「にわかには信じられない…」とんでもないマシンがオークションに出品。世界にたった1台[アプリリア RS125R]をコレクターが放出! ロッシの伝説の始まりとなった貴重なモデルを紹介

「にわかには信じられない…」とんでもないマシンがオークションに出品。世界にたった1台[アプリリア RS125R]をコレクターが放出! ロッシの伝説の始まりとなった貴重なモデルを紹介

全世界5千万人のロッシ・ファンに朗報です。なんと、ロッシが記念すべきWGP初優勝を決めたマシン「アプリリア RS125R」がオークションに出品されました。もちろん、カラーリングをコピーしたレプリカではなく、ロッシ本人が駆ったマシンそのもの! 1996シーズン終了とともに、さるコレクターの手にわたっていたものがついに市場へと放出されたのです。リザーブ(指し値)価格は、堂々の2800万円。ワン・アンド・オンリーな栄えある46号車をご紹介しましょう。


●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotherbys

世代交代の象徴となったロッシの優勝

ヴァレンティーノ・ロッシが17歳という若さで、初めてWGPにデビューしたのが1996年のこと。アプリリアのファクトリーライダーとして前述のRS125Rでフル参戦。マレーシアの初戦でいきなり6位に食い込んでみせたこと、ご記憶の方も少なくないでしょう。ご承知の通り、当時の125ccクラスは「日本人ライダー全盛期」でもあり、青木治親選手や徳留真紀選手といった強豪が上位を争っており、日本でもロッシは注目の的となったかと。

1996年WGP第11戦、チェコで初優勝を飾ったロッシとアプリリアRS125R。このマシンそのものが売り出されました!

そして、第11戦のチェコ、ブルーノ・サーキットでロッシはついに表彰台の頂点に上り詰めました。しかも、2位のホルヘ・マルティネスとの差はわずか0.245秒という白熱ぶり。ロッシは自身初のポールポジションからスタートしましたが、レース終盤までマルティネスとの激しい順位入れ替えが続きました。最終的に、ロッシは得意の深いブレーキングを武器として逃げ切ったとされています。ちなみに、初優勝の2週間前、イギリスGPでロッシはマルティネスと接触事故を起こしていました。この際、怒り狂ったマルティネスがロッシのピットに怒鳴り込み、「新人はベテランをもっと敬え!」 と説教したのだとか。そんなベテランをチェコで破ったことは、世代交代の象徴だったといえるでしょう。

ブルーノ・サーキットでチェッカーを受けた直後の様子。アプリリア・ファクトリーが大喜びしているのにご注目。

17歳にして国旗を振るった若き日のロッシ。ここから通算115勝のレジェンドとなったことはご承知の通り。

あどけなさの残るロッシですが、この頃はノリック(阿部典史)に憧れてヘルメットには「Rossifumi(ロッシふみ)」とペイントしていたとか。

高い剛性でアグレッシブな走りに対応したRS125R

そんなロッシを表彰台へと上らせたマシン、アプリリアRS125Rは現在ドゥカティで辣腕を振るうジジ・ダッリーニャがリーダーとなって開発したもの。オーストリア・ロータックス製のRotax 123(または発展型の126/127/128系)をベースとした2ストローク単気筒を搭載し、デロルト VHSD 41(フラットバルブ)を介して34馬力(フルパワーで約45〜50馬力)を発生させる、現代では考えられないほどのハイパワーに仕上がっていました。また、当時のホンダ(RS125R)が軽量化を重視していたのに対し、アプリリアは高い剛性を追求したアルミツインチューブフレームを採用することでロッシのアグレッシブな走りに対応。加えて、フロントブレーキをカーボンにすることで、制動性能とバネ下の軽量化も実現しています。

実車のディスクローターがカーボンでないのは、後年レストアの際に変更された可能性があります。

とはいえ、アプリリアとホンダ/ヤマハの日本勢による闘いは熾烈を極めており、「剛性とパワーのイタリア」vs「軽さとバランスの日本」という対照的なぶつかり合いが観るものを熱狂させたのかと。ここに、マシンの強大なパワーと剛性をねじ伏せるようなロッシやビアッジといった「新世代のライディングスタイル」がピタリと決まり、90年代後半のアプリリアがホンダを圧倒し始める重要なファクターとなったことは間違いないでしょう。

軽量化では日本車勢に後れを取りつつも、ピークパワーで圧倒していたアプリリア。開発はかの有名なジジ・ダッリーニャが担いました。

ダイネーゼやAGVは当時から主要スポンサーでしたが、ロッシ本人もまさか自分が買収するとは思いもよらなかったことでしょう。

レースファン垂涎のモデルにいくらの値がつくのか

このように、RS125Rの46号車はロッシ初優勝マシンというだけでなく、グランプリシーンにおけるゲームチェンジャーだったことも伺えます。となると、オークション出品車両はロッシ・ファンだけでなくあらゆるレースファンにとっても垂涎の的といっても過言ではありません。果たして、いくらで落札されるのか、まったくもって目が離せません!

この一枚からもロッシの熱い闘志が読み取れるはず。ますますオークションの行方が気になってくるというもの。

※2026年5月に執筆

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