[元白バイ警官が解説]バイクのすり抜けって許される場合はあるの? 道交法違反しないためのポイントは?
「すり抜け」は一般的に使われている言葉ではあるものの、実は道路交通法上では存在しない言葉です。信号待ちの車両や渋滞等で低速走行している車両のすぐそばやその間をオートバイで追い越したり、追い抜いたりといった行為がそれにあたります。
こう聞いて、疑問を抱いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。「追い越す」と「追い抜く」の違いは何なのかと。
追い越しと追い抜きの違い
追い越しとは「進路を変更したり、車線変更して前の車両の前方に出ること」を言いますが、道路交通法第2条において次のように定められています。
車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
道路交通法第2条
これに加えて、
車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両の右側を通行しなければならない
道路交通法第28条
によれば、左側からの追い越しは違反となっています。
一方の追い抜きは、「進路変更を行わずに前方の車両等の前に出ること」を示しています。運転免許を取得する際に、誰もが学んできていることですが、忘れがちであったり、少し誤った解釈をしていたりします。
そうした個々人の認識の違いにより、「こういうケースのすり抜けは許される」とか、「こういった場合はダメだ」とか間違った認識が生まれているのです。「どんなすり抜け方だと捕まらないの?」とか「すり抜けは違反行為だよね?」といったことを聞かれることもよくありますが、基本的に私は、渋滞時に見かけるようないわゆる「すり抜け」は違反だと答えています。
「やっていいすり抜けなんてないんだよ」と。 ただ、先にも述べたように、道路交通法上ではすり抜けといった用語が存在しないためにそれを禁止する法律も、今のところありません。追い抜きに該当する場合、すべてのすり抜けが違反なのかと言ったらそうではないので、理解しがたいところではあります。
すり抜けても捕まらないためには
とはいえ、ライダーともなれば「すり抜けても捕まらない方法はないの?」とか「捕まらないためにはどうしたらいい?」といった疑問の答えは知りたいところでしょう。
同じライダーとして、私もそういった気持ちはよくわかります。渋滞時にするする抜けていけるのは二輪車の特権だとも言いたくなりますよね。だから、絶対にすり抜けはしないでくださいとも言えません。
許される”すり抜け”のポイントは、追い越しと追い抜きの違いや、追い越しが禁止されている場所を知っておくことです。
追い越しと追い抜きの違いは前述したとおりなので、追い越しが禁止されている場所はどこなのかというと下記の9つになります。
- 標識などにより追い越しが禁止されている場所
- 道路の曲がり角付近
- 上り坂の頂上付近
- 勾配の急な下り坂
- トンネル(車両通行帯の設けられた道路は除く)
- 交差点とその手前から30m以内の場所
- 踏切とその手前から30m以内の場所
- 横断歩道とその手前から30m以内の場所
- 自転車横断帯とその手前から30m以内の場所
また白の破線、白の実線、黄色の実線といった道路上の線も重要です。白の実線、黄色の実線が引かれた道路では、線をはみ出しての追い越しは違反とみなされます。白の破線は、車線を越えた追い越しも追い抜きも違反にはならず、白の実線、黄色の実線でも車線をはみ出さなければ追い越し、追い抜きともに可能であります。
また、道路の両端には、車道外側線と呼ばれる白線で区切られた細い通路が存在する道路があります。この細い通路が路肩なのか、路側帯なのかで、そこを通行したり、追い抜くことが可能か否かが変わってきます。
ちなみに路肩と路側帯について補足しておくと下記のような違いがあります。判断がつくようにしておきましょう。
- 路肩
外側に歩道があるもの。人の乗り降りや荷物の積み下ろしのために駐車することができる。追い抜きが可能 - 路側帯
外側に歩道がないもの。歩行者のためのスペースであり、車両の進入、駐車はできない。追い抜きは違反となる
「すり抜け」をしたくなる人の心理
ところでみなさんは、どういったときに「すり抜け」をしたくなりますか。当たり前ですが、やはり通勤時をはじめとして、急いでいるときが多いのではないでしょうか。
現代の日本人はせっかちです。だから急いでいるわけでもないのに、時間がないわけでもないのに、急いでしまうといったライダーやドライバーの割合が非常に高いという現状があります。ただでさえ、そういう性質である私たちに必要なのは時間と心のゆとりといえるでしょう。ギリギリの時間設定は極力避けたいものですね。
結論・・・すり抜けはしていいのか、いけないのか
「すり抜け自体は褒められた行為ではないけれど、ついついやってしまう」そういったライダーが多いのではないかと思います。そのすり抜けが追い越しにあたるのか、追い抜きにあたるのか、いろんなケースがあるので、すべてが違反だとも違反でないとも言えませんが、なんらかの違反行為にあたるケースがほとんどです。
しかし、軽微な違反をすべて検挙していたら、ライダーのほとんどが捕まってしまうことになるため、「極めて危険な場合を優先して検挙する」というのが警察の立場です。
結論から言うと、すり抜けは非常に危険な行為であるため、「していいのか、いけないか」ではなく、「しないほうがいい」です。 「これくらいなら許されるだろう」ではなく、最低限のマナーを守るライダーでありたいですね。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(宅島奈津子)
オートバイのメンテナンスは大切 オートバイや乗用車に限らず、どんな乗り物でもメンテナンスは必要不可欠です。定期的にメンテナンスを行うことで、長く乗り続けることができるだけでなく、事故を防ぐことにもつな[…]
