普遍性と先進性が共存するホンダ「CB1000Fコンセプト」最新詳細情報まとめ【2025年6月版】

普遍性と先進性が共存するホンダ「CB1000Fコンセプト」最新詳細情報まとめ【2025年6月版】

2025年3月の大阪モーターサイクルショーで世界初公開された「ホンダCB1000Fコンセプト」。往年の名車CB-Fを想起させるだけでなく、新たなスタンダードバイクとしての役割を併せ持つ、ホンダ入魂の一台だ。発売が待ち遠しいこのモデルの実車を確認する機会に恵まれたので、そこから判明した詳細な情報をまとめてお伝えする。


●文:ヤングマシン編集部

「ホンダCB1000Fコンセプト」は新時代のCB像を具現化

2025年3月の大阪モーターサイクルショーで世界初公開されたホンダCB1000Fコンセプトは、往年の名車CB-Fを想起させつつも、新たなスタンダードバイクとなりうる一台。従来の旗艦CB1300シリーズのファイナルエディション発表と同時に公開されており、次世代CBの新旗艦としての重大な使命を持つ。

ベースは最新のCB1000ホーネットで、152psのハイパワーと211kgの軽さを誇り、CB1300SFより大幅にパワフルかつ軽量だ。発売には至らなかったCB-Fコンセプトとは異なり、開発チームは若いスタッフの意見も尊重し、伝統と先進性が同居する「新時代のCB像」を導き出したという。

先進車体で“F”フォルムを再現

ホンダCB1000Fコンセプトは、直列4気筒エンジンと丸1眼ヘッドライト、オーソドックスな外装で、往年のエフらしさとジャパニーズネイキッドの王道スタイルを両立している。ベースのCB1000ホーネットが前下がりで未来的なストリートファイターのフォルムだったのに対し、普遍的なネイキッドへと見事に変貌させた。

タンクからサイドカバーを経てテールカウルまで流れるような「インテグレートストリームライン」は、かつてのCB-Fを現代的に昇華し、レトロさとスポーティーさを共存させた見事なもの。丸1眼LEDヘッドライトや角型液晶メーターなど、先進的な要素も取り入れられている。

かつての”F”と比べると、現代的な「水平基調」が特徴

ホンダCB1000Fコンセプトのデザインは、2020年のCB-FコンセプトをCB1000ホーネットをベースに大きくアップデートしたものといえる。ホンダ自身も、これを「Fの後継というより、新しいCB像の提案」と説明。

バイクブーム世代には馴染み深い、CB750F/900Fの「サバ折り」とは異なり、シートからタンク下端にかけての「水平基調」の直線的なラインが強調されている点が特徴だ。幅広なタンクや小ぶりなテールカウル、液晶メーターなど、現代的なセオリーに則った「迷いのない潔さ」が見て取れる。

スマートキーなど実用装備が充実

ホンダCB1000Fコンセプトは、ベース車両のCB1000ホーネットとパーツを共有しつつも、多くの専用装備を採用している。とくに注目なのが、国産ビッグネイキッドでは珍しいスマートキーを導入し、実用性を高めている点だ。

メーターはホーネット譲りの角型5インチTFTカラー液晶で、スマートフォン連携機能「Honda RoadSync」により簡易ナビや音楽などの情報表示に対応。ETC2.0車載器も標準装備となっている。コンセプトモデルの実機では、ライディングポジション関連パーツも変更されており、アップライトなハンドル位置や前方に移動したステップ、センタースタンド装着用のボスなども確認できた。

扱いやすさを高めるべく、エンジン特性とシャーシを最適化

ホンダCB1000Fコンセプトは、ベースのCB1000ホーネットSTD仕様のエンジンとシャーシを継承しつつ、細部の変更で特性を最適化している。スーパースポーツ由来の152ps直列4気筒エンジンは、ホーネットの高回転域重視の特性に対し、日常域での扱いやすさを追求。低中速寄りの出力特性に専用化される可能性が高い。

シートレールは専用設計で、ホーネットより角度を抑え後方に延長し、「エフ」らしい落ち着いたロングテールを実現。足まわりはショーワ製SFF-BP倒立フォークなど無印ホーネットと同様だが、リヤサスペンションのリンク形状が変更されており、穏やかなセッティングとなることが期待できる。

Fの取り回し性の良さは圧倒的

ホンダCB1000Fコンセプトは、CB1300スーパーフォアに比べ、取り回しと足着き性に優れる。とくに、引き起こしが圧倒的に楽だ。身長167cm/体重61kgのライダーの場合、地面からかかとまでの距離はCB1000Fが8.7cm、CB1300SFが11cmとなっており、CB1000Fの方が足着きがよい。

CB1000Fはスポーティーなライディングポジションながら膝の曲がりは緩やかで、車重の軽さ(CB1300SFより50kg以上軽量)も相まって、気軽さや間口の広さを優先した設計であることがうかがえる。

愛車はCBだらけの著名ライダーも「軽さ」に驚嘆

ヤングマシンでメインテスターを務める丸山浩も、ホンダCB1000Fコンセプトに高評価。「エフっぽさ」が随所に漂うことに感動したという。とくにサイドカバーからテールカウルへの流れるようなラインがお気に入りとのこと。

実車を引き起こした際には「軽っ!」と思わず声が出たほどで、車重266kgのCB1300SFと比べて歴然とした軽さがあると指摘。この軽さと足着きの良さから、より多くのライダーに勧められると述べ、市販された際にはサーキット走行やAMA風カスタムへの期待を語っている。

カワサキZ900RSには「新しさ」で対抗

ホンダCB1000Fコンセプトの強力なライバルといえるのは、やはり絶大な人気を誇るカワサキZ900RSシリーズ。Z900RSがレトロなZ1モチーフであるのに対し、CB1000FはCB750F/900Fを継承しつつも「新しさ」を前面に出している点が明確な違いだ。

ベースのホーネット由来のスーパースポーツエンジンや豊富な電子制御が特徴で、直線的なデザインで新世代感をアピール。メーターはホーネットと同様の5インチ液晶ディスプレイで、スマホ連携機能も搭載する可能性が高い。

市販版は2025年秋に140万円前後で登場か

ベースとなるCB1000ホーネットとの部品共通化でコストを抑える努力をしていることもあり、「CB1000Fコンセプト」市販版は、税込140万円前後で発売されると予想。カワサキZ900RS(148万5000円)やヤマハXSR900GP(143万円)といったライバルを意識した価格ということもあり、若い世代へのバイクの普及も目指すホンダならやってくれるはず。2025年夏の鈴鹿8時間耐久ロードレースなどで何らかの発表がある可能性もある。

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