
海の向こうインドネシアでは、ヘリテイジモデルとなったWの血統を受け継ぐアンダー200ccクラス、W175が独自の進化を遂げている。単なるコミューターとは一線を画す、正統派クラシックのディテールと現代的な装備を融合させたこのマシンの最新2026年モデルについて紹介しよう。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:カワサキインドネシア
伝統の「W」を名乗る資格
まず目を奪われるのは、そのスタイリングだ。W175シリーズは、1966年の「W1」から始まるカワサキの歴史的なヘリテージを色濃く反映している。
ティアドロップ型の燃料タンクには立体の「W」エンブレムが誇らしげに輝き、キャブトンタイプのマフラーや、W800を彷彿とさせるテールランプのデザインなど、細部に至るまで「W」の世界観が貫かれている。
空冷エンジンの冷却フィンが織りなす造形美や、丸みを帯びた全体のシルエットは、紛れもなくカワサキのクラフトマンシップを感じさせる仕上がりも実にWらしい。
扱いやすさと「味」を両立したスペック
心臓部に搭載されるのは、排気量177ccの空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブエンジンだ。最高出力は9.6kW(約13ps)/7500rpm、最大トルクは13.3Nm/6000rpmを発揮する。
スペック上の数値だけを見れば控えめだが、このエンジンの真骨頂は低中回転域のトルク特性にある。街中でのストップ&ゴーや、のんびりとしたクルージングで心地よい鼓動感を楽しめるセッティングとなっているようだ。
また、単気筒特有の振動を抑えるエンジンバランサーを内蔵し、5速トランスミッションを組み合わせることで、快適な走行フィールを実現している。車重は装備重量で135kgと、同クラスの兄貴分となるW230の143kgと比べてもかなり軽量。取り回しの良さは、ビギナーや女性ライダーに対しても、大きなアピールポイントとなるだろう。
東南アジア向けのモデルとはいえ、細かな部分もしっかりと現代的だ。燃料供給方式には近代的なフューエルインジェクション(FI)を採用。さらに、フロントブレーキにはφ270mmディスクに加え、シングルチャンネルのABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を標準装備する。
安全意識の高まりに対応しつつ、リアはあえてドラムブレーキを残すことで、クラシカルな雰囲気を損なわない配慮もニクイ。
メーターはレトロな外観の半円形スピードメーターながら、セミデジタル方式を採用。オドメーターやトリップメーターに加え、燃料計も装備されている。
「スポーク」か「キャスト」か。選べる2つの個性
ラインナップは、ユーザーの嗜好に合わせて2つのバリエーションが用意されている。ひとつは、王道のクラシックスタイルを追求した「W175L」。
こちらは前後17インチのスポークホイールを採用しており、レトロな雰囲気を最優先するライダーにはたまらない仕様だ。2026年モデルのカラーは「パールスターダストホワイト」と「メタリックグラファイトグレー」の2色展開で、落ち着いた大人の雰囲気を醸し出している。
もうひとつは、より現代的で都市部での使い勝手を意識した「W175 STREET」。
こちらは17インチのキャストホイールにチューブレスタイヤを組み合わせているのが最大の特徴だ。パンク時のトラブル対応などを考えると、実用派にはこちらが魅力的かもしれない。2026年モデルのカラーはカラーは精悍な「メタリックスパークブラック」のみの設定となっている。
【KAWASAKI W175 STREET】●メタリックグラファイトグレー
日本導入が待ち遠しい「小さな名車」
現地価格は、W175 Lが3850万ルピア、W175 STREETが3890万ルピアと約40万円弱。
φ30mmの正立フォークにフォークブーツを履かせ、リアはツインショックを採用する堅実な足まわり。そして何より、このクラスで「所有する喜び」を感じさせてくれる質感の高さとコスパ。W175は、排気量至上主義に疲れたベテランライダーのセカンドバイクとしても、あるいは初めての相棒としても、魅力的な選択肢といえそうだ。
メグロS1やW230の登場もあり正式な国内導入は難しいかもしれないが、W175シリーズの動向から目が離せない。
KAWASAKI W175[Indonesia 2026model]主要諸元
| モデル | Kawasaki W175 ABS / W175 STREET |
| 全長×全幅×全高 | 2,005 x 805 x 1,050 mm |
| ホイールベース | 1,320 mm |
| 最低地上高 | 150 mm |
| 車両重量 | 135 kg |
| 乾燥重量 | 125 kg |
| エンジン形式 | 空冷4ストローク単気筒 |
| 弁方式 | SOHC 2バルブ |
| 総排気量 | 177 cc |
| 内径×行程 | 65.5 x 52.4 mm |
| 圧縮比 | 9.1:1 |
| 最高出力 | 9.6 kW (13 PS) / 7,500 rpm |
| 最大トルク | 13.3 Nm (1.4 kgfm) / 6,000 rpm |
| 燃料供給方式 | フューエルインジェクション |
| トランスミッション | 5速リターン |
| 一次減速比 | 3.667 (77/21) |
| 二次減速比 | 2.333 (35/15) |
| フレーム | セミダブルクレードル |
| サスペンション(前) | φ30mm テレスコピックフォーク |
| サスペンション(後) | スイングアーム、デュアルショック(プリロード調整可) |
| ブレーキ(前) | φ270mm ディスク(2ピストンキャリパー / シングルチャンネルABS), |
| ブレーキ(後) | φ110mm ドラム |