基本的なライディングフォーム バイクファンであれば一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、時に白バイ隊員は公道を走るスペシャリスト集団とも言われています。ですが、走行中はライディングフォームを意識す[…]
寒い時期のツーリング 冬はライダーにとって、本当に過酷な季節です。急激に気温が下がったりしてきましたが、オートバイに乗られているみなさんは、どういった寒さ対策をしていますか。 とにかく着込む、重ね着す[…]
みなさんは、トライクという乗り物をご存知でしょうか。ライダーであればほとんどの方が、目にしたことがあるかと思います。なかには乗ったことがある方も、いらっしゃることでしょう。 このトライク、語源はトライ[…]
交通取締りが行われている場所 安全運転を心がけていても、パトカーや白バイの姿を目にすると、必要以上にドキッとしたり、速度メーターを確認したりするといった経験がある、ドライバーやライダーは少なくないので[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
命と未来を守る20日間の誓い:第51回二輪車安全運転推進運動 生身の体で風を切り、その流れと一体になるバイク。その楽しさを支えるのは、揺るぎない安全と安心だ。一般社団法人 日本二輪車普及安全協会(以下[…]
Z900RS 2027年モデルに新色 カワサキの大人気レトロスポーツ「Z900RS」シリーズの2027年モデルが発表され、8月1日より順次発売を開始した。前年モデルで電子制御スロットルや双方向クイック[…]
三重SA・PA推しテイクNo.1が決定! 今夏の全国推しグルメもまとめて 鈴鹿8耐やF1日本グランプリが鈴鹿サーキットで開催される三重県。その三重県のサービスエリア/パーキングエリアの店舗を対象に、中[…]
EVビジネススクーター「ギアレヴ」発売 ヤマハを代表するビジネススクーター「ギア」のDNAを受け継ぐ原付一種EV「ギアレヴ」と「ニュース ギアレヴ」が、先月17日に発売された。ホンダ製着脱式バッテリー[…]
予測不能な雨の鈴鹿、極限状態に挑む熱気 2026年7月5日、「2026 FIM世界耐久選手権 “コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第47回大会」が開催された。昨年に続き2度目の観戦となる若月[…]
人気記事ランキング(全体)
大型の重さと250の非力さに悩むあなたへ贈るスポーツツアラー 普段のツーリングで、愛車の取り回しに苦労したり、高速道路の登り坂や追い越しで「もう少しパワーがほしい」とヤキモキした経験はないだろうか。そ[…]
2027年型Z400はカラーチェンジで大人の色気をまとう カワサキのミドルクラスを牽引するスーパーネイキッド「Z400」に、早くも2027年モデルが登場する。 2026年モデルで採用されていた、グレー[…]
ライダーの「欲しい」を凝縮!5つのハイパー進化ポイント 大ヒット作「WIDE/REST(ワイドレスト)チェア」の進化版となる『WIDE/REST ハイバックチェア』が新発売!バイク乗りのツボを熟知した[…]
Screenshot 真夏のツーリングを終えて帰宅すると、暑さと疲れから「早くバイクをガレージにしまいたい」と思うものです。しかし、走行直後のバイクには虫汚れが付着していたり、発汗によるヘルメットやジ[…]
EVビジネススクーター「ギアレヴ」発売 ヤマハを代表するビジネススクーター「ギア」のDNAを受け継ぐ原付一種EV「ギアレヴ」と「ニュース ギアレヴ」が、先月17日に発売された。ホンダ製着脱式バッテリー[…]
最新の投稿記事(全体)
2026年モデルと同一価格! 物価高に立ち向かう72万6000円の価値 新車価格が上昇し続ける昨今、愛車選びに迷うライダーにとって、この価格据え置きは確かな恩恵だ。 今回の2027年モデルはカラー&グ[…]
レーサーの皮膚と心臓をそのまま移植した「HAYABUSA X-1」 1999年に新設されたS-NK(Xフォーミュラ)クラスにおいて、ヨシムラはデビューしたばかりのスズキ・ハヤブサで参戦し、同年の王座と[…]
シートにフィットする「ボトムカット形状」 最大の特徴は、細見なリアシートにもフィットする独自の「ボトムカット形状」。接地部の面積が小さくても上部に行くほど広くなる設計で、充分な容量を確保。装着時にバッ[…]
注目の目玉!「NEW F 450 GS」日本お披露目&エンジン解体ショー! なんといっても今回の最大のトピックは、次世代アドベンチャーとして熱い視線が注がれる「NEW F 450 GS」だ。 本国ドイ[…]
命と未来を守る20日間の誓い:第51回二輪車安全運転推進運動 生身の体で風を切り、その流れと一体になるバイク。その楽しさを支えるのは、揺るぎない安全と安心だ。一般社団法人 日本二輪車普及安全協会(以下[…]

![[元白バイ警官が解説]バイクのすり抜けって許される場合はあるの? 道交法違反しないためのポイントは?|[元白バイ警官が解説]バイクのすり抜けって許される場合はあるの? 道交法違反しないためのポイントは?](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/05/image3-768x387.jpeg)
![[元白バイ警官が解説]バイクのすり抜けって許される場合はあるの? 道交法違反しないためのポイントは?|[元白バイ警官が解説]バイクのすり抜けって許される場合はあるの? 道交法違反しないためのポイントは?](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/05/image1-1-768x512.jpeg)

































