
前回のプロローグ編に続き、ここからはホンダCB1000Fコンセプトのパッケージを可能な限り詳しく解析していく。公式発表された情報は少ないが、実車からさまざまな事実がわかった。まずはスタイル。CB-Fをイメージさせつつ実に王道だ!
●文:沼尾宏明(ヤングマシン編集部) ●写真:真弓悟史
見る者で印象が違う? 絶妙なカタチとストーリー プレス向けの事前撮影会場に訪れたヤングマシンの取材スタッフ。興奮しながら、眩しいライトに照らされて佇むCB1000Fコンセプトの実車を目にした。しかし、[…]
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル
直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ、ジャパニーズNKの伝統を汲んだ“ザ・王道”だ。
公式発表はないが、エンジンとフレームからCB1000ホーネットがベース車であることは明らか。前下がりで未来的なストリートファイターのホーネットから、普遍的なネイキッドのフォルムを造り上げたことにまずは拍手を送りたい。
丸1眼ヘッドライトにアップハンドル、右1本出しの集合マフラー、そして直4の心臓部が強調された王道フォルム。クセがないだけに、たとえエフ風カラーでなかったとしても違和感がなさそう!?
伝統の流麗ストリームラインを現代的に昇華
外装はフロントフェンダーなど一部に流用パーツが見られるが、ほぼすべてが専用設計のようだ。
やはり白眉は、かつてのCB-Fが採用したインテグレート(一体型)ストリームラインを連想させるスタイルだろう。タンクからサイドカバーを経てテールカウルまで流れるように連なるエクステリアは、往年のCB750F/900Fが元祖。それまでは各部の外装が独立したデザインだったのに対し、往年のCB-Fはすべてを連続させることで革新的なイメージをもたらした。
そして、やや角張ったタンクとカラーリングがエフの血統を主張する。オリジナルのCB750Fと比べると、タンク幅がかなり拡大し、エッジも抑えられている。その一方でサイドビューは、往年のCB-Fより外装の面積が抑えられ、テールの伸び上がり感も強調。軽さと速さを感じさせるフォルムに仕上がっている。
今では一般的となったエフ発祥のストリームラインを現代的に昇華しながら、巧みにエフらしさも残す。それゆえに、先進的なパッケージと、万人が親しめるスタンダードなバイクらしさが違和感なく同居しているのかもしれない。
丸1眼LEDヘッドライトと角型の液晶メーターを除けば、オーセンティックなネイキッドそのもの。前から見るとタンクは幅広でボリュームがあり、軽快なサイドビューに対してマッシブな印象だ。リヤビューは実にシンプルだが、CB750F/900Fを思わせる角張ったテールライトと、太い1本出しマフラーが個性を主張。タンクやメーター、灯火類など各部に「角」の意匠を散りばめているのも印象的だ。
オリジナルのCB750F/900Fよりサイドカバー&テールがコンパクトかつシャープ。現代的な前後17インチホイールとの組み合わせで、レトロさとスポーティーさが上手く共存している。
今回の車両はウインカー/ミラー/ナンバープレートホルダーが非装備。これらの形状と装着位置で印象は大きく変わるハズだ。
エフの意匠と普遍性の共演
【伝統の角タンク踏襲】スクエアな燃料タンクはエフのシンボル。CB1000Fコンセプトでは元祖 CB-Fよりエッジを抑え、太股が当たる部分に隙間を隠すカバーを備える。タンクは元祖や前回のコンセプトに比べ、幅広で下部にくびれがないが、ダウンドラフト吸気によりエアボックスをヘッド上に置いたことが理由だろう。
【丸1眼LEDヘッドライトは新作か】メッキリムとHONDAロゴ入りのバーを採用したヘッドライトは新設計と思われる。外径はビッグバイクで標準的な205mm。ホーン間は50mmとやや離れ、直径もCB1300より少し小さい。FフェンダーはCBR650Rと同タイプ。※数値は筆者実測
【コンパクトなサイドカバー】サイドカバーはシャープな造形。、元祖CB-Fと比べれば小ぶりながら、タンクからテールへと連なるラインを形成している。左側カバーにシートロックの鍵穴あり。
【大面積タンデムシートで積載性も良好】特徴のある立体的な表皮パターンは、元祖CB750F/900F(FZ、FA)のオマージュ。ただし元祖と違い、タンデム側にステッチ がなく、座面最後部にエンボス加工の「CB」ロゴが入る(小写真)。フラットかつ面積の広いタンデムシートも特徴だ。跨るとしっかりクッション入りで、すでに型ができているとみた!
