
9月1日(月)、有楽町の国際フォーラムにて“ワークマン秋冬製品発表会 WORKMAN EXPO 2025秋冬”が開催された。創業以来続けてきた経営戦略を大きく変えると発表したワークマン。その概略と合わせて、ライダーに注目してほしいジャケットを2点を紹介しよう。
●文:大屋雄一(ヤングマシン編集部) ●写真:大屋雄一●外部リンク:ワークマン
「欠品の常態化」に終止符 ワークマン、45年目の“本気”宣言
ワークマンの土屋専務が発表会で示したのは、創業45年目にしてやり方を根本から改めるという決意だ。人気製品が店頭になく、CS(顧客満足度)が著しく下がっている現状を「最大の反省点」とし、幅広い品揃えで“底が浅い”在庫を回す従来型から、少数精鋭の看板商品に在庫を厚く張る“深さ重視”へ大転換すると発表した。
1980年に創業したワークマン。“45年ぶりの本気!!”というキャッチは“創業以来初”と同義であり、その意気込みが伝わってくる。右は登壇した土屋哲雄専務取締役で、着用しているのは新製品のエックスシェルター断熱βライトウォームジャケット(2900円)だ。
柱は四つ。①重点製品の8~10倍生産:今秋冬は“着る断熱材”ことエックスシェルター、疲労回復系のリカバリーウエア“メディヒール”、EXILE TAKAHIROさん監修のワークウエア“ゼロステージ”、そしてKAITEKIパンツ(一般客向けの「温度パンツ」と作業者向け「湿度パンツ」)の計4シリーズで大量生産に踏み切る。これらの勝負製品は合計465万点、133億円規模に達し、欠品で機会損失を生んできた悪循環を断つという。
右はメディヒールのブランドアンバサダーに就任したタレント・俳優の武井壮さん。陸上競技・十種競技の元全日本王者であり、リカバリーの大切さを誰よりも知る一人だ。
②製品開発・販促・売場づくりの連動:全国各地にある1062店舗の店頭という“巨大メディア”に露出させる以上、1万~2万着程度では推さない。50万~100万着規模で生産し、開発段階から販促と売場計画を一体化する。
③大型物流センターの新設:群馬・伊勢崎と岡山にそれぞれ2万5000坪の倉庫を建設し、在庫を持てる体制へ。投資額は合計で約330億円を見込んでいる。
④公式アプリの始動:発表当日から提供を開始し、顧客との直接接点を強化する。
9月1日からスタートしたワークマン公式アプリ。新製品の情報や先行予約、店舗の在庫確認ができるほか、今後のアップデートでさらに便利な機能が組み込まれる予定だ。
転換の象徴となったのが、昨年発売した「エックスシェルター」だ。ワークマン曰く“世界初の寒暖差対策”ウエアであり、一例として、カタログ上はマイナス10℃対応ながら、室温25℃でも快適に着られるという対応力が売り。従来は在庫リスクを恐れて10万~20万着規模に留めがちだったが、今回は100万~200万着の生産に踏み込む。今秋冬だけで全アイテム合計125万点、50億円を投じ、さらに来春夏は猛暑対策ウエアで100億円級の柱を立てる計画だという。
秋冬向けの断熱系エックスシェルターのラインナップ。昨シーズンは瞬殺だったアイテムもあり、欲しい方は早めに先行予約を入れておくことをお勧めする。
今シーズンは新たな断熱層として“断熱βシート”が加わった。昨シーズンから継続採用される“断熱αシート”は基本的に中わたを組み合わせて使用するのに対し、断熱性が20%高く伸縮性も兼ね備えたβは、製品によって中わたありとなしを使い分ける。
こうした方針転換の背景には、「売れ筋ほど店頭から消える」、「転売ヤーの餌食」という厳しい声があった。特殊工具まで揃う“何でもある専門店”の思想は、一般客には通用しなかった。だからこそ、在庫を持たないという社訓を見直し、人気製品は“欠品しないこと”を最優先に据える。幅で勝つのではなく、年間100億円を狙える看板商品を大切に育てる。ワークマンは今、過去の成功体験を脱ぎ捨て、アパレル業界における「在庫の公式」を覆すための本気の投資と運営へ舵を切ったのだ。
