カワサキ Ninja ZX-25Rの登場により久しぶりに復活する、250cc直4マシンの歴史を振り返る。スズキ・ヤマハ・ホンダが覇権争いにしのぎを削るなか、最後に登場したのがカワサキZXR250。その中身にはワークスマシン直系の技術が惜しみなく注ぎ込まれていた。
●文:沼尾宏明/宮田健一 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
250レプリカが4スト2スト問わず絶頂期に到達しようとしていた'90に、CBRはフルチェンジしてついに「CBR250RR」へと進化。エンジンはさらなる高回転化に成功し、レッドゾーンは1万9000rpm[…]
倒立フォークやラムエア勝てる技術を全部ブチ込む
スズキ・ヤマハ・ホンダが250cc直4をどんどん拡充していくなか、当初カワサキは旧Ninja250のベースともなった水冷並列2気筒をメインに据え、独自路線を貫いていた。そんなカワサキも時代の要請には逆らえず、’89年についにこのクラスにも直4マシンのZXR250を投入。最後発というだけあって、ライバルすべてを置き去りにすべく、その中身はワークスマシン直系の技術が惜しみなく注ぎ込まれていた。
そのエンジンは、サイドカムチェーンやN字コサインカムによる狭いバルブタイミングに加え、同社初のラムエアシステム=K-RASを採用。さらにアッパーカウルからタンク上にかけてズ太いホースでつながれたK-CASがシリンダーヘッドへ走行風を吹きかけて冷却性能をアップし、1万9000rpmまで回るというもの。
車体面もアルミツインスパーのEBOXフレームにクラス初のφ41mm倒立フロントフォークを採用。そして32φの大径キャブレターやクロスミッション、別体リザーブタンク式の減衰調整機構付きサスペンションを備えたSPレース対応のZXR250Rも同時に登場させるなど、文字通り最強4ストニーゴーの名に恥じないものだった。
このカワサキ250cc直4は、その後モデルチェンジしたZXRのほか、中低速寄りにリファインされてバリオス/バリオス-IIにも採用されていったのだ。
ZXR250/R:最後に出てきた”いきなり全部盛り”のスゴいヤツ
’89 ZXR250:カワサキの代名詞「ラムエア」 を一番最初に採用
当時のカワサキとしては珍しく、エンジン・車体とも250cc専用設計として誕生。それだけメーカーにも気合いが入っていた。SPレースで勝 つための要素がふんだんに盛り込まれ、兄貴分に先がけてラムエアシステム(K-RAS)も初採用。K-CAS(カワサキ・クーリング・エア・ システム)のホースは、いかにもレーシングマシンっぽく、クラス初採用の倒立フォークと相まって、その外観も本格的だった。SP仕様のZXR250Rも同時発売。こちらはタイヤもラジアルだった。
’89 ZXR250R:大径キャブのRはレースチューンで真のパワー
STDが30φのキャブを採用していたのに対し、SPレース仕様のZXR250Rは32φを採用。交換不可のレギュレーションに対応していた。馬力規制のため最高出力は同じだが、発生回転数は1000rpm上昇。レースチューンで違いが出た。
’90 ZXR250/R:1年後に早くもマイナーチェンジ
ZXR250はデビュー翌年に早くもマイナーチェンジ。アルミスイングアームを、応力のかかる部分を太くし軽量化も果たしたKIS-ARMに変更した。Rも同様の変更を受けている。
国内4メーカーのうち最後発となったカワサキが投入したZXR250/Rは、いきなり全部盛りの強力なマシンだった。この後、’99最終型より約20年の沈黙を経て、いよいよNinja ZX-25Rとして我々の前に250cc直4マシンが復活する。
'88=A型、'89=B型に続くC型。フルモデルチェンジでエンジンが見直されたほか、フレームも新設計。ヘッドライトは丸目2眼から一体レンズの2眼へと変わった。ホイールもX字型の新型となっている。'92[…]
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