250cc4気筒マシン。かつては、「速いのは音だけじゃないか」と揶揄された。でも、今こそ胸を張ろう。「音だけ速ければ十分だ!」と。30年を経て、時代がようやく追いついたのだ。カワサキ Ninja ZX-25Rは、これからのスポーツバイクの道標だ。
文:高橋 剛 ●写真:鶴身 健/真弓悟史 ●CG構成:白圡 学 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ようやく時代が追いついた。
ZX-25Rは、騒がしい自分の周辺をクールに眺めながら、ZXR250にそう語りかける。
ガチの速さが本当に必要なのかを考える時代。自分たちの身の丈にあった性能を求める時代。無理なく楽しめるバイクを望む時代。そして、本当の意味で「いいもの」を愛でる時代。
それが、今だ。250cc4気筒のZX-25Rが、今、すべてを叶える。
ガチの速さは、きっとこのバイクにはないだろう。規制やらコストやら、あるいは社会の目やら、現実的な制約がこのバイクにはのしかかっている。それが現代に生まれるバイクの宿命だ。
しかも、はっきり言えば、しょせんは250ccなのだ。ラップタイムなんて、たかが知れている。ガチで速いリッタースーパースポーツ勢とは比べるべくもないだろう。
けれど、それでいい。
いや、それがいい。
消去法じゃない。積極的に、250cc4気筒がいい。
ZX-25Rには、(おそらく)気持ちよく回るエンジンと、気持ちいいエキゾーストノートがある。(確実に)最新のエクイップメントがある。
そして、ラップタイムがガチのスーパースポーツには敵わないとしても、値段は(おそらく)半分以下だ。それなのに、楽しみは倍だ。
250ccのZX-25Rは、気兼ねなくアクセルを開けられるだろう。そして、爽快なエンジン音に包まれるだろう。待っているのは、おびえる必要のないスポーツライディングだ。走らせてナンボのバイクを、思いっ切り走らせられるという喜びだ。
ZX-25Rは、間違いなく高性能だ。でも、手のひらに収まる。手が届く今の時代を生きるオレたちの、本当の意味でのスポーツバイク。
バイクは、オレたちにとって趣味だ。命を懸けるものじゃなく、人生を豊かにする遊びのひとつだ。そして、本気の遊びは、ZX-25Rのように、洒落の効いた存在であるべきなのだ。
主役を張るだけの力。そして時代の後押し。燃え盛れ、新しい炎。
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