
MotoGPの飛ぶ鳥を落とす勢いをEICMA2025でも見せつけてくれたのが、ドゥカティ。2026年の創業100周年に向けて2025年9月30日より“ドゥカティワールドプレミア”と銘打ち、8つのニューモデルと2つのプレビューモデルを発表するという大盤振る舞いです。サーキットシーンをアピールするモデルや、自社の歴史を振り返ったモデルなどバラエティに富んだラインナップから注目のモデルをピックアップしました。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:DUCATI
【ハイパーモタードV2/SP】史上最高のパワーと速さを身につけた新型ハイパーモタード
新型ハイパーモタードは、先代950からフルモデルチェンジがなされ、最新スペックのV2エンジン、そして新設計のモノコックフレームが採用されるなどトピックスが盛りだくさん。ハイパーモタードは誕生から20年を迎え、今回のニューモデルこそ「史上最高」と呼ばれるのも大いに納得の仕上がりです。
890ccのV2エンジンは設計の最適化によって最高出力:120.4ps/10750rpm、最大トルク:9.6kgm/8250rpmを発揮しつつ、従来のエンジンから6.42kgの軽量化も実現。言うまでもなく、ハイパーモタード史上で最もパワフル、かつ最速モデルとなっています。
2005年にコンセプトモデルがデビューして以来、20年の蓄積が産んだ史上最高のハイパーモタードが爆誕。スタンダードとSPの2モデルが一気に登場です。
また、新型モノコックフレームではエンジンも応力担体として設計され、軽量でコンパクトな仕上がり。なお、アルミ製スイングアームは両持ち式ながら、パニガーレV4にインスパイアされたものとのこと。伝統といわれるトレリスフレームに固執しないところも、いつでも新技術に挑戦するドゥカティらしいポイントでしょう。
サスペンションはスタンダードバージョンがアジャスタブルタイプのKYB製、SPにはオーリンズ製の48mm径インナーチューブのNIX30フォークとSTX 46ショックアブソーバーが装備され、いずれもフルアジャスタブル。無論、6軸IMUをベースとした最新のライディングサポート機能が盛り込まれるのもハイパーモタードの定石通り。2026年には日本に導入される予定なので、気になる方は今のうちにディーラーにご相談を!
【パニガーレV2 MM93/FB63】限定版かと思いきや生産台数は未定だと⁉︎
2026年はドゥカティ・ファンのみならず、MotoGPファンには見逃せないパニガーレV2が登場します。なんと、ドゥカティのファクトリーライダー、マルク・マルケスとフランチェスコ・バニャイアがオフトレーニングするマシンに準じたスペシャルモデル。こうしたモデルはシリアルナンバーが振られた限定発売となりがちですが、なんと生産台数は未定。つまり、反響次第ではそれなりの台数が生産されるという、ドゥカティの粋な計らいというやつ。
MotoGPのファクトリーライダー仕様かのようなカスタマイズが施されたMM93/FB68シリアルナンバーが振られるものの、限定使用ではなく反響次第で台数が決定される模様。
MM93、並びにFB63は言うまでもなくふたりのイニシャルとゼッケンナンバーを表した車名で、2台共通して「レーシング・ポジションのハンドルバー、鍛造ホイール、パニガーレV2をさらにスポーティに演出するレーシング・ディテールが含まれ、サーキット走行に理想的なセットアップ」がなされています。もっとも、ファクトリーライダーの名前がついているだけでも、サーキットでコンマ5秒くらいは速くなりそうです。
マルケス/バニャイアの違いは主にカラーリングで、MM93は2024年にバルセロナで行われたポストシーズンテストでマルケスが使用した「Todo Rojo」にインスパイアされたもの。FB63はバニャイアがシーズン中に使ったヘルメットやグローブのカラーリングをアレンジ。いずれも、ノーマルのV2と違うことは一目でわかるペイントであり、サーキット映えも間違いなし。ファクトリーライダーになった気分で走りたい方は、ぜひともゲットすべきモデルでしょう。
