最強の座はV4に譲っても、ドゥカティ定番のLツイン=90度Vツインのスーパーバイクは消えない! ’20年、パニガーレ959が最新のフォルムをまとった「パニガーレV2」へと進化。新たなLツインフラッグシップとなる。本稿ではV2の主要スペック・装備について解説する。
●試乗:丸山浩 ●まとめ:宮田健一
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さらなるエンジンパワーと最新装備を搭載し戦闘力を底上げ
214psという最強スペックで世界をアッと驚かせたパニガーレV4により、すっかりブランド頂点としての”顔”をV4エンジンに移してしまったかのようにも見えたドゥカティ。しかしドゥカティと言えば、長年Lツイン=90度Vツインで名を馳せてきたメーカー。やはり、フラッグシップとしてのLツインも送り込んできた。それが、今回発表された「パニガーレV2」だ。
ここでパニガーレ系の流れをおさらいしておきたい。もともと日本製の直4SSに対抗するため’12年に登場したのが、1199㏄Vツインの「1199パニガーレ」。’15年にはレースレギュレーションにとらわれず1285㏄までアップした「1299パニガーレ」にチェンジした。それでも満足せずパフォーマンスを追求した結果、’18年にV4エンジンの「パニガーレV4」にスイッチ。文字通り最強スーパースポーツの座に君臨したわけだ。
これとは別に、’95年の「748」を祖とする、絶対的パフォーマンスよりも”親しみやすさ”を求めたミドルサイズスーパーバイクシリーズもあった。その流れとして’14年に登場したのが898㏄の「899パニガーレ」で、翌年には排気量を955㏄に上げた「959パニガーレ」に進化。今回のパニガーレV2は、この959パニガーレの後継にあたる。
それに伴い、V2はドゥカティLツインの頂点モデルとなったため、外装はもとより最新電脳デバイスなど、随所にパニガーレV4に負けぬ装備をゲット。ユーロ5に対応しながらパワーも5ps上げてきたなかなかの意欲作なのだ。

ドゥカティ・スーパーバイク’20モデルは、パニガーレV2の新登場とともにV4も進化。V4/Sは、V4Rの技術がフィードバックされてサーキット性能をアップ。ウイングレットが標準装備となったほか、フレームも基本的に同様のものを採用。改良された電子制御システムはV2にも活かされる。 [写真タップで拡大]

955㏄の2気筒スーパークアドロエンジンはユーロ5に適合。最高出力は155psで発生回転数は250rpm引き上げられた10750rpmとなっている。同時に最大トルクも2Nmアップ。クランクケースは重量が最適化され、強度も高まっている。 [写真タップで拡大]
’20年型でV4全車に付いたウイングレットがないことを除けば、その姿はV4と瓜二つ。先代の959では1299との差別化でスイングアームが両持ちとなっていたが、V2ではV4と同じく片持ちにもなっている。

カウルはタンクと結合するメイン部とエアベントとして機能するセカンダリー部によるデュアルレイヤー構造を採用。ヘッドライト近くとなったエアインテークは959より圧力損失が少なくなり、同じ供給量でも吸気効率が向上している。 [写真タップで拡大]
サスペンションは、フロントにショーワのBPF、リヤにザックスのフルアジャスタブルタイプで、サーキットでも良く動きガチガチではないので非常に乗りやすい。
電子制御の完成度もすごい。V2は959より5psアップしているが、通常はちょっとでもパワーを上げるとアクセレーションはギクシャクしがち。しかし、V2の開け始めの穏やかさや、コーナー立ち上がりでワイドオープンにしたときにラインをきれいにトレースしていく様は、ライド・バイ・ワイヤーやトラクションコントロールの高い技術もあってのおかげ。しかも進化したクイックシフターはアップ・ダウンとも非常にきれいにつながって実にスムーズ。走っている間にクラッチレバーを使うことは一切なかった。

メーターパネルは4.3インチのTFTカラー液晶。各種電子制御システムの設定もここで行える。ライディングモードは「レース」「スポーツ」「ストリート」の3段階があり、いずれも最高出力は155psで固定。レスポンスやトラコン、ABSなどの効き具合で調整される。またオプションでブルートゥース機器と接続するドゥカティ・マルチメディア・システムも装着可能だ。 [写真タップで拡大]
ブレンボを使ったブレーキについても、相変わらずドゥカティらしい。いきなりガチンと利くのではなくコントローラブルな設定。もちろん、ABSはIMUを使ったコーナリング対応型となっている。
次稿では、 毎度おなじみ丸山浩氏がサーキットにて新型パニガーレV2に試乗。そのインプレッションをたっぷりお届けする。
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