透湿度9万g/m2/24h! エックスシェルターのフラッグシップ
ここからは、本格的なバイク用ではないものの、ライダーが快適に着られそうなジャケットを2点見つけたので紹介しよう。まずはエックスシェルターシリーズの中から、レイヤリング次第で冬まで対応できそうな“エックスシェルター断熱βプレミアム超透湿防水防寒ジャケット”から。
エックスシェルター断熱βプレミアム超透湿防水防寒ジャケット(管理番号:68265)。サイズはM、L、LL、3L、4L。価格は9800円。
カラーバリエーションはブラックとアッシュベージュの2種類。ベージュは4Lなし。
新素材“断熱βシート”を使用したこの製品。最大のポイントは、前後の身頃などに使われている3レイヤー生地の耐水圧が30,000mm/H2O、透湿度90,000g/m2/24h(!)という、とんでもないスペックを誇ることだ。身頃以外の2レイヤー生地も耐水圧10,000mm/H2O、透湿度70,000g/m2/24hであり、透湿性の高さは圧倒的だ。
透湿度の実験。左は透湿度50,000g/m2/24hの生地で、これだけ空気が抜けていくのだ。
暖かい時期からの寒暖差に対応できるよう中わたは入っておらず、断熱βシートが防寒および吸光発熱の要となっている。サイドには大型ベンチレーションを設けたり、前合わせにはファスナーを全開にした状態でもボタンで固定できるようにしたりと、気温が上がった際の快適性にまで十分配慮している。
身頃サイドから上腕にかけて大きく開くベンチレーション。ダブルファスナーにより開口部のサイズや位置を自由に調整できる。
前合わせの内側に設けられたスナップボタン。バイクの走行風では外れてしまうかもしれないが、登山などのアクティビティでは活躍するギミックだ。
ファスナー付きの内ポケットには、衣服内の温度をチェックできるサーモメーターあり。裏地は部分的にメッシュを使うことで蒸れの軽減を狙う。
面ファスナーで絞れる袖口は二重構造を採用。表地にはPFASフリーの撥水剤を使用する。
衣服内で空気を循環させるという新発想、イナレムも進化している
続いて紹介するのは、ワークマンオリジナルの高透湿防水素材イナレムを採用した新製品“イナレム サーキュレーターレインジャケット”だ。
イナレム サーキュレーターレインジャケット(管理番号:68239)。カラーは写真のアイボリーのほか、ブラックとイエローを用意。サイズはS、M、L、LL、3L。4900円
自転車系アンバサダーの今田イマオさんが開発協力した製品で、後ろ身頃の裾を長めにしたシルエットをはじめ、上腕やウエストに設けられた調整タブ、3連バックポケットなど、全体の作りは自転車だけでなくバイクでも有益なはずだ。
サイクルジャージでは定番のバックポケットをジャケットに採用するという新発想。開口部のループはリフレクター入りだ。
新機能であるサーキュレーターメッシュは裏地に使われており、フロントポケットや袖口から取り入れた外気を内部で循環させ、後ろ身頃のベンチレーションから熱気を排出するというもの。これも先に紹介したエックスシェルターのジャケットと同様に、ロングシーズン対応できるように考えられたものだ。
裏地の半分以上を占めていそうな立体メッシュがサーキュレーターシステムの要だ。
ダブルファスナーを使用した前身頃のポケットは上下2段になっており、エアインテークも兼ねている。
表地の耐水圧は10,000mm/H20、透湿度は30,000g/m2/24h。中わたが入っているので、これ1着でも十分な防寒性を発揮するだろう。インフードやパッカブルシステム、便利なマルチフックなど、機能を余すところなく詰め込んだワークマンの意欲作だ。
パッカブルにするとこれぐらいのサイズに。自転車のハンドルなどに括り付けるためのベルトも設けられている。
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