地上の戦闘機・SS1000クラス

’20新車バイク総覧〈大型スーパースポーツ|外国車〉ドゥカティ、BMW、アプリリア他

スプリントにおける究極の運動性能を追求した、地上の戦闘機・大型スーパースポーツ。そのパワーは220ps時代に突入、MotoGP譲りのウイングも増殖中だ。〈ラインナップ〉ドゥカティ パニガーレ V4 シリーズ|パニガーレ V2|BMW S1000RR/Mパッケージ|アプリリア RSV4 1100 ファクトリー|ビモータ テージ H2|MVアグスタ F4/RR|アストンマーチン&ブラフ・シューペリア AMB001


●文:沼尾宏明、中村友彦、田宮徹 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

スーパーレッジェーラ V4:驚異の16kg減、空力も世界最強

Lツインに替わり、’18年に投入された新世代のV4旗艦SSがパニガーレV4だ。’20では、最上級のV4Rをベースに、究極の性能を追求したスペシャル仕様の「スーパーレッジェーラ」が登場。カーボンフレームやホイールで、乾燥重量はベース車より16kg減となる驚異の159kgを達成した。さらに、複雑な多板構造のウイングを上下2段に与え、ベース車より高いダウンフォースを稼ぐ。心臓部の90度V型4気筒998㏄には専用アクラポヴィッチ製マフラーを与え、224ps超を発揮。パワーウェイト比はクラス最強だ。1日に5台が生産され、500台のみ製造される。日本での発売は未発表だ。

【’20 DUCATI SUPERLEGGERA V4】■水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 998cc 224ps/15250rpm 11.8kg-m/11750rpm ■159kg(乾) シート高835mm 16L ■タイヤF=120/70ZR17 R=200/60ZR17

レッジェーラは、「超軽量」を意味する車名のとおり、フレームからスイングアーム、ホイールまでカーボンで軽さを追求。専用ウイングは270km/h時で50kgものダウンフォースを稼ぐ。翼がNGとなったGPマシンより空力性能で有利だ。

ドゥカティ スーパーレッジェーラ V4

全グレードともデジタル回転計などを示す5インチのカラー液晶を採用。レッジェーラには、へレスなど5つのサーキットの区間座標もデフォルトで含む。

ドゥカティ スーパーレッジェーラ V4

V4R譲りの998㏄を搭載。付属されるサーキット専用のチタンマフラーでは234psを発生する。専用のレース向けライディングモードも開発した。

パニガーレ 25o アニベルサリオ916:500台限定レプリカ

歴史的名車916の誕生から20周年を祝して登場。V4Rと同様のフレームに公道走行可能なチタンマフラーや鍛造マグホイールを奢る。車体色は996SBKをイメージした。

【’20 DUCATI PANIGALE 25o ANNVERSARIO 916】■1103cc 214ps 194kg ●価格:489万円

パニガーレ V4 R:221psの本気仕様

SBK参戦を睨み、’19で投入。V4の1103㏄をショートストローク化し、998㏄に縮小しながら驚異の221psを達成した。独自の軽量フレームやウイングもいち早く投入していた。

【’20 DUCATI PANIGALE V4 R】 ■998cc 221ps 193kg ●価格:463万4000円

パニガーレ V4 S:守備範囲の広い電サス版

ショーワBPFのSTDに対し、V4Sはオーリンズ製の電子制御セミアクティブサスを採用する。STDと同様、ウイングで空力性能を向上。サス設定の変更で旋回性が向上した。

【’20 DUCATI PANIGALE V4 S】■1103cc 214ps 195kg ●価格:344万2000円

パニガーレ V4:入念熟成、翼もゲット

公道向けの1103㏄版は、登場3年目で早くも改良。新たにウイングを獲得し、フロントフレームをV4Rと同じ“穴開き”タイプに変更。足まわりやエンジン特性も熟成した。

【’20 DUCATI PANIGALE V4】■1103cc 214ps 198kg ●価格:277万2000円

ドゥカティ パニガーレ V2:軽快Lツインの959がV4譲りのパッケージに

Lツイン955㏄を積む軽量モデル=959パニガーレが’20年型で車名を改め、パニガーレV2に新生した。欧州排ガス規制ユーロ5に適合しつつ、5ps増。さらに6軸IMUほか電脳が充実した。カウルのほか、スイングアームを両持ち→片持ちとするなど外観もV4と共通イメージに。

