
昨日までの「常識」が、いつの間にか「非常識」になっている。まさにそう感じたのがパーツクリーナーの進化でした。「プラスチック部品には使えない」なんて、もはや過去の話。今や、ゴムもプラも関係なく「どんな部品も洗える」っていうんだから驚き。使えなかった場所に気兼ねなく使える。その素敵さと便利さには、もう感謝しかありません。知識をアプデした出来事を共有いたします~!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
バイク整備は、だいたい汚れとの戦いから始まる
バイク整備をしていて、より深く分解していくと避けて通れないのがグリスやオイルの汚れです。今回の場合は古いモンキーのフロントフォーク。オイルは入っていない代わりにグリスがごってり入ってるんですよ。
で、経年劣化でこんな状態。
き、汚い・・・。これは触りたくない。
そしてスプリング部分に至っては、奥まったところまで汚れが入ってしまっているので、この汚れを落とすのは困難。かと言って面倒だからってこのまま組んじゃうと、古いグリスに取り込まれている鉄粉などが後々悪さをするので、そもそもオーバーホールした意味がなくなってしまうという辛さ。
この汚れをどう落とすかが、メンテナンス作業の結果を左右するのですよ。
並みの洗剤では、だいたい負ける
汚れを落とすと言っても、普通の洗剤はまず歯が立ちません。中性洗剤はもちろんのこと、カーシャンプーや強力なマジックリンといえども焼け石に水。それほどまでに強力で頑固なのがグリス汚れなんですよね~。
そうなると伝統的な方法では、油分には油分ということで、昔から灯油を洗油として使う方法が取られてきました。灯油を吹き付けてブラシでこすると、さしものグリスも溶けて汚れを落とすことができるのです。
ただ、その灯油を使った方法は手間がかかる上に後処理が面倒なのですが、そこで登場するのが、パーツクリーナーやブレーキクリーナーです。強力に油分を溶かすことができるし、なんたってスプレーで汚れを吹き飛ばしてくれるのでとても効率がいいのですが、これが万能かというと、そうでもありませんでした。
これまでのパーツクリーナーの”タブー”
パーツクリーナーは、機械部品に付着した油汚れやグリースを落とすためのとても洗浄力の高い溶剤系クリーナーです。しかし、その強力な洗浄力ゆえに、含有される有機溶剤の種類によってはプラスチックやゴム部品に対する攻撃性が強いという欠点がありました。
実際、アセトンやトルエン、キシレンなどの溶剤は高い脱脂効果を持つ一方で、プラスチックを白化させたり、溶かしてしまう恐れがあります。また、ヘキサンやアルコール類は、一部のゴム素材を劣化・膨潤させる可能性があります。
そのため、従来の製品には「樹脂不可」「ゴム不可」「非金属部品への使用不可」といった注意書きが多く見られ、とくに自動車部品や電動工具の清掃時には慎重な取り扱いが必要とされてきました。・・・これが、ぶっちゃけ面倒だったのですよ。
プラスチック使用不可と言われても、実際バイクの部品というのは金属・ゴム・樹脂など、複数の素材が組み合わさった部品が多い上に、そういう部品に限って汚れていたりするもの。完全にバラバラにすればいいのだけど、それが一番の手間だったりしますもんね。
正直に言っちゃいますと、「罪悪感を感じながらもそのまま使う」ことが多々ありました(ごめんなさい!)。「ここは吹いていいのか?」「ちょっとズレたらマズいのでは?」そんなことを毎回気にするのは神経を使いました。ダメだと分かっていながら、「まあ、ちょっとだけなら大丈夫だろう」と使ってしまったことがある人も、きっといると思います。
・・・ですが、それは昨日までの話でした。最近のパーツクリーナーは、かなり進化していたのです。
輝く「オールマテリアル」の文字が!
ここで登場していただきましょう、どどん! AZ(エーゼット) ブレーキ&パーツクリーナー840ml !!
ご覧くださいませ、黄金のボディに誇らしげに書かれている「MATERIALS」の文字!
MATERIALS・・・直訳すれば、おもに「材料」「資料」「用具」の意味がありますが、この場合は「全材料」といったところでしょうか。工具の汚れ落としって捉えれば、「用具」もいれていいのかな?
商品説明を見てみますと・・・(↓)
もう迷わない!洗浄力と樹脂への安全性を両立したパーツクリーナー。
愛車や大切な道具のメンテナンスに、性能と安心を。
これ一本で、頑固な油汚れも、デリケートな樹脂パーツも、まとめてきれいに。
この1本、3つの特徴
1.樹脂・ゴムにとても優しい
よりプラスチックを傷めにくい特殊処方。これまでためらった箇所にも安心して使えます。
2.プロ仕様の速乾・強力洗浄!
