
ベテランライダーには当たり前でも、若いライダーにとってはキック始動も白煙もとても新鮮に感じられるのが2ストロークモデル。大半の2ストモデルの製造が終了してから20年あまりが経過し、マニアックな一部機種を除けばスクーターすら4ストばかりの昨今。絶滅危惧種となった2スト車を手に入れたいなら、メンテナンスや部品調達を含めた長期的視点に立った車両選びが必須だ。自社内に膨大な補修部品を保有するレッドバロンにて、良好なコンディションで長期間にわたり楽しめるお気に入りの1台を探してみた。
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:レッドバロン
バイクの魅力をダイレクトに感じられる2ストローク。レッドバロンの“譲渡車検”車から運命の1台を探す
シンプルなメカニズムと力強い走りで、原付からスポーツモデルに至るまであらゆるバイクに搭載されていた2ストロークエンジン。だが、2000年を境に環境問題に対応するため徐々に減少し、現在ではすっかり希少な存在となってしまった。
年齢が40代以上なら、たとえ原付でも一度ぐらいは2スト車に乗った経験のあるライダーもいるだろうが、30代以下だと免許を取った時点ですでに周囲に存在しなかったという声も多い。
そんな2ストローク車に乗り続ける際の大きな壁が、補修部品問題だ。メーカーの部品在庫義務期間は販売終了後約7年で、それ以降は保証されていない。製造から20年以上を経過していることも多い2スト絶版車の中には、たった1個の部品のために走行できないという車両も少なくない。
レッドバロンでは、3700機種以上/76万点を超える補修用部品を独自にストックしており、その中にはバイクメーカーで販売終了となった部品も数多く含まれている。レッドバロンならではの“譲渡車検”をクリアした車両は、販売前に入念な整備が施されているのはもちろん、自社在庫部品を含むパーツで購入後の整備やアフターサービスも万全だ。
個性豊かな2ストロークを体験してみたいのなら、レッドバロンの多彩なラインナップを確認してみることをおすすめしたい。
1992 ヤマハTZR250R:レーサーレプリカ最後期の熟成モデル。切れ味鋭いハンドリングにシビれたい
YDS-1 で2ストロークスポーツのジャンルを開拓したヤマハが、1980年代のバイクブームに先鞭を付けたRZ250を登場させた後に、市販レーサーであるTZ250と共同開発を行ったのがTZR250。1985年の初代は前方排気のパラレルツイン、1989年登場の2代目は後方排気、そして1991年デビューの90°V ツインエンジンはすべてその当時のレーサーTZと同様のメカニズムで、レプリカとして再現度はピカイチだった。
新設計のデルタボックスフレームに90°V型2気筒エンジンを搭載し、型式名の3XVで呼ばれることも多いTZR250R。標準モデルに加えて、乾式クラッチやクロスミッションを装備したSP仕様、クラッチのみ乾式としたRSも登場し、1991年のデビューから1999年の販売終了まで、パンチのあるエンジンとキレのあるハンドリングで多くのライダーを虜にした。チャンバー膨張室を避けるための左右非対称スイングアームや、質感の高いデザインも要注目ポイント。
1987 ヤマハSDR:ヤマハならではの個性派シングル。空前絶後のキャラクターに熱狂的ファンも多い1台|
現在でも熱心なファンに愛され続けている、ヤマハでしか実現できなかったであろう個性的な2ストスポーツ。登場したのは1987年で、全体的なイメージは4ストのSRXと似ているが、TCめっき仕上げのトラスフレームとスイングアーム、完全一人乗りのシートカウルなど、こだわりと割り切りの塊。最高出力34馬力を発生するDT200系エンジンは低速からトルクが太く、乾燥重量105kgと125cc並みに軽い車体を力強く走らせた。
レーサーレプリカブームまっただ中に登場したSDRには、当時のバイクメーカーの勢いが溢れている。爆発的な販売台数は見込めなくとも、妥協なく徹底的にこだわり抜くことで、後世まで評価されるという典型的な1台。フレームからスイングアームにつながるトラスデザイン、エンジン幅とほとんど変わらないスリムなガソリンタンク、ボリューム感のあるマフラー、シンプルなメーターまわりなど、ノーマル状態が美しい。
1992 ヤマハDT200WR:DT1から続くヤマハトレールカテゴリーの集大成。リアルエンデューロにふさしい実力を備えたWR
125ccクラスと同等の車体にパワフルな水冷200ccエンジンを搭載したDT200Rが登場したのが1984年。モトクロスブームに乗じて大ヒットしたDTが、市販レーサーであるYZ125ベースの高剛性フレームを採用したDT200WRに生まれ変わったのは1991年。895mmのシート高や300mm近くのホイールトラベル量は、USモデルであるWR200Rと同等で、リアルエンデューロマシンとして異彩を放っている。
1991年、北米ではモトクロッサーのYZとエンデューロマシンのWRが別カテゴリーとなり、日本仕様のDT200WRはUS仕様のWR200Rと同時に開発されたため、サスペンションの仕様などもWRスペックを踏襲。35馬力を発生する199ccエンジンは、YZと同様にセラミックコンポジットめっきシリンダーを採用。フレーム/スイングアーム/前後ディスクブレーキなどはモトクロッサーのYZ用と同等で、オフロード版のレーサーレプリカといっても過言ではない。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
カーコーティングに使える万能ケミカル カーコーティング現場で求められる、(1)洗車後の水が付着した状態で使える (2)水あかが落ちる (3)小キズが消える (4)即座にツヤが出る (5)効果が3ヶ月間[…]
充実のラインナップを揃えるデイトナのスタンド デイトナのメンテナンスアイテム群の中で、特に充実しているのがリアスタンド。スイングアームを受けるアタッチメントを細かく設定しているのが要注目ポイントだ。 […]
