伝説のカワサキ・ニーゴー直4プレイバック
250cc直4・カワサキZXR250ヒストリー【新型ZX-25Rのルーツを辿る】
- 2020/3/20
脳天を貫くフォーミュラサウンド、2万rpmに迫る超高回転域…。長らく途絶えていたハイメカの極致、250cc直列4気筒モデル「Ninja ZX-25R」がカワサキの手で現代に甦る。その歴史的なルーツとして真っ先に思い浮かぶのは、驚異のパッケージングを有し究極を追い求めた伝説の名車「ZXR250」だろう。
●文/まとめ:沼尾宏明 ●写真:真弓悟史、編集部
※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
超レーシー、30年後の新作を凌駕する一面も
’90年代後半、ヤマハFZR250を筆頭として250㏄直列4気筒レプリカの一大ブームが巻き起こった。各社が新作を続々と投入する中、カワサキだけは沈黙を守り続ける。しかし’89年、過激なリアルレプリカ「ZXR250」を投入し、大きく勢力図が塗り変わった。
ZXR250の走りは総じてスパルタンで、エンジンは荒々しくも一気に吹け上がる。ハンドリングはドッシリ安定志向。峠やサーキットで深くバンクさせて真価を発揮する特性だった。しかもレースを見据えた「ZXR250R」まで投入し、アマチュアレースで高い戦闘力を発揮。4ストローク250ccのカテゴリーで勝ちを狙う者にも、常用域で味わえる”フィーリング”に酔いしれたいライダーにも、ZXRは支持された。
’90年代に入るとレプリカブームは沈静化し、ライバルが姿を消す中、ZXRは’90年代末まで生産されるロングセラーとなった。これもZXRのキャラクターが愛された証だろう。’20年、再び甦るカワサキの250直4はいかなる走りで我々を魅了するのか…?

【レッドは驚異の1万9000回転】レッドゾーン1万9000回転は、’90年代のCBR250RR(MC22)と並び、市販車最高。レブリミット2万1000回転も同様だ。パネルを持たない分離式アナログメーターもレーシー。

【勝利を狙った初のユニット】250ccで同社初の水冷直列4気筒は、自主規制上限の45psを発生。サイドカムチェーンに加え、ダウンドラフトキャブやスロットルセンサーでレスポンスは鋭い。シリンダーは30度前傾。ZX-25Rより寝ている。

【市販車初の倒立フォーク】今やメジャーな倒立フォークを市販車で世界初採用したのはZXR250および同時デビューの400だった。ZX25Rでも非装備の減衰力調整機構や、フロントWディスクまで採用する。ただしキャリパーのマウントはスラスト式。ラジアル式は00年代の技術だ。
ZXR250ヒストリー ’89〜’99

【’89 ZXR250R:SPレーサー仕様まで存在】市販車ベースのスポーツプロダクション=SPレース向けのRバージョンも初代から投入。φ30→32mmとした大口径キャブレターのほか、クロスミッションなどを与えた。リヤショックは年式よって異なるが、別体式リザーバータンクなどを備えた専用品だ。こちらは’92年型がラスト。

【’91 ZXR250:フルモデルチェンジで全身強化、外観も刷新】最初で最後の全面刷新を敢行。直列4気筒は内径×行程を変更し、一段とショートストローク化を促進。燃焼室形状や動弁系も熟成した。軽量フレームや6本ホイールで車重は3kg減を達成。空力特性に優れた1眼レンズのスラントカウルも投入した。