
プロダクションレースのベース車としての高いポテンシャルを日常でも思い通りに操れる、ジャストサイズのスーパースポーツCBR600RR。初登場は2003年ということもあり、手頃な価格の出玉も増えている。中古車としての注目度も高いので、この機会に各年式の違いをおさえて、自分に最適な一台を選んでみよう。この記事では2003年モデルから最新2024年モデルまでの主要な変遷を紹介する。
●文:ヤングマシン編集部
2003年モデル概要:MotoGP直系の先進技術を取り入れたSSとして登場
発売は2003年7月4日。2003年当時、最先端のMotoGPマシンだった「RC211V」で培った先進技術とスタイリングを随所に取り入れ開発された。初代のコンセプトは、“Innovative Wonder(イノベーティブワンダー)”。可能な限りの軽量化とマスの集中を目指し、エンジンは軽量かつコンパクトな新設計の水冷DOHC直列4気筒を搭載した。
また、当時新開発の電子制御燃料噴射装置「PGM-DSFI」採用により、低回転域から高回転域まで対応する高効率燃焼を実現していた。さらに また、盗難抑止に効果的なセキュリティシステムH・I・S・Sやコンパクトで多機能な液晶デジタルメーターなど充実した装備も特長だった。
【HONDA CBR600RR[2003model]】主要諸元■全長2010 全幅695 全高1115 軸距1395 シート高820(各mm) 車重199kg(装備) ■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 599cc 69ps/11500rpm 5.2kg-m/7500rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:93万4500円 ●色:赤 ●発売日:2003年7月4日
2003年モデル概要:MotoGP直系の先進技術を取り入れたSSとして登場 2003年当時、最先端のMotoGPマシンだった「RC211V」で培った先進技術とスタイリングを随所に取り入れ開発された。初[…]
2005年モデル:大幅な軽量化で乗りやすさと運動性能向上
発売は2005年1月27日。初のフルモデルチェンジとなる2005年モデルでは、メインフレームを中心に5.6kgの大幅な軽量化を実現。また、重量物を重心位置へ近づけるマスの集中化を図ることで、運動性能の大幅な向上と高い操縦安定性を実現した。
エンジンは、インレットポートの形状や、マフラーとエキゾーストパイプの管長が見直され、中速域でスロットルレスポンスがさらにリニアに応答するように。また、インジェクター噴射粒径の設定が変更され、燃焼効率が高められていた。
足まわりは、倒立フロントフォーク採用により剛性を高め、リアのユニットプロリンクサスペンションの軽量化も伴ったことで、操縦性が向上。フロントブレーキには当時の「RC211V」や「CBR1000RR」に採用されていた剛性の高いラジアルマウントキャリパーが採用された。
【HONDA CBR600RR[2005model]】主要諸元■全長2010 全幅695 全高1115 軸距1395 シート高820(各mm) 車重199kg(装備) ■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 599cc 69ps/11500rpm 5.2kg-m/8500rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:93万4500円 ●色:赤、銀、黒 ●発売日:2005年1月27日
2005年モデル概要:大幅な軽量化で乗りやすさと運動性能向上 2003年7月の発売以来、安定した走りと高いポテンシャルによって、サーキットのみならず市街地でも快適なライディングを実現したスーパースポー[…]
2007年モデル:平成19年国内排出ガス規制に適合しつつ進化
発売は、2007年5月24日。二度目のフルモデルチェンジで、動力性能と車体の取り回しやすさの向上を目指し、乾燥重量約8kg減という大幅な軽量化を実現。さらに、空力と機能性を追求した流麗なカウルデザインを採用し、走行性能を向上させていた。
平成19年国内排出ガス規制に適合したこともトピック。1気筒あたり2つのインジェクターによる緻密な燃料供給を行い、理想的な空燃比での燃焼を実現する電子制御式燃料噴射システム(PGM-DSFI)に加えて、ツインキャタライザーを採用するなど環境負荷の低減と、高い運動性能を両立させた。
スタイリングの面では、エアクリーナーボックスへの安定した空気吸入や、エンジンの放熱に効果的な形状とするなど、エアマネジメントを考慮したカウルデザインを採用。また、マスの集中化をも考慮した、アグレッシブなイメージの先進的なスタイリングとなった。
【HONDA CBR600RR[2007model]】主要諸元■全長2010 全幅685 全高1105 軸距1380 シート高820(各mm) 車重187kg(装備) ■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 599cc 69ps/11500rpm 5.2kg-m/8500rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:107万6250円 ●色:白、赤、青、黒 ●発売日:2007年5月24日
2007年モデル概要:平成19年国内排出ガス規制に適合しつつ進化 二度目のフルモデルチェンジを果たしたのが、この2007年モデル。動力性能と車体の取り回しやすさの向上を目指し、それまでのモデルと比べて[…]