固着したグリースや油汚れを秒速で分解・洗浄。作業がはかどる速乾タイプです。
※Amazonの商品説明より一部抜粋
すごいよね、コレ。「樹脂・ゴムにとても優しい」・・・ “とても優しい”ときたもんだ!
使用用途も「自動車、バイク、自転車、農機具、工具、釣り具、ラジコンなど、幅広い金属・プラスチックパーツの洗浄」とのこと。うん、たしかに。プラスチック部品も使えるなら、ラジコンの洗浄もできちゃうわけですよね。
個人的な見解では、バイク乗りとラジコン好きは親和性が高いのか、両方趣味にしている御仁が多く見受けられる気がするので、これ一本で両方洗浄できる意義はおおきいはず。あなたはどうですか?釣り具も使えるから、なおさら守備範囲がでっかいですよね~。
・・・でもね、全部OKと言われると、逆に疑っちゃう点もあったりで。たとえば洗浄力。プラスチックやゴムにも使えるぶん、洗浄力は弱かったら本末転倒というもの。とはいえ、そればっかりは説明見ても埒が明かないので、これはさっそく使ってみることにいたしましょうか!
ひと吹きだけで答えが出た
まずは最初に表面のグリスをウェスで拭います。ちなみにこれ、別にパーツクリーナーをケチってるのではないですよ?
部品の表面にグリスがたっぷり付いた状態でいきなりパーツクリーナーを使うと、その圧力で汚れがまわりに撒き散らされる(!)からです。意外と圧力強めなので、作業台の壁とかに黒いシミを作る羽目になるのです(←経験者)
てことで、ざっくりと汚れを拭ったフロントフォークのインナー。うん、まだシッカリと汚れております。
では、AZのパーツクリーナーオールマテリアルを、「プシュー」っとひと吹き。
汚れが瞬時に溶ける!!!!! 大げさじゃなくて。マジで驚くレベル。あんなにこびり付いていたはずのグリスが、モロモロ状態の軟体物になって、スプリングの奥から出てくる、出てくる。何十年も前の汚れだから、もっと頑固なのかと思いきや、あっけないほどの溶解っぷり。ていうか、パーツクリーナーの洗浄力、エグっ!!!!
古い歯ブラシがエースになる
あっけないほどに8割方のグリスはスプレーの圧力で落とすことはできましたが、やはり奥の方などは奥まったところに汚れが残ってますね。これを執拗にスプレーし続けて汚れを落とすのも、なんか無駄っぽいので、ここで使い古し歯ブラシの登場です。
トレイに溜まったパーツクリーナーの液体をちょいちょいつけて、フロントフォーク内部の汚れをゴシゴシゴシ。これがもう、笑っちゃうほどに汚れが落ちます。歯磨きより圧倒的なイージーさ。っていうか、こんな簡単に落ちちゃっていいのかしらん。
奥まったところの汚れをあらかた落としてから、もう1回、仕上げにパーツクリーナーを吹き付けると、気分爽快。スッキリ綺麗になりました。しかも速乾性で、あっという間にさらさらに乾燥。こりゃすげーや!
コレもう戻れないやつだ
あ、コレもう戻れないやつだ・・・モンキーのフロントフォークインナー、そのビフォーアフターをご覧ください
どうです? スゴいでしょ?? 近づくとその洗浄力がよくわかります。大げさでなくて、すっきりサッパリ落ちちゃってるんですよ。すげ~・・・。
ついさっきまでは「触りたくない」モノだったのが、今ではむしろ「触ってたい」とすら思えてしまうスベスベっぷり。いや実際、スプリングをスリスリ回しながらその手触りを楽しんじゃってました。
パーツクリーナーを片手に「樹脂はダメ」「ゴムは避けろ」そんな前提で神経をすり減らしながら作業していたのが、いつの間にか過去の話。迷わず吹ける。疑わなくていい。しかも、ちゃんと落ちる。
道具が進化すると、作業そのものが一段ラクになります。これはもう、戻れなくなるやつでした。
安価なパーツクリーナーもたくさんあるし、長い間愛用もしていたのですが、洗浄力と利便性と安心感を考えると、「ちゃんとした一本」を持っておくと、作業がかなり楽になります。オールマテリアル、これは想像以上に便利でした。マジでおすすめなので、ご興味ありましたらぜひ一度チェックしてみてください。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました~!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
電気系統トラブルに有効なヒーロー電機の製品 バイクの電装系の中で意外にトラブルが多いのがウインカー関連だ。電球切れはもとより、スイッチ接点のサビやウインカーリレーの故障もあり得る。昨日まで何ともなかっ[…]
昭和は自分でバイクを直せた時代? 筆者の肌感ですが、昭和の頃は、バイクも車も自分で直してしまう人が今よりずっと多かったものです。ドライブ中にエンジンが故障しても道端で直したり、ツーリング先でトラブルが[…]