87ピースツールキットを“箱ナシ”で販売 下のトレイ入り工具が何故むき出し状態なのかといえば、ストレートでは87ピースツールキットをこの状態、つまり“箱ナシ”で販売しているからだ。セット工具はビギナー[…]
初期型チャピィ用燃調キットがないのでキースターにお願いした 井上ボーリングで注文したTKRJピストンで腰上は新品同様となったものの、新車発売時のスペックどおりピッタリ50km /hで頭打ちとなる、初期[…]
ボルトオンで取り付けできる機種別開発が特徴。CB-F/CBX用ピックアップASSYが新登場 絶版車に共通する弱点のひとつが点火系。ポイント点火車の場合、接点の消耗や点火タイミングのズレがエンジン性能に[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
ホーネット(250)はなぜ大型バイク並の極太タイヤを採用したのか? CBR250RRをルーツとする250cc4気筒エンジンを搭載し、1996年2月に発売されたネイキッドモデル・ホーネット。2007年に[…]
セパハン&バックステップでよりスポーティーに〈2017 XL1200CXロードスター|まー君〉 フロント19インチ/リヤ18インチのホイールをセットするXL1200CXロードスター。前傾のライディング[…]
ハーレー社員のレース好きが高じてオリジナルバイクを創ることに! ビューエル(Buell)といえば、ハーレーの巨大なVツインを積んだスポーツバイクとして1990年代後半に名を馳せたブランド。他にはない個[…]
世界GP制覇の2stロータリーバルブをそのままレプリカに スズキのΓ(ガンマ)といえば250のほうを思い浮かべるかも知れない。確かにRG250Γは250スポーツの常識をことごとく打ち破った革新児だった[…]
モデルS:元祖フォーティエイトタンク!! 2011 XL1200X フォーティエイト:初代はスポーツスター 2010年の夏に発表され、2011年式のラインナップとして登場した初代。スポーツスターがラー[…]
最新の関連記事(レッドバロン)
「ゼロスヘルメットジェット2」へと進化 2012年に登場して以来、多くの支持を得ている「ゼロスヘルメット」。国内で最初期に登場したインナーバイザー付きヘルメットとして話題になり、快適で使い勝手も良いジ[…]
シンプルなメカニズムとスリムなスタイルが融合。絶版車だから味わえる空冷シングルの魅力 「無事之名馬(ぶじこれめいば)」の格言どおり、発売から40年に渡るロングセールスを記録したヤマハSR400は比肩す[…]
開発コンセプトはオフロードのR1。生産終了後も”最強”と呼び声高い! ヤマハのラインナップから姿を消し、はや5年。それでもまだ一般公道を走ることができるナンバー付きデュアルパーパスとしては、最強と呼び[…]
20世紀末の400ccネイキッド、ガラパゴスと言うなかれ ’80年代中盤以降のレーサーレプリカブームに対するカウンターパンチのように巻き起こった、ネイキッド旋風。きっかけは1989年に登場したカワサキ[…]
アクラポヴィッチ テネレ700用スリップオンラインチタンJMCA ストライカー ラジエターコアガード’22 カワサキZ650RS用 デイトナ ホーク11用パイプエンジンガード ヨシムラジャパン ハヤブ[…]
人気記事ランキング(全体)
突然の交通取り締まり! 違反をしていないときでも… 交通ルールを守って安全運転に努めているのに、とつぜん取り締まり中の警察官に止められてしまった経験がある方は多いはずです。 「え? なにか違反した?」[…]
ビッグ・ホーネットの派生で待望のネオクラが来る! ホンダが2025年モデルとして「CB1000」という名称のバイクを登場させる。本誌が掴んだ最新情報である。……が、事情通の方なら既報のビッグ・ホーネッ[…]
ヤマハ新世代125cc/155ccの先鋒が兄弟そろって登場! ヤマハは、今春のモーターサイクルショーに市販予定車として出展した4車のうち、「YZF-R125」「YZF-R15」を正式発表。大型バイクや[…]
Snap-on(スナップオン):世界初のソケット工具を開発 1本のハンドルにソケットをかわるがわる取り付けられる構造。現在のソケットレンチを発明した創業者によって、1920年にアメリカで設立されたスナ[…]
おお、デカ目! 北米セローはXT250の名で存続、極太タイヤのTW200は懐かしの四角ライト 日本国内では、2020年7月31日にセロー250ファイナルエディションの最後の1台が出荷されてから3年が経[…]
最新の投稿記事(全体)
BMWの特別な称号「M」がネイキッドにも! BMWはクルマのセダンでもスポーツ性の高さをアピールしてきたメーカー。その中でもほぼレース仕様といえる過激なパッケージには「M」という特別な称号が与えられて[…]
ホーネット(250)はなぜ大型バイク並の極太タイヤを採用したのか? CBR250RRをルーツとする250cc4気筒エンジンを搭載し、1996年2月に発売されたネイキッドモデル・ホーネット。2007年に[…]
車名の後ろに排気量の数字が入るのは欧州仕様が初めて カワサキは、北米やインドネシアに続き、欧州でも451cc版エリミネーターを発表した。正式名称は「エリミネーター500」「エリミネーター500 SE」[…]
高品質な革を使った小物アイテム クシタニの革製品を触ったことのある方はご存じだろうが、クシタニの革はものすごく肌触りがいい。きめが細かく高品質で、レーシングスーツですら武骨なレーシングシーンからは想像[…]
スズキは、同社のアドベンチャーモデル「Vストローム」シリーズのユーザー参加型イベント「Vストロームミーティング 2023」を昨年に引き続き開催すると発表した。すでにオンラインストアではオリジナルグッズ[…]
- 1
- 2