
カワサキは、ジャパンモビリティショー2025で新型の「Z900RS SE」および「Z900RS CAFE」を世界初公開した。エンジンは欧州の最新ユーロ5+に準拠すべく電子制御スロットルを採用し、双方向クイックシフターとクルーズコントロールを獲得。メーターはアナログスタイルのままスマホ連携になり、IMUも搭載。ネイキッドのRSはライディングポジションも見直された。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:カワサキモータースジャパン
火の玉「SE」と「ブラックボールエディション」、ビキニカウルの「カフェ」が登場
ジャパンモビリティショー2025でカワサキが新型「Z900RS」シリーズを世界初公開した。主軸となる変更はエンジンまわりのアップデートだが、ライディングポジションやメーター機能、電子制御も追加あるいは変更を受けている。それでも優れたデザインはそのままだ。
Z1からインスピレーションを受けたスタイリングはそのままに、初代Z1を思わせる火の玉カラーを「Z900RS SE」に、また火の玉と同じ塗分けパターンを黒系で表現した「ブラックボールエディションが新たに登場。これに、ビキニカウルや専用のハンドルバー&シートを採用するZ「Z900RSカフェ」というラインナップになっている。
エンジン出力は高回転側に寄った設定になったが、そのぶんリヤスプロケットの歯数を増したことで加速力を強化している。詳細スペックは未発表だが、グラフからは最高出力が増しているように見受けられる。
エンジンでは、ETV(電子制御スロットル場r部)を採用し、低回転域の滑らかさと高回転域の胸のすくような吹け上がりを両立。圧縮比は10.8:1から11.8:1へと好圧縮化され、カムプロフィールは作用核とリフト量を増加させる方向で再設計。さらにクランクシャフトのフライホイールマスは従来比で約10%削減され、小気味よいレスポンスと高回転域の力強くスポーティなフィーリングを実現した。
吸気ファンネルは1/4番を112mm→51.5mmへと短縮、2/3番を150mm→151.5mmとわずかに延長することで、これも高回転パワーと低中速のパフォーマンス向上を支えている。リヤスプロケットは42T→43Tとショート化したことも加速力に寄与する。
排気系にも変更が加えられ、エキゾーストパイプはヘッダ形状を見直すことで従来モデルよりもエキゾーストパイプが前へ張り出すレイアウトに。またサイレンサーは従来よりも70mm延長された新しいテーパード形状のメガホンタイプに。また、新設計のボルトオン式ステンレス製エンドピースを採用した。これらに合わせてプリチャンバーはコンパクト化されるとともにサブ触媒を内蔵する。
メーターはスマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE」に対応。
電子制御スロットルバルブの採用とともに、ボッシュ製IMU(慣性計測装置)を新たに搭載。これにより各種電子制御が強化され、KCMF(カワサキコーナリングマネジメントファンクション)やABSのコーナーブレーキングマネジメント機能が追加された。また1500rpm以上で動作可能なシフトアップ/ダウン対応のKQS(カワサキクイックシフター)、クルーズコントロールも新採用した。
メーターは従来通り2眼式の砲弾アナログタイプだが、スマートフォン接続機能(スマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE」に対応)が追加されたことによって、接続のインジケーターが追加されている。このスマートフォン接続は音声コマンド機能とナビ機能にも対応する(ナビ表示機能なし/ライセンス登録が必要)。
ハンドルまわりのポジション新旧比較。
RSはユーザーインターフェースまわりにも手が入れられた(カフェを除く)。ハンドルバーは新設計のナロータイプになり、グリップ位置が内側に50mm、下方に38mm移動。シートはタックロール形状が見直され、ロール部にウレタンフォームを追加することで快適性を向上している。
タックロール部分にウレタンを盛り込んだことでクッション性を向上。その代わりローシート(日本仕様)で従来のシート高800mmから新型では810mmになっているが、クッションストロークが大きめに取ってあることから足着き性に大きな変化はないという(ジャパンモビリティショーの現場で説明スタッフが言及)。
