
ZN6型トヨタ86が、あのAE86スプリンタートレノの姿で蘇る。東京オートサロン2026でリザルトジャパンが披露した「NEO86」は、リトラクタブルヘッドライトを完全再現した衝撃のボディキットだ。高騰する本物ではなく、手の届きやすいZN6をベースに「あの頃の熱狂」を再構築するこのプロジェクト。単なるドレスアップに留まらない、公道走行に向けたこだわりとその全貌を紹介する。
●文/写真:石川順一(ヤングマシン編集部) ●外部リンク:リザルトジャパン
ZN6をベースに「新時代のトレノ」を具現化
東京オートサロン2026の会場において、ひときわ熱烈な視線を集めた車両がある。エアロパーツブランド「ResultJapan(リザルトジャパン)」が製作した『NEO86』だ。この車両のコンセプトは、先代トヨタ86(ZN6型)をベースに、新しい時代の「トレノ」として再構築することにある。
背景にあるのは、昨今のAE86スプリンタートレノの中古車価格高騰だ。いまや手軽に振り回せる存在ではなくなりつつある名車の魅力を、より入手しやすいZN6型(2012〜2021年)で再現しようという試みだ。誰もが手軽に「ハチロクの楽しさ」を体感できる一台を目指して開発されたこのキットは、単なる懐古趣味に留まらない実用性と情熱が注ぎ込まれている。
こだわりのリトラクタブルヘッドライトと外装パーツ群
NEO86の最大の特徴は、なんといっても現代の安全基準では実現が難しいとされる「リトラクタブルヘッドライト」の採用だ。この開閉式ライトを含め、フロントマスクはAE86トレノの面影を色濃く反映している。
ボディカラーもAE86を象徴するホワイトとブラックのツートン、通称「パンダカラー」で仕上げられ、足元にはレーシングサービスワタナベのエイトスポークRタイプ(18インチ)を装着。タイヤはNANKANGのCR-Sを組み合わせ、走りの期待感も高めている。
「NEO86ボディキット」には、ボンネット、ヘッドライトAssy、前後バンパー、前後フェンダー、サイドスカート、ドアパネル、そしてトランクスポイラーまでが含まれる。フェンダーの出面はフロント55mm、リヤ75mmとワイド化されており、ドリフトなどの競技使用も視野に入れたタフな作り込みがなされている。
公道走行を可能にするための要件と設計の裏側
もっとも、公道走行を考えると「リトラクタブルヘッドライト仕様でほんとに大丈夫?」という疑問がもたげてくるのは至極当然のこと。実は東京オートサロンに出展された展示車両自体は「ドレスアップ・スポーツカー部門」のエントリーで現時点では公道走行不可。車両販売も行わない展示専用車とされている。
しかし、リザルトジャパンは市販化を見据え、車検適合に向けた仕様変更も織り込み済みだ。公道走行を可能にするための最大の鍵は、平成21年以降の車両に適用される「外装の鋭利な突起物に関する規制」への適合だ。そこでNEO86では「車検の突起物の要件に適合するR(曲率半径)」を持たせたデザインを採用している。歩行者保護などの観点から求められる表面の滑らかさや形状の規定をクリアすることを目指しているのだ。
さらにリトラクタブルヘッドライトも基本は固定化する方針。開閉機構こそもたなくなるが、雰囲気を楽しみつつ、車検適合を容易にしようとしているというわけだ。もっとも、別途開閉用モーターと配線キットも用意する予定だというので、レースや海外での使用を考えれば、リトラクタブルヘッドライトの再現自体は可能なままとなっている。
また、灯火類に関しても対策を実施。ウインカーレンズにはAE86の純正品を流用しつつ、その他のライト類については汎用パーツを組み合わせた「手作り」の構成となっているが、これらも保安基準に則った配置と光度を遵守している。
中古車市場のZN6を活用する合理的な選択
ベース車両にZN6型を選んだ点も、現代のカスタムシーンにおいてとても合理的だ。展示車両のベースとなった2014年式トヨタ86は、車両価格100万円程度で入手されたものだという。現在、AE86は極めて高値で取引されているが、ZN6であれば中古個体が豊富に存在し、程度の良いベース車を自分好みに選ぶことができる。
法規制の壁をデザインの工夫(Rの確保)で乗り越えようとするリザルトジャパンの挑戦は、カスタムカー文化に新たな一石を投じたと言えるだろう。ハチロクの魂を次世代へ繋ぐNEO86。税抜き86万円(東京オートサロン2026会場限定価格)からプレオーダーを開始したこのキットをまとった86が、日本の公道を走り出す日が待ち遠しい。
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