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阿部恵斗の世界を見据えた挑戦 vol.3【日本人最速を見せつけたアジアロード】

「Team 51 GARAGE YAMAHA」の阿部恵斗の挑戦を追う第3弾。今回はスポーツランドSUGOで開催された「アジアロード選手権」を追った。昨年同じ大会に参加した時は「Abe?」と見向きもされなかったが今年は違う。日本人最速・阿部恵斗をしっかりと見せつけた。


●文:Racing Heroes(駒井俊之)  ●写真:Racing Heroes(駒井俊之)

駒井俊之(こまい・としゆき)/1963年生まれ。バイクレース専門サイト「Racing Heroes」の運営者。撮影から原稿製作まで1人で行う。“バイクレースはヒューマンスポーツ”を信条に、レースの人間ドラマを追いかけている。

予選、阿部はマークされていた。昨年では考えられない状況

今年の阿部は全日本ロードレースでその速さを見せている。開幕戦:2位、第2戦SUGO:優勝&2位と全て表彰台に立ちランキングトップを歩んでいる。今年からチームメイトとなった西村硝との好敵手関係もレベルアップに寄与している。

良い流れで乗り込んできた初日のフリープラクティス(FP)。FP2で1’30”568と従来のタイムをコンマ5秒上回るコースレコードを記録する。しかし、FP3でKhairul Idham Pawi(カイルール イダム パウイ)が1’30”503をマークしてわずか100分の6秒差でレコードを奪われる。しかし意に介さない。「悔しいは悔しいですけど、一発のタイムもアベレージも持っていますので、決勝レースに向けては問題ありません」

土曜日の予選、阿部はマークされていた。昨年では考えられない状況だ。アジアロード選手権には予選用タイヤ「Qタイヤ」が認められている。数周しか保たないが大幅なタイムアップが期待できる。阿部も「Qタイヤならトップタイムも狙えると思います」と自信をのぞかせる。

SS600クラスはスリップストリームを使うとタイムを出しやすい。だから速いライダーの後ろにつきたがる。阿部もQタイヤに替えてAZROY HAKEEM ANUAR(アズロイ・ハキーム・アヌアール)の後ろにつこうとしたがアズロイが急にアタックを止めた。「終わった、と思いました(苦笑)」。そこに他のライダー達が阿部のスリップをもらいに後続につき、阿部のタイムが伸びない。1’30”411。序盤に出したタイムからコンマ4秒しか上がらなかった。

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