まずは浮かせてみる!! フロントアップを上達させる6つのドリル〈渡辺学のオフロードライディング指南|前編〉

世界的ライダー・渡辺学選手によるオフロードライディング指南企画『渡辺学のスキルアップラボ』から、フロントアップの練習ドリルを前/中/後編で紹介する。前編では、フロントを浮かすことに加えて、車輪が浮き上がる感覚や回転数を感じるところから始める。フロントアップをマスターできれば、レースの成績が上がるだけでなく、ケガのリスクも抑えられる。さあ克服していこう!!


●まとめ:ゴー・ライド編集部(山田晃生) ●写真:長谷川徹 ●取材協力:ウエストポイント

【ツイスターレーシング 渡辺学】JNCCシリーズでは5度のチャンピオンに輝いた当ラボ主任。’22年JNCC開幕戦プラザ坂下大会でみごと優勝!! 今年も全日本モトクロス選手権に監督として参戦するほか、ヒーローズえんでゅーろやWEXなどのイベントにも参加予定だ。そして、もちろん本業のマナブ餃子も随時オーダー受付中!(twisterracing.com@gmail.com)! マナブ先生は今日もオフロードを走り、ギョーザを焼く。

フロントアップを少ないリスクで練習しよう

フロントを浮かせるテクニックは、エンデューロレースに挑戦するにはもはや必須といえる。オフロードライディングを楽しむ上でも自由度が高くなるため、マスターしておいたほうがいいのは間違いない。しかし、フロントが浮くことに恐怖心がある人も少なくないはず。そこで今回は、ちょっとずつフロントを浮かせてカラダを慣れさせ、少ないリスクで練習する方法を解説しよう。

マナブ先生「30cmくらいの小さめの丸太を越える時、タイヤの接地面が5cmでも浮いていれば、フロントサスペンションが伸びきっている状態。コレだとサスがしなやかに動く初期状態を使えます。丸太に当たった際にスッと入ってくれるし、リフト量が5cmほどであってもサスも上方向に力が働いている状態なので、乗り越えやすくなるんです。しかし、前輪が接地したままだと、サスはすでにある程度沈んでいて、当たった時に衝撃を逃がせず突き刺さりやすい。サスストロークを有効に使う意味でも、浮かせることは重要なのです。

ほかにも、木の根で滑りやすい路面などでもフロントを浮き気味にしておくことで、サスの初期状態を使って吸収力をフルに発揮でき、木の根や濡れた岩でもツルっと滑らず安全に通過させることができます。

このフロントアップを練習するうえで大事なのは、アクセル操作とクラッチをミートする(つなぐ)タイミングだと思います。アクセルを開けていって、回転数がちょっと上がった時点でクラッチをミートするイメージです。同時ではなく、ちょっとだけアクセルが早いんです。

またボクの場合ですが、浮かせる直前にフロントブレーキを使ってフォークを縮める予備動作をしていません。理屈は分かるし上手な人は簡単に行えると思うのですが、ひとつ動作が増えるため、難しい気がするし疲れてしまいますからね。予備動作の有無は好みもあるので、自分がやりやすい方法を選んでください」

スキルアップドリル1:前進しながらフロントアップ

低速で前進しながらのフロントアップは、スタンディングで行う。杭などの目標物を設定すれば、より実践的な練習ができるだろう。

マナブ式ではフロントブレーキを使ってフォークを沈める動作はせず、ヒザをやや曲げ、ステップへの荷重で前後サスを少し沈める。

上に引き上げるのではなく、後方に引くようなイメージで体重移動。アクセルを開けていく。

前輪を杭の手前で浮かせて乗り越えさせる。前輪が杭に当たった衝撃をきっかけにウイリーさせるのもアリ。アクセルは一気に開けず、トラクションを意識しながら。

まくれそう(フロントが上がりすぎ)になったら、リヤブレーキを踏めば前輪は落ちる。練習する時は、いつでもリヤブレーキを踏める状態にしておくこと。

スキルアップドリル2:斜面を使って前輪が浮く回転数を感じる

前輪が浮く感覚は、停車状態でも養える。

前輪が後輪より高い位置になるユルい斜面で停車する。シートの後方に座り、身体はリラックス状態に。この時、シートの前~真ん中あたりに座ってしまうと浮きにくい。

アクセルを開けながらクラッチをミートさせる。どのくらいのアクセル開度とミートのタイミングでフロントが浮くかを、カラダで覚えるのが大事。まくれ防止のため、ここでもリヤブレーキをいつでも踏める状態にしておく。

アクセルを戻して前輪を落とす(リヤブレーキを踏んでもOK)。そのままバックさせれば、何回も反復練習がやりやすい。

引き続き中編では、フロントを浮かせるだけでなく、フロントアップを使った方向転換や応用技を身につける2つのドリルを紹介する。


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