| タイヤサイズ(前) | 80/100-17M/C 46P |
| タイヤサイズ(後) | 100/90-17M/C 55P |
| 燃料タンク容量 | 12 L |
| カラーバリエーション | L: Pearl Stardust White, Metallic Graphite Grey STREET: Metallic Spark Black |
| 価格(インドネシア・ジャカルタ) | L: 38,500,000ルピア STREET: 38,900,000ルピア |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(新型バイク(外国車/輸入車))
伝統と革新が交差する、息を呑むほど美しいシルエット 「外車はデザインが良いけれど、ポジションがキツそうで乗るのをためらってしまう」。そんな不安を抱えるライダーの前に新型モンスターを置けば、ひと目でその[…]
規制をクリアしつつ速さを追求。心臓部の全面改良 「最新の厳しい規制に対応すると、どうしてもパワーダウンしたりレスポンスが鈍くなったりするのでは」。そんなスポーツバイクファンの不安を、スズキの技術陣は真[…]
コンマ1秒のシフトロスに泣くライダーを救う1万5000回転 モトクロス競技において、コンマ1秒の遅れは致命傷になる。「コーナーの立ち上がりで吹け切ってしまい、余計なシフトアップを強いられてライバルに前[…]
新たなGSの扉を開く、完全新設計の「F450GS」誕生 アドベンチャーバイクの代名詞、BMWのGSシリーズにまた新たな仲間が登場した。その名もF450GS。排気量は420ccで最高出力48psは欧州だ[…]
前年モデルの美点はそのまま。最新の「色」で個性をアップデート 「クラシックなバイクに乗りたいけれど、重くて扱いづらいのは嫌だ」。そんな現代のライダーのワガママな悩みを鮮やかに解決し、世界中で支持を集め[…]
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
400cc4気筒ブームの立役者、第3世代の直4を実現したカワサキの戦略 Z1/Z2系からZ650のザッパー系に続くカワサキ直4の第3弾がZ400FX。1980年代初頭に日本で巻き起こった空前のバイクブ[…]
アライが誇る最先端のカーボンテクノロジー「RX-7X SRC」 今回プレゼントされる「Arai RX-7X SRC」についてまず振り返っておこう。高いプロテクション機能で知られるRX-7Xの帽体フォル[…]
大柄な車体への不安を消し去る、シート高735mmの絶大な安心感 「クルーザースタイルに憧れるが、車体が重くて取り回しに苦労しそう…」。そんな先入観を抱え、購入をためらっている大人は少なくないだろう。し[…]
この記事はヤングマシン2008年10月号に掲載されたものを再編集して構成しています。 レプリカ全盛期に違う視点を持つ男がいた 1986年4月、それまでイギリスへ赴任していた中島直行氏が、日本国内でのマ[…]
大型バイクの重さに疲れた大人へ。190kgの軽快ボディが日常を変える 迫力あるネイキッドに乗りたいけれど、取り回しの重さに疲れてガレージから出すのが億劫になっている。そんな悩みを持つライダーにこそ、Z[…]
人気記事ランキング(全体)
ヤマハが下した決断。大型モデルは「YSP」専売へ ヤマハ発動機販売が発表した2027年1月からの新販売体制において、最もライダーに大きな影響を与えるのが「取扱モデルの排気量による明確な区分け」である。[…]
耐荷重80kg! 美しいデザインで大人も子供も楽しめる EVEREST XING emoveは、次世代型モビリティを展開する株式会社Acalieのハイスペックブランド「EVEREST XING」からリ[…]
僕のCB1000Fは店の中央で待っていた 去る2025年11月14日。僕はヘルメットやグローブ、ジャケットなどライディングウェア一式を担いで電車に乗っていた…。なぜかって? そう! なぜならその日は待[…]
規制をクリアしつつ速さを追求。心臓部の全面改良 「最新の厳しい規制に対応すると、どうしてもパワーダウンしたりレスポンスが鈍くなったりするのでは」。そんなスポーツバイクファンの不安を、スズキの技術陣は真[…]
ファン付きウエアの限界を突破した「着る冷蔵庫」 夏の屋外作業やレジャーにおける定番アイテムとして、ファン付きウエアが広く普及している。しかし、気温が体温を上回るような酷暑日では、ファンが周囲の「熱風」[…]
最新の投稿記事(全体)
今年に入ってからの成長速度は拍車がかかっている 2026年シーズン、開幕から長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)が好調を維持している。もてぎで2位。SUGOで4位と[…]
伝統と革新が交差する、息を呑むほど美しいシルエット 「外車はデザインが良いけれど、ポジションがキツそうで乗るのをためらってしまう」。そんな不安を抱えるライダーの前に新型モンスターを置けば、ひと目でその[…]
電子制御で生まれ変わった400cc単気筒の傑作DR-Z4S/4SM かつて4ストロークモトクロッサーの潮流の中で誕生し、多くのファンを魅了したDR-Z400SとDR-Z400SM。厳しい排出ガス規制に[…]
今年のMC陣も超豪華!カズ兄さん&なっちゃんがステージを盛り上げる! 会場のボルテージを最高潮に引き上げるMC陣には、お馴染みの強力タッグが決定した。 カズ中西さん(カズ兄さん) 本誌でもお馴染み、マ[…]
©しげの秀一/講談社 日本最大級の大型ビジョンに『バリバリ伝説』が登場。バックには虹色侍“ずま”さんの歌声 渋谷ハチ公前広場に面した24.4×17.4mと日本最大級を誇るデジタルサイネージ“シブハチ[…]
- 1
- 2










