左サイドカバーの下にある樹脂部品の形状も異なっていた。エアボックスの容量変化にともなうものと思われるが詳細は今のところ不明。
ファイヤーボールとブラックボール
モデルバリエーションは“素のまま”のZ900RSがなくなり、火の玉(ファイヤーボール)の「Z900 SE」と、新たな「Z900RS Black Ball Edition(ブラックボールエディション)」、そしてビキニカウル付きの「Z900RS CAFE」がラインナップされる。
「Z900RS SE」はハイグレードモデルという位置づけで、フロントにはブレンボ製φ300mmダブルディスクとM4.32ラジアルマウントキャリパーを実装。これに小径のニッシン製ラジアルポンプマスター式マスターシリンダーとステンレスメッシホースを組み合わせる。リヤにはオーリンズ製S46ショックアブソーバーを搭載し、優れたグリップ感と快適な乗り心地を約束。リモート式プリロードアジャスターも備え、タンデムや荷物の積載に応じた調整が容易に行える。
Z900RS SE[2026 model]
外観では、オーリンズロゴを刻印したプレートやフロントフォークのアウターチューブ、ホイールをゴールド仕様とし、専用サイドカバーエンブレムを採用(“RS”部分を赤仕上げ)するなどしてSEモデルならではの特別感を演出している。
火の玉カラーは2018年モデルのグラフィックを踏襲しつつ、彩度と明度を高めたオレンジとメタリックブラックにより、コントラストと存在感を際立たせている。
また、SEはUSB-C電源ソケットやGPS対応前後2カメラのドライブレコーダーを標準搭載しているのも嬉しいポイントだ。
“黒い火の玉”といえそうな「Z900RSブラックボールエディション」は(素のままのZ900RSはラインナップにないものの)スタンダード仕様ベースで、メーターベゼル、ヘッドライトリム、ハンドルバー、ブレーキ&クラッチレバー、フロントフェンダーステー、ラジエーターシュラウド、ニーグリップカバー、燃料タンクキャップ、チェーン、前後ホイールをブラック仕上げに。左右のエンジンカバーには「DOHC」デザインのアルミ製エンブレムがあしらわれ、サイレンサーエンドキャップとエキゾーストヒートガードには新開発のマットブラック塗装が採用されている。
カフェレーサースタイルの「Z900RSカフェ」は、特徴的なフロントカウルのほかブラック塗装のローポジションハンドルと専用設計のシートを装着。燃料タンクにはカワサキの伝説的なモデル「マッハシリーズ」へのオマージュとしてレインボーラインのグラフィックを新採用し、KAWASAKIロゴは転写フィルムで表現。サイドカバーのエンブレムもブラック仕上げとしている。
Z900RS CAFE[2026 model]
価格については、装備追加もあって「Z900RS SE」は従来モデルより13万2000円プラスの183万7000円に。新規追加のブラックボールエディションは、従来のスタンダード比で4万4000円プラス、かつイエローボールエディションからは3万3000円ダウンの152万9000円も設定された。Z900RSカフェは2万2000円プラスの154万円だ。
いずれも2026年2月発売予定で、全グレードがETC2.0車載器を標準装備、カワサキケアモデル指定となっている。詳細なスペックは後日発表予定だ。
KAWASAKI Z900RS SE[2026 model]
●価格:183万7000円 ●発売予定時期:2026年2月
Z900RS SE[2026 model]メタリックスパークブラック(BK1)
KAWASAKI Z900RS Black Ball Edition[2026 model]
●価格:152万9000円 ●発売予定時期:2026年2月
Z900RS Black Ball Edition[2026 model]エボニー(BK2)
KAWASAKI Z900RS CAFE[2026 model]
●価格:154万円 ●発売予定時期:2026年2月
Z900RS CAFE[2026 model]エボニー(BK1)
ジャパンモビリティショー撮って出し
オーナーなら見た目でナローハンドルの違いがわかる?