【’20 DUCATI PANIGALE V2】■水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブ 955cc 155ps 10.6kg-m ■200kg シート高840mm 17L ●価格:225万円

BMW S1000RR/M PACKAGE:207psに直4最軽量の車体を融合

’09年のデビュー以来、熟成を重ねるゲルマンSS。’19で初の完全新設計を受け、エンジンは8ps増の207psに到達した。さらにシフトカムによる幅広いトルクバンドが自慢だ。車体はフレックスフレームと呼ばれるコンパクト設計で、サスやスイングアームも専用設計。車重は直4勢で最軽量の197kgを誇る。上級版「Mパッケージ」は、カーボンホイールや軽量バッテリーなどで193.5kgを達成した。

【’20 BMW S1000RR/M PACKAGE】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 999cc 207ps/13500rpm 11.5kg-m/11000rpm ■196.5kg シート高824mm 16.5L ■タイヤF=120/70ZR17 R=200/55ZR17 ※諸元はM Package ●価格:283万4000円(STD=231万3000円)

BMW S1000RR/Mパッケージ

BMW S1000RR/Mパッケージ

【シフトカムが武器】直4は吸気側バルブタイミングに加え、リフト量まで可変するシフトカムが特徴。Mパッケージは可変ピボットと車高調整キットも採用する。

アプリリア RSV4 1100 ファクトリー:パニガーレに迫る剛力220psを発生。ボックス型ウイングも獲得

SBKで強いRSV4をベースに、999→1078ccに拡大。従来の204psから220psと大幅なパワー増強を果たしたほか、チタンマフラーなどで5kg減の199kgに到達。ダクトウイングやカーボン外装も獲得している。’20では電サスとカーボンタンクカバーまで与えた。

【’20 APRILIA RSV4 1100 FACTORY】■水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 1078cc 217ps 12.4kg-m ■199kg シート高851mm 18.5L ●価格:291万5000円

ビモータ テージ H2:カワサキの協力で名門復活。ハブステアのハイパーバイク

’72年の創業以来、名門フレームビルダーとして知られた伊ビモータが、カワサキとともに合弁会社を設立し、再生。その第1弾が本作だ。H2譲りの直4スーパーチャージャーと電装系を用い、ビモータが車体やデザインを担当した。’90年代のビモータ・テージに倣い、センターハブステアを前輪に採用。ノーズダイブしない、安定感溢れる操縦性が持ち味だ。車体はフレームレス構造で、前後2連装サスや、巨大なウイングを備えたフルカーボン外装を奢る。5月頃に製品版が公開との情報だ。

【’20 BIMOTA TESI H2】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 998cc ●発売未定

ビモータ テージ H2

従来のテージ1D〜3Dと同様、前輪をアームで支持。リンクを介したロッドでハンドルに接続し、操舵と衝撃吸収の機能を切り離した。

ビモータ テージ H2

スイングアーム内側に前後ショックを並べて配置する独創的な構造。前側サスはエンジン左下のプルロッドを介して作動する。

MVアグスタ F4/RR:イタリアの老舗が生んだ美麗スポーツの代名詞

パイプオルガンマフラーを筆頭に「走る宝石」と称賛される。直4に統合制御の電脳=MVICSを組み合わせ、クロモリ鋼パイプフレームに積む。STDは195psを発生。RRは、これをベースにチタンコンロッドなどで200.8psにまで高め、前後オーリンズを奢る。

【’20 MV AGUSTA F4/RR】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 998cc ■198kg(乾) シート高830mm 17L ●価格:317万9000円(RR)

アストンマーチン&ブラフ・シューペリア AMB001:2大英国ハイブランドがタッグを組んだターボマシン

英国の高級四輪メーカーが発表した初のバイク。同じく英国の伝説的な二輪ブランド=ブラフスーペリアとの共同開発で現代アート的なボディを採用した。997ccVツインにターボを融合し、カーボンやチタンも贅沢に用いる。サーキット限定仕様が100台生産予定。

【’20 ASTON MARTIN&BROUGH SUPERIOR AMB001】■水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブ 997cc 180hp ●入荷予定なし(欧州10万8000ユーロ:1300万円)

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