ユーロ4および平成28年排ガス規制でOBD(車載式故障診断装置)やタンク内の燃料蒸発ガスを抑えるキャニスターなどが義務付けられ、ほぼ日本専用だったモデルが殿堂入り。一方で基準調和が進み、海外モデルが国内仕様として登場する例が増えた。

そして、’20年から欧州でユーロ5が新型車に導入され、国内にも’20年12月から順次適用される。’20年から’21年にニューモデルが相次ぐのは、これが理由。有害物質の一層の削減が必要な上に、全排気量で同じ値が求められる。厳しい要求だが、ユーロ4と5はセットで計画された2段構えの規制。従ってユーロ4をクリアしていれば、多くの場合、OBD(車載式故障診断装置)の変更や触媒の大型化で対応できるのだ。

現に大部分のモデルが規制適合しつつ、パワーは横並びか増加している。ユーロ3→4移行時より生産終了モデルは少なくなるだろう。これで規制レベルはクルマにほぼ追いつき、目指すべき一定の水準に達したことなる。

【継続生産車は1年遅れで適応】欧州では新型車への適用から1年後に継続生産車に適用される。ユーロ5相当の規制は日本で’20年末、継続車に’22年11月から適用。 [写真タップで拡大]

【ユーロ6の規制内容は厳しいものになる?】年を追うごとに厳しくなる排ガス規制のユーロ。4以降は国内もほぼ同じ基準だ。「6」はユーロ5が実施された結果によって排出量や内容が決定されるため、詳細は未定。これまで実現不可能と言われるほど厳しい数値を乗り越えてきた歴史があるが、ユーロ6ではさすがに”頭打ち”となるほど強化される、との見方が根強い。高性能モデルを駆け込みで出すなら今だ。 [写真タップで拡大]

内燃機の究極は残り3年で出し切る!

が、次に控える「ユーロ6」で、大幅な強化が噂されている。詳細や導入時期は今後煮詰められるが、馬力ダウンや重量増、コストアップを余儀なくされるとの情報。車両メーカーはそれを見越し、ユーロ5時代(’20年から少なくとも’23年末まで)に、可能な限りパフォーマンスを絞り出した記念碑的マシンを送り出す動きがある。その一例にして先兵がホンダのCBR1000RR-R。今回の大予想特集では、ユーロ5移行に伴う世代交代に加え、究極マシンが数多く登場するが、こうした背景を汲んでいるのだ。

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【直4の究極:’20 ホンダCBR1000RR-R SP】ガソリンエンジン車は、今後の規制強化で性能を絞り出すのが困難になりそう。だからこそRR-Rのような究極マシンが「今」登場している。

【OBD-1の拡張進化となるOBD-2】ユーロ4で初めて義務化されたシステムがOBD(車載式故障診断装置)。O2センサーほか排ガス低減装置の断線や異常を検知するもので、ユーロ5ではより高度なステージⅡが義務付けられた。各メーカーで互換性を持ち、性能の劣化や故障診断頻度などを行い、故障時の使用状況をシステム内に保存。トルク低下も検知する。ユーロ6ではさらに複雑なOBDが要求される? [写真タップで拡大]

【レーダーによるオートクルーズや車車間通信も実装へ】新たな動きとして、クルマで採用が拡大している安全運転支援システムがバイクにも広まりそうだ。電装メーカーのボッシュでは、自動車のシステムをベースとした2輪用レーダーを開発中。衝突予知警報や死角検知が可能となり、前車に合わせて自動で車速を調整するオートクルーズも実現できる。これらは’20年にドゥカティとKTMが採用予定だ。’19年に日本での公道試験も実施済みで、将来的には周囲のクルマとの車車間通信も目指す。 [写真タップで拡大]

そして10年後の’30年以降、電動化の流れがイッキに加速するハズ。つまり’24モデルまでが”究極”のマシンを買える最後の時代になるかもしれないのだ。とはいえ技術の進化で未来が覆る可能性もある。そんな目で本特集を眺めると、より楽しめるに違いない。

“これまで”と”これから”のバイク関連規制年表

〈1998〉平成10年排出ガス規制


〈1999〉ユーロ1+平成11年排出ガス規制

【さよなら2スト】バイクを対象とする大規模な規制がここからスタートした。オイルとガソリンを燃やす2ストローク車は、250クラスが全滅。同じく燃費の悪い4ストレプリカ勢も姿を消した。またGSX1100Sカタナなど基本設計が’80年代のバイクも絶版に。GPz900Rは、2次エア導入装置などで延命したが、’03年に殿堂入りした。


〈2005〉ユーロ2


〈2006〉平成18年排出ガス規制


〈2007〉ユーロ3

【さよならキャブレター】大幅に規制値が強化され、スクーターや125クラスで生き残っていた2ストは全車が絶版に追い込まれた。4ストはFI化や触媒の大型化が必要となり、特にキャブレターのビッグバイクはほぼ淘汰。ただし中にはSR400のように全面改修でFI仕様になったモデルもある。なお測定モードが欧州と異なり、国内入荷しない車両も出た。


〈2012〉平成24年排出ガス規制


〈2016〉ユーロ4+平成28年排出ガス規制

【さよなら日本専用】H24年規制で、国内独自の試験方法から、国連で定めたWMTCモードに変更。さらにユーロ4と同内容のH28年規制で一層グローバル化が進み、ZRX1200ダエグなどのビッグネイキッド、400アメリカン、モンキーといった、ほぼ日本専用だったモデルが軒並み終了に。


〈2020〉ユーロ5+令和2年排出ガス規制

【さよならロングセラー】そして現在。メガスポーツとして人気だったZX-14R、’85年の初代225から代を重ねたセロー250が終了に。セローは排ガスに関してはまだ猶予があるが、灯火類などの規制もあって殿堂入り。’21年10月以降発売の126㏄以上に対し、ABSも原則的に義務化される。


〈2024〉ユーロ6

【さよなら超パワー】ユーロ4の延長線上にあった5に対し、次期規制はよりクリーン化が求められるとの情報。残念ながら、最新スーパースポーツが達成した220㎰オーバーのような馬力は、ユーロ5限りで終了となりそうだ。具体的な内容や実施時期は今後決定されるが、これまでの通例から4年後になるだろう。


〈2030〉欧州を中心に内燃機関が販売禁止に

【さよならガソリン】既に世界各国がガソリン&ディーゼル車の販売禁止を表明しており、北欧やドイツで’30年から開始予定。イギリスや台湾は’35年、フランスとスペインは’40年までに全面禁止となる。東京都が’40年代までに販売ゼロを目指すなど日本も流れから逆らえない。電動バイクの時代は近い?

●文:沼尾宏明/ヤングマシン編集部
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