【パニガーレV2/ストリートファイターV2】ドゥカティ・コルセ伝統のジアッラが復活
ドゥカティといえば、レッドこそ伝統のカラーと思われがちですが、レースファンならご存知の通りジアッラ(イエロー)もまた欠かせないもの。最初にサーキットに現れたのは1974年にフランコ・ウンチーニが駆った750SSデスモ。そして、1990年代は盛んにイエローモデルがリリースされたものの、どういうわけか最近のラインナップでは姿を消していました。
が、2026年モデルからはイエローが復活。その先陣としてパニガーレV2とストリートファイターV2の2モデルがEICMA2025に登場。1974年の初登場が、イモラでの歴史的勝利を祝ったものですから、やはりMotoGPでの輝かしい成績を考えれば当然かもしれません。
なお、今回は2モデルの発表でしたが、今後はイエローモデルが次々とラインナップすることが発表されました。もちろん、限定ではなくカタログモデルなので、これからドゥカティを選ぶ方には「レッドか、イエローか」といった嬉しい悩みが増えそうです。
【モンスター 第5世代】4kgの軽量化を果たし、電子パッケージを刷新
いつの時代も完成度が高く、走らせて楽しいネイキッドと支持の厚いモンスター。フルモデルチェンジを受けた第5世代が、EICMA2025でアンヴェールされました。キープコンセプトなスタイルからは分からないものの、実は4kgもの軽量化を果たしており、最新鋭のV2エンジンと相まって、完成度はより高まっているのです。
フルモデルチェンジしたモンスターはついに第5世代へ。軽量化、電子デバイスのアップグレードなど進化レベルは非常に高いもの。
IVT(可変吸気タイミング)システムを採用した最新のV2エンジンは、890ccの排気量から111馬力/9000rpm、91.1Nm/7250rpmを発揮。それでいて、バルブクリアランスのメンテナンスは4万5000kmというロングスパンを実現するなど、新たな世代にふさわしい経済合理性をも兼ね備えています。
また、ドゥカティクイックシフト2.0(DQS)、エンジンブレーキコントロール(EBC)といった電子デバイスもアップグレードされ、従来から引き継がれた6軸IMUやコーナリングABSによって走りの質はもとより、安全性も高まったとされています。
さらに、16:9のアスペクト比と800×400の解像度を備えたフルTFT 5インチモニターは、より多機能が持たされたほか、デイタイムランニングライトとダイナミックターンシグナルを備えたフルLEDヘッドライトによって精悍で新鮮な表情をモンスターに与えています。なお、新型モンスターは2026年2月から正規ディーラーでの販売が開始される予定です。
いつの時代もネイキッドバイクのトップランナーであり続けるモンスター。国内は2026年2月より発売予定。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
最新の関連記事(ドゥカティ)
10/1発売:カワサキ「Ninja ZX-25R SE/RR」 250ccクラスで孤高の存在感を放つ4気筒モデル、「Ninja ZX-25R」の2026年モデルが早くも登場する。今回のモデルチェンジで[…]
伝家の宝刀「V4」搭載のキング・オブ・クルーザー エックス ディアベルといえば、マッシブなクルーザーとして「素の」ディアベルとはひと味違った走り、満足感が得られると評判のモデルでした。 新型は、今やド[…]
2009年に移籍したのに「GP8」にも乗っていた?! 2003年にホンダからモトGPにデビューしたニッキーでしたが、2009年にはドゥカティ・コルセへと移籍。2007年にケイシー・ストーナーがデスモセ[…]
新型ムルティストラーダV4Sはダート性能もアップ! ムルティストラーダとは、英語にすれば“ マルチな道”、つまり“全路面対応型バイク”という意味だ。実際、ムルティストラーダのコンセプトは4in1バイク[…]
