倒立+モノブロックの足まわり

’20 カワサキ Ninja ZX-25Rシャーシ解説【レースを視野に入れた設計】

脳天を貫くフォーミュラサウンド、2万rpmに迫る超高回転域…。長らく途絶えていたハイメカの極致、250cc直列4気筒モデル「Ninja ZX-25R」がカワサキの手で現代に甦る。スタイリング編/エンジン編に引き続き、本ページでは大型スーパースポーツ並みのアイテムを奢った車体まわりについて解説する。


●文/まとめ:沼尾宏明 ●写真:真弓悟史、編集部 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

SFF-BP+ラジアルマウントキャリパー投入。レース参戦を睨んだ、余力を秘めた車体設計

カワサキ Ninja ZX-25Rの車体まわりについて、その白眉はクラス唯一となるSFF‐BP(ビッグピストン)とラジアルマウント式モノブロックキャリパーだ。ともに大型SSに採用される装備で、一歩進んだスポーツ走行を可能にするアイテム。ディスクはシングルながらダブル化も容易そうだ。

フレームは、近年のカワサキが得意としている高張力スチールパイプを用いたトレリス構造。Ninja250も同様だが、ZX-25Rではエンジンハンガー〜メインフレームを二重のパイプとした。さらにスイングアームは、ホンダCBRなどと同様、フレームにマウントした高剛性タイプ。プレス構造のスチール製ながらアジャストナットでピボットを締結し、高い精度を追求している。リヤショックはZX-10Rでおなじみの水平リンク式。大容量のマフラー膨張室を実現し、マスの集中化、適切なしなりなどの効果を生む。それら各部にはレースを視野に入れた設計が窺える。

【応答性優秀な倒立フォーク】ZX-6Rも採用する倒立フロントフォーク・ショーワ製SFF-BPを獲得。クラス初のアイテムで、大型ピストンによって沈み込み初期のコントロール性に優れる。アンダーブラケットは高剛性なボルト2本留め。片やフロントアクスルのクランプボルトは1本で、適度に剛性を抜いている?

フロントフォークは非調整式の模様で、径は不明。トップキャップには「SHOWA SFF-BP」の文字が入る。

【クラス最強のブレーキ】(左)1ピース構造のモノブロックキャリパーは、Z1000系と酷似した対向4ポット。これをタイヤの回転方向に配したボルトで締結するラジアルマウントで装着。高い制動力と操作性が予想される。同クラスではKTMのRC250がラジアルマウントだが、モノブロックではない。(右)ホイール左側のハブにはローターをネジ留めできそうなボス部が存在。レーサー仕様またはマイチェンでのWディスク化を想定したものか?

【メインパイプ2本の高剛性フレーム】近年のカワサキは、独自の解析技術を用い、軽量化と最適な剛性を両立した高張力鋼トレリスフレームをH2シリーズなどに採用。ZX-25Rにも新設計で、同様の骨格を導入してきた。NinjaやYZFのメインパイプが1本なのに対し、RRに似た高剛性な上下2本構造。また、H2やNinja250がエンジンプレートにスイングアーム保持の役割を持たせ、しなやかさを演出するのに対し、25Rはフレーム自体にしっかりしたピボットを設定した。メインパイプ合流部ピボット周辺の剛性もRRより高そう。

【湾曲アームはピボットに秘密が】スイングアームは、マフラーの容量を稼ぐため右側が湾曲、左側がストレート構造の左右非対称タイプ。軽さと強度、コストのバランスからプレス式のスチール製とした。一方でピボット部にはコストのかかるアジャストナットを使用し、締結トルクとクリアランスの精度を追求している。

【ライバルにはない水平リンク式】カワサキ大排気量車が多用するホリゾンタルバックリンク式リヤサスを導入。湾曲アームと合わせ、膨張室の容量確保に貢献する。加えて、サス上端のマウント位置をピボットから離すことで、しなやかな操縦性をもたらす。カム式のプリロード調整を備える。

【リヤキャリパーは1ポットに変更】ニッシン製キャリパーはZ900などと同じ片押し1ポットか。Ninja250が2ポット+φ220mmペタルディスクなのに対し、差別化を図っている。

倒立+モノブロックのゴージャスな足まわりに、新作のスチールトレリスフレームで車体を固めたNinja ZX-25R。次ページでは気になるカラーバリエーションと価格について予想する。

最新の記事