Z900RSシリーズ・オフィシャル詳細カット
Z900RS SE
Z900RS Black Ball Edition
Z900RS CAFE
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI] | 新型ヘリテイジ/ネオクラシック)
それぞれホイール色も異なるカラー展開 カワサキがZ650RSの2026年モデルを発表した。カラーバリエーションは2色とも新色に置き換わり、黒ボディにレッドストライプ&レッドホイールのエボニー、メタリッ[…]
青ベース、白ベースそれぞれのツートーンが登場 カムシャフトの駆動にベベルギヤを用いた、美しい外観の空冷バーチカルツインエンジンを搭載(バーチカルは垂直に立ったシリンダーを指す)するW800は、360度[…]
カワサキ大排気量モデルの原点は、2026年モデルも普遍性を継承 目黒製作所の創立100周年だった2024年秋、「メグロK3」が初のデザインアップデートを受けた。2024年11月発売のメグロS1のカラー[…]
9/10発売:スズキ アドレス125 まずはスズキから、原付二種スクーターの定番「アドレス125」がフルモデルチェンジして登場だ。フレームを新設計して剛性を高めつつ軽量化を実現し、エンジンもカムシャフ[…]
3色すべてホイールカラーも異なる カワサキは欧州でZ650RSのニューカラーを発表。カラーバリエーションの全てが新色に置き換わり、黒ボディにレッドストライプ&レッドホイールのエボニー、メタリックブルー[…]
最新の関連記事(新型大型二輪 [751〜1000cc] | 新型ヘリテイジ/ネオクラシック)
『パールビガーブルー』と『メタリックミスティックシルバー』の2本立て スズキは、前年モデルから車体カラーを継承した「KATANA(カタナ)」を2026年モデルとして発表した。価格は2万2000円上昇し[…]
マニア好みのボルドールカラーが映える! アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムだが、まずはカラーリングがインパクト大! CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、[…]
グランプリレースの黄金時代が甦る! 1970年代~80年代にかけて伝説的なアメリカンライダーのケニー・ロバーツ氏が走らせたYZR500は、イエローのストロボライン(ヤマハは現在スピードブロックと呼称)[…]
これぞCBだ! そう直感的に思えるライダーの視界 跨った瞬間に「CBだ!」と思えた。視界に入る燃料タンクの大きな面積や両腿の内側に感じる存在感、そして昔で言う“殿様乗り”が似合う大きくアップライトなラ[…]
スーパースポーツ譲りのエンジンと幅広いシーンに対応する車体 CB1000Fは、ホンダの代表的なプロダクトブランド「CB」のフラッグシップモデルと位置づけられている。 スーパースポーツモデルのエンジンを[…]
人気記事ランキング(全体)
空冷エンジンのノウハウを結集【カワサキ GPz1100[ZX1100A]】 航空機技術から生まれたハーフカウルとレース譲りのユニトラックサスを装備。デジタルフューエルインジェクション効果を高めるために[…]
月内発売:SHOEI 「GT-Air 3 AGILITY」 優れた空力特性とインナーバイザーを兼ね備えたSHOEIのフルフェイスヘルメット「GT-Air3(ジーティーエア スリー)」に、新たなグラフィ[…]
背中が出にくい設計とストレッチ素材で快適性を確保 このインナーのポイントは、ハーフジップ/長めの着丈/背面ストレッチ素材」という3点だ。防風性能に特化した前面と、可動性を損なわない背面ストレッチにより[…]
「特殊ボルト」で困ったこと、ありませんか? 今回は「でかい六角穴のボルト」を特殊工具なしで外してみようというお話。 バイクを整備していると時々変なボルトに出会うことがあります。今回は古い原付オフロード[…]
点火トラブルって多いよね 昔から「良い混合気」「良い圧縮」「良い火花」の三大要素が調子の良いエンジンの条件として言われておりますが、それはそのまま調子が悪くなったバイクのチェック項目でもあります。その[…]
最新の投稿記事(全体)
関東のおすすめバイク神社一覧 ライダーのセーフティライドを支えるのは、交通ルールを遵守した適切なオートバイの乗り方と、愛車への深い理解、周囲の交通環境を確認して事故を未然に防ぐ観察眼などがあります。 […]
出力調整を極限まで最適化&他技術との連携で相乗効果 キャブやFIスロットルボディの吸気量を決めるバタフライの開閉をワイヤーで繋がったスロットルグリップで人間が直接調整していたのが旧来の方式。これに対し[…]
商品ではなく「こんなこと、できたらいいな」を描く 今回は見た瞬間にハートを鷲掴みにされてしまったモトクロス系のお気に入りバイクカタログをご覧になっていただきたい。 まずはアメリカホンダ製作によるモトク[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年6月に発売された[…]
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
- 1
- 2


































































