虹色に輝くスチールスプロケットが個性的 フットワークパーツのプロショップであるアドバンテージのGSX1100Sカタナ用530 コンバートキット。XAM製ドリブンスプロケットは軽量で耐久性に優れたスチー[…]
PACKOUTシリーズの工具収納システムに連結できるコードレスワークライト M12 PACKOUT シングルワークライトは、ミルウォーキーツールのM12バッテリープラットフォームに対応したコードレスL[…]
今回の超音波洗浄はエンジンの汚れ落とし これまで超音波洗浄機は、「チェーン」や「キャブレター」などの洗浄に使ってきました。 数々の汚れを落としてきたその実力はすでに折り紙つき。それでいて扱いはとても簡[…]
最新の関連記事(工具)
昭和は自分でバイクを直せた時代? 筆者の肌感ですが、昭和の頃は、バイクも車も自分で直してしまう人が今よりずっと多かったものです。ドライブ中にエンジンが故障しても道端で直したり、ツーリング先でトラブルが[…]
ボルトやナットが落ちないナットグリップ機能も魅力 ソケット外周のスプリングとスチールボールを組み合わせた、コーケンならではのナットグリップソケットと、六面式ボールジョイント機構を組み合わせたソケット。[…]
PACKOUTシリーズの工具収納システムに連結できるコードレスワークライト M12 PACKOUT シングルワークライトは、ミルウォーキーツールのM12バッテリープラットフォームに対応したコードレスL[…]
今回の超音波洗浄はエンジンの汚れ落とし これまで超音波洗浄機は、「チェーン」や「キャブレター」などの洗浄に使ってきました。 数々の汚れを落としてきたその実力はすでに折り紙つき。それでいて扱いはとても簡[…]
固着したネジと会ったら黄金ルールを思い出せ バイクをメンテナンスしたりレストアしたりしているとしょっちゅう出会うのがコレ「固着したネジ」です。 はい、今回も遭遇しました。古いモンキーのクラッチのカバー[…]
人気記事ランキング(全体)
「ちょっとそこまで」が劇的に変わる。免許いらずの新たな足 ガソリン代は上がる一方だし、大きなバイクは維持費も置き場所も頭が痛い。かといって、自転車での急な坂道は体力が削られる。そんな我々の日常に寄り添[…]
輝かしい歴史を持つXT500は、なんと2002年まで生産 そもそもXT500は、1976年にヤマハが初めて作った4ストロークのビッグシングル搭載のトレールバイク。2スト全盛ともいえる時期に、空冷4サイ[…]
コンパクトだから出先での使用に最適! バイク用サンシェード 陽気も良くなるこれからのシーズン、ゴールデンウィークに遠出のツーリングなどを予定しているライダーも多いのではないだろうか? そんな楽しいツー[…]
音質がさらに向上し高速走行にも強くなった『B+COM 7X EVO』 “史上最高のサウンドを手に入れた”と話題のサイン・ハウス『B+COM 7X EVO』。使い始めてまず感じた進化のポイントはやはり音[…]
速さの秘訣を本人に迫ってみた! 丸山:この機会に長年抱いてきた思いをお伝えしたい。貴方が1985年にWGP 500と250でダブルタイトルを取った年に、私は天才フレディ・スペンサーに憧れてレースを始め[…]
最新の投稿記事(全体)
時代の変化に逆らえず販売期間はわずか3年 後継機種のZ1100Rを含めると、シリーズ累計生産台は約6800台。王道ではない派生機種と考えれば、これは立派な数字だろう。そんなシリーズがわずか3年で市場か[…]
電気系統トラブルに有効なヒーロー電機の製品 バイクの電装系の中で意外にトラブルが多いのがウインカー関連だ。電球切れはもとより、スイッチ接点のサビやウインカーリレーの故障もあり得る。昨日まで何ともなかっ[…]
軽くて足つき抜群の相棒バイク 「バイクに乗りたいけれど、重くて取り回しが不安」「ちょっとコンビニに行くのに大型バイクを出すのは面倒」。そんな不満を感じたことはないだろうか。重いバイクは所有感を満たして[…]
楽しいツーリングも計画はタイヘン? ツーリングの計画を考えている時間は楽しいものですよね! どこへ行こうか、何を食べようか、どこに寄り道しようか・・・そんなことを考えている時間そのものが、すでにツーリ[…]
850cc化、エアロパーツ小型化、車高デバイス禁止、そしてタイヤメーカー変更! 先日、イタリアはミザノサーキットで、来季に向けたドゥカティ・モトGPマシンのテストが行われたようだ。 来シーズンは排気量[…]
- 1
- 2















