ドゥカティ初の単気筒モタードモデル モタードモデルといえば、通常はオフ車の派生モデルとして作られるが、この「ハイパーモタード698モノ」は、ロードスポーツキャラに100%振りきって、車体剛性も高めに設[…]
最新の関連記事(モーターサイクルショー/モーターショー)
「伝統と革新」をテーマに、カワサキの原点たるモデルと水素エンジンバイクを展示 10月30日(木)から11月9日の会期中に、101万にも及ぶ来場者を記録して閉幕した「ジャパンモビリティショー2025」。[…]
世界のバイクメーカーをビビらせた初のアドベンチャーモデル オールドファンならご存じのBSAはかつてイギリスで旋風を巻き起こしたバイクメーカー。ですが、1973年には一旦その幕を下ろし、2016年にイン[…]
2023年からV4エンジンの開発は始まっていた CFMOTOは、すでに2023年のEICMAでスーパースポーツ向けV4エンジンのプロポーザルを行っており、昨年はV4搭載マシンのモックアップモデルを展示[…]
3気筒と変わらない幅を実現した5気筒エンジンは単体重量60kg未満! MVアグスタはEICMAでいくつかの2026年モデルを発表したが、何の予告もなく新型5気筒エンジンを電撃発表した。その名も「クアド[…]
走るワクワクを現代・そして未来に…EVであの“VanVan”が復活!! 10月30日(木)から11月9日(日)まで東京ビッグサイトにて開催されていた「ジャパンモビリティショー2025」。スズキのブース[…]
人気記事ランキング(全体)
最新の安心感と46worksテイストを両立した「究極のコンプリートモデル」 この『#02』は、2024年に限定販売された初代モデルに続くコンプリートカスタムモデル。今まで46worksが得意としてきた[…]
スズキCNチャレンジのファクトリーマシンと同じウイングを装着(一部地域でオプション設定) スズキは今回、初代GSX-R750から40周年にあたる今年、「GSX-R1000」「GSX-R1000R」の復[…]
鮮やかなブルーでスポーティな外観に グローバルサイトでの2026年モデル発表、北米での正式発表に続き、英国でもスズキ「ハヤブサ」の2026年モデルが正式発表された。2026年モデルとしてレギュラーカラ[…]
距離もブランドも関係なし!50人同時通話を実現 EVA Rモデルは、EVANGELION RACINGをモチーフとした特別デザイン(初号機A/B、2号機A/Bの全4モデル)をまとい、ナイトランでも存在[…]
3気筒と変わらない幅を実現した5気筒エンジンは単体重量60kg未満! MVアグスタはEICMAでいくつかの2026年モデルを発表したが、何の予告もなく新型5気筒エンジンを電撃発表した。その名も「クアド[…]
最新の投稿記事(全体)
TMAX生誕25周年! 特別装備満載の記念モデルが登場! ヤマハは、”オートマチックスポーツコミューター”という独自のジャンルを築き上げた「TMAX」の誕生25周年を記念し、特別仕様車「TMAX560[…]
【ハイパーモタードV2/SP】史上最高のパワーと速さを身につけた新型ハイパーモタード 新型ハイパーモタードは、先代950からフルモデルチェンジがなされ、最新スペックのV2エンジン、そして新設計のモノコ[…]
「伝統と革新」をテーマに、カワサキの原点たるモデルと水素エンジンバイクを展示 10月30日(木)から11月9日の会期中に、101万にも及ぶ来場者を記録して閉幕した「ジャパンモビリティショー2025」。[…]
まずは「ふるさと納税」の仕組みをざっくりと ふるさと納税の仕組みに関して筆者はどうも多くの勘違いをしていたので、そんな自分でも理解できるようにまとめてみました。おさらいしておこう、自分! ふるさと納税[…]
バイクはお兄さんの影響 メグミさんは昔からバイクに興味があったのだと言います。 「兄が二人いて、どちらもバイクに乗っていたんです。小さいときからその様子を見ていたので、自然に自分も乗りたいと考えるよう[…]
- 1
- 2











