2013年モデル:電子制御ABSモデルもラインナップ
発売は、2005年1月27日 。新設計のフルカウルを採用し、より優れた空力特性とシャープなデザインを実現していた。フロントサスペンションには当時の「CBR1000RR」と同様に、ブレーキング時の安定性と乗り心地の向上を図った、ビッグピストンフロントフォークを新採用したこともアップデートのひとつ。前後ホイールには12本スポークのアルミキャストホイールを採用していた。
さらにスーパースポーツモデル用として世界で初めて電子制御式“コンバインドABS”を搭載したABS仕様車も登場。前・後輪連動ブレーキシステムと、ABSの双方を電子制御化し、より緻密にコントロールすることが可能になった。
【HONDA CBR600RR[2013model]】主要諸元■全長2030 全幅685 全高1115 軸距1380 シート高820(各mm) 車重189[199]kg(装備) ■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 599cc 78ps/12000rpm 5.3kg-m/1000rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:109万8300円~[126万6300円~] ●色:白×青×赤、黒、レプソル ●発売日:2013年3月22日 ※[ ]内はABS仕様
2013年モデル概要:電子制御ABSモデルもラインナップ 2003年7月の発売以来、安定した走りと高いポテンシャルによって、サーキットのみならず市街地でも快適なライディングを実現したスーパースポーツと[…]
2020年モデル:大幅な電脳化と性能向上をはたして復活
発売は2020年9月25日。2016年の国内での生産終了から実に4年ぶりとなる登場だった。
エンジンは動力性能向上のため、クランクシャフトとカムシャフト、バルブスプリングの材質変更により高回転化を実現。シリンダーヘッドのポート形状変更やバルブタイミングの変更、スロットルボア径の拡大、スロットルバイワイヤ(TBW)の採用などにより、高出力と高いコントロール性を両立していた。
この結果、最高出力は歴代最高の121ps/14000rpmを実現。当時、最大のライバルであったYZF-R6を上回る数値を記録していた。アシストスリッパークラッチも採用し、レバー操作力の低減とリヤホイールのホッピングも抑制したこともアップデートポイントだった。
車体は従来型がベースで型番もPC40を踏襲していたものの、150gの軽量化と剛性バランスを向上を果たした。また、フロントカウルにはダウンフォースを発生させるウイングレットを新設し、走行中のフロント荷重減少を抑制して旋回性能を高めていた。
スロットルバイワイヤの採用により大幅な電脳化が施されたことも特筆すべき点。パワーセレクター、トルクコントロールなどが追加されただけでなく、5軸IMU付き2chABSも採用していた。
【HONDA CBR600RR[2020model]】主要諸元■全長2030 全幅685 全高1140 軸距1375 シート高820(各mm) 車重194kg(装備)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 599cc 121ps/14000rpm 6.5kg-m/11500rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:160万6000円 ●色:赤 ●発売日:2020年9月25日
2020年モデル概要:600スーパースポーツが戦闘力を向上して復活 2016年に国内仕様の生産が一時ストップしていた、600ccクラスのスーパースポーツ「CBR600RR」が復活したのは、2020年の[…]
2024年モデル:排ガス規制に適合し、実質的な値下げを敢行
発売日は2024年2月15日。2022年11月以降は車両の生産自体が不可となっていたが、2024年モデルで令和2年排出ガス規制をクリアして再登場した。
スペックは121ps/14250rpm・6.4kg-m/11500rpmとほぼ従来どおりのパフォーマンスを維持しており、車重は194kg→193kgへと1kg軽くなっていた。
最大のトピックは価格。従来型で2万6950円のオプションだったアップ/ダウン双方向クイックシフターを標準装備としながら、価格は据え置きかそれ以下と実質的な値下げを敢行していたのだ。
【HONDA CBR600RR[2024model]】主要諸元■全長2030 全幅685 全高1140 軸距1370 シート高820(各mm) 車重193kg(装備) ■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 599cc 121ps/14250rpm 6.4kg-m/11500rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:157万3000円~ ●色:赤、黒 ●発売日:2024年2月15日
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HONDA CBR600RR最新相場情報
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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