【控えめながらエビ反りテールを再現】後部が反り返ったテールカウルもエフの特徴。本作は元祖より小型化&シャープな造形としながら、特徴を押さえている。裏側はカバーされていたが、いかにもフェンダーやナンバーステーが装着されそうな雰囲気だ。
【テールランプも“角”を意識】テールカウルはもちろん、 LEDストップランプも専用設計。元祖が横長&大型の四角形状だったのに対し、スクエアさは残しつつ洗練された8角形状とした。バルブは上下に6×2段配置される。ベース車のCB1000ホーネットと同様にエマージェンシーストップシグナルも採用か?(大写真がブレーキランプ点灯状態。左下/右下はそれぞれライトオン/ライトオフ)
【BIG-1を思わせる艶気も】CB1300に比べて、全体的にスリム&コンパクトな車体ながら、ボリューミーなタンク前方からグッと絞り込まれ、シャープにテールへ連なるラインは実にグラマラス。CB1300らBIG-1を彷彿とさせる艶気だ。タンク上部センターの盛り上がった造形も往年のエフらしい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(CB1000Fコンセプト)
※価格や発売時期は独自の情報に基づく本紙予想です。販売店へのお問い合わせはご遠慮ください。 ターゲットはZ900RS。プライスも真っ向勝負?! 5年前に「CB-Fコンセプト」を目にした時の歓喜は忘れら[…]
◆今回のPRO解説者:以前にはネオクラ車の解説記事もお願いしたバイクデザインのプロフェッショナル。1980年代前半に某社に入社したベテランで、オンロード系をメインに排気量の大小を問わずさまざまな機種を[…]
ネオクラシックながら”新しさ”で対抗 ヘリテージやネオクラシックと呼ばれるカテゴリーで、登場以来絶対的な人気を誇るカワサキのZ900RSシリーズ。現代スポーツネイキッドをベースに、名車Z1を絶妙にアレ[…]
随所に漂うエフっぽさ。軽さにも驚く! 思い起こせばCB-Fコンセプトから5年。本当に待ってました(笑)。実車を見て、まず思ったのは、さまざまなところにエフっぽさがあるということ。カラーを見て思わず「お[…]
圧倒的に軽いCB1000Fコンセプト。足着き性も良好だ CB1000FコンセプトをCB1300スーパーフォアと比較すると、前者の方がコンパクトで引き起こしも圧倒的にラク。ただ跨ってみると意外と大柄な印[…]
人気記事ランキング(全体)
オートマ・AMT&ベルトドライブ採用の250ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収めることでも知られる、中国・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが[…]
懐かしのスタイルに最新技術をフル投入! 2025年3月の東京モーターサイクルショーで詳細が発表されたヨシムラヘリテージパーツプロジェクト。対象機種は油冷GSX-R750とカワサキZ1となっており、GS[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
K-2439 フルメッシュロングジャケット:スタイルと機能を両立するツーリングジャケット 腰までしっかりと覆う安心感のあるロング丈でありながら、後襟から袖口へ流れるように入ったラインデザインと、ウエス[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
最新の投稿記事(全体)
2020年モデル概要:快適装備と電子制御を新採用 発売は、2020年1月15日。マイナーチェンジが実施され、「エキサイティング&イージー」のコンセプトを堅持しつつ、装備がイッキに充実した。2019年モ[…]
日本車と欧州車がおおよそ半々 マン島をバイクで訪れるには、リバプールやヘイシャムなどの港まで自走し、「スチームパケット社」が運行しているフェリーを利用するのが一般的だが、小型ボートをチャーターしてバイ[…]
先進の冷却機構を備えたフルフェイス カブトの展開するフルフェイスヘルメット「SHUMA」最大の特長は、「ウルトラクールシステム」と称される独自の冷却機構だ。その秘密は風洞実験によって作り上げられた、フ[…]
18時間耐久の優勝で「ヨシムラ」は全国区に 加えて、ホンダから市販車ベースのレース車両の開発依頼もあったものですから、ヨシムラは1965年に東京の福生に移転しました。私は高校1年生でしたので、卒業まで[…]
簡単取り付けで、強い日差しから愛車を強力ガード 「MotoBrella」の最大の特徴は、保護カバーとしての機能性と、気軽に持ち歩くことができる携帯性のバランスが優れていること。 シートの生地は、UVカ[…]
- 1
- 2