
バイクを操る最大の醍醐味であるシフトチェンジ。とはいえ、果てしなく続く渋滞路や疲労困憊の帰り道では、クラッチを握る左手が悲鳴を上げることもあるだろう。そんなライダーのジレンマを鮮やかに解消するホンダの革新技術「Honda E-Clutch」が、ついに小型二輪クラスに搭載されることになった。それが5月に発売されるロードスポーツ「CBR400R」、6月に登場するクロスオーバー「NX400」の2026年モデルだ。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:ホンダ
疲労ゼロと操る歓びの融合。Eクラッチの真価
クラッチ操作の自動化といえば、ホンダにはすでに「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」という確立された技術がある。しかし、DCTが約10kgの重量増を伴う完全な自動変速(AT)であるのに対し、Eクラッチは「ライダーが自らシフトペダルを操作する」というマニュアルの基本構造を残しているのが最大の特徴だ。
クラッチのシャフト部分をモーターで駆動し、緻密な電子制御によって発進・変速・停止時の半クラッチ操作を自動で実施。ライダーは左手をグリップに添えたまま、左足のシフトペダルをかき上げるだけで、まるで熟練ライダーのような滑らかなシフトチェンジが可能になる。システム重量の増加はわずか2〜3kgに抑えられており、バイク本来の軽快な運動性能を一切スポイルしないのだ。
さらに素晴らしいのが、「いつでも手動操作に戻れる」という点だ。自動制御中であっても、ライダーがクラッチレバーを握った瞬間にマニュアル操作へとシームレスに切り替わる。
Uターンなどの極低速時や、スポーツ走行で自らクラッチを切りたい時には、これまで通りのテクニックを存分に振るうことができる。まさに、ライダーの「楽をしたい」と「自分で操りたい」というわがままを同時に叶えてくれる魔法のシステムなのである。
待望の400ccクラスへ。CBR400R E-Clutchが放つスポーツ性
この革新的なEクラッチが、満を持して水冷直列2気筒399ccエンジン搭載モデルに採用された。その第一弾として2026年5月21日に発売されるのが、フルカウルスポーツ「CBR400R E-Clutch」だ。
最高出力46psを発揮する扱いやすくもパワフルなエンジンと、レーシングマシンを彷彿とさせるアグレッシブなスタイリング。Eクラッチの恩恵により、ワインディングではブレーキングと体重移動のみに意識を集中できるため、コーナリングの楽しさが何倍にも膨れ上がるだろう。
カラーリングは、ホンダのレーシングスピリットを体現するトリコロールの「グランプリレッド」(1,089,000円・税込)と、継続職で精悍な印象を持つ「マットバリスティックブラックメタリック」(999,900円・税込)の2色が用意されている。195kgという適度な重量と車格は、初めてのスポーツバイクとしても最高の選択肢となるはずだ。
旅の可能性を無限に広げる。NX400 E-Clutchの快適性
そして続く6月18日には、どこへでも行けそうなアドベンチャースタイルのクロスオーバーモデル「NX400 E-Clutch」が発売される。こちらは「マットバリスティックブラックメタリック」(1,111,000円・税込)の1色展開で、黒を基調としつつ青とオレンジのアクセントが冒険心をくすぐるデザインに仕上がっている。
アップライトで視界の広いライディングポジションと、長距離走行を想定した足まわり。そこにEクラッチの「左手が疲れない」という圧倒的なベネフィットが加わることで、このバイクは最強のツーリングマシンへと進化する。
見知らぬ土地での信号待ちや、Uターンが連続するような細い山道でも、エンストの恐怖から完全に解放される。心に余裕が生まれることで、ライダーは目の前に広がる絶景や、風の匂いをより深く感じ取ることができるようになることだろう。
マニュアルの未来を切り拓く、新しい相棒
シフトペダルによる操作の楽しさを残しながら、クラッチレバーの呪縛から左手を解き放つHonda E-Clutch。それは単なる「便利機能」ではなく、ライダーがより純粋に走りと向き合い、遠くへ行くための「心の余裕」を生み出す画期的なテクノロジーだ。
スポーツライディングの限界を引き上げるCBR400Rか、果てしない旅の疲労を癒やすNX400か。どちらを選んでも、クラッチ操作から解放された新しいマニュアルの世界が、あなたのバイクライフをアップデートしてくれるかもしれないぞ。
HONDA CBR400R E-Clutch/NX400 E-Clutch COLORS
【HONDA CBR400R E-Clutch】●グランプリレッド
【HONDA CBR400R E-Clutch】●マットバリスティックブラックメタリック ※継続色
【HONDA NX400 E-Clutch】●マットバリスティックブラックメタリック
HONDA CBR400R E-Clutch/NX400 E-Clutch SPECS
| 項目 | CBR400R E-Clutch | NX400 E-Clutch |
|---|---|---|
| 全長 / 全幅 / 全高 | 2,080 / 760 / 1,145 mm | 2,150 / 830 / 1,390 mm |
| 軸距 | 1,410 mm | 1,435 mm |
| 最低地上高 | 130 mm | 150 mm |
| シート高 | 785 mm | 800 mm |
| 車両重量 | 195 kg | 199 kg |
| 最小回転半径 | 2.9 m | 2.5 m |
| 乗車定員 | 2 名 | 2 名 |
| WMTCモード値燃費 | 28.1 km/L(クラス3-2)<1名乗車時> | 28.1 km/L(クラス3-2)<1名乗車時> |
| エンジン型式・種類 | NC65E・水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒 | NC65E・水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒 |
| 総排気量 | 399 cm3 | 399 cm3 |
| 内径×行程 | 67.0 × 56.6 mm | 67.0 × 56.6 mm |
| 最高出力 | 34kW[46PS] / 9,000rpm | 34kW[46PS] / 9,000rpm |
| 最大トルク | 38N・m[3.9kgf・m] / 7,500rpm | 38N・m[3.9kgf・m] / 7,500rpm |
| 燃料タンク容量 | 17 L | 17 L |
| クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング式 | 湿式多板コイルスプリング式 |
| 変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | 常時噛合式6段リターン |
| キャスター角 / トレール量 | 25°30´ / 102 mm | 27°30´ / 108 mm |
| フロントタイヤ | 120/70ZR17M/C 58W | 110/80R19M/C 59H |
| リアタイヤ | 160/60ZR17M/C 69W | 160/60R17M/C 69H |
| 懸架方式 (前 / 後) | テレスコピック式(倒立サス) / スイングアーム式(プロリンク) | テレスコピック式(倒立サス) / スイングアーム式(プロリンク) |
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