
ヤマハのフラッグシップ・YZF-R1に“新型”があるとの情報を掴んだ。足回りや外観の変更が施されるようだが、気になるのはここで新型を投入するという、その意味合いだ。迫る次期規制に適合し、今後も生産を継続するという意思表示なのか、それとも25年以上に渡る栄光の歴史の終焉なのか、はたして…。
●CG製作:SRD(不許複製/All rights reserved)
現行型R1は次期規制に適合していない
ヤマハYZF-R1に“新型”が存在するとの情報が入ってきた。その内容は現行型をベースに足回りに手を加え、外装関係も改められるというもの。詳細は不明ながら、新型のサスペンションやブレーキが投入され、外装ではウイングレットの追加などが行われるものと思われる。
注目すべきは、この新型が公道仕様として登場するという点だ。現行R1は通称“OBD2-2”や“ユーロ5+”と呼ばれる規制(排気触媒の劣化検知機能が要求される)に対応しておらず、欧州では2024年で公道仕様R1の販売を終了し、2025年以降はレースベース車だけを販売すると発表している。日本も例外ではなく、2026年11月にはOBD2-2規制が導入される予定のため、公道仕様の販売を続けるには規制対応のモデルチェンジが必要なのだ。
となれば“新型”の方向性は2つ考えられる。ひとつはOBD2-2に対応し、今後も販売を継続していくためのモデルチェンジ。もうひとつはOBD2-2に対応せず“ファイナルエディション”となる可能性だ。
むろん継続を切望するが、ヤマハは先述のとおり「欧州では2025年以降、サーキット走行のみを目的としたR1を販売する」と発表していることから、OBD2-2仕様が開発されているとは考えにくい。となれば非常に残念ながら、ファイナルの可能性が現状では高いように思われる。
左は欧州仕様YZF-R1の2024年モデル。今年で公道仕様は終了し、2025年からはクローズドコース専用のレースベース車を継続販売することで、J.レイやA.ロカテッリが駆る世界スーパーバイク選手権などの活動を続けることになる。
YZF-R1“ファイナル”の仕様を大胆予測!!
ヤマハの日髙社長はYZF-R1Mを所有。社長の愛車が消えるなんて…そんなことが起きうるのか?!
1998年に登場し、リッターSSの始祖となった名機が終焉となれば何とも寂しいし、実際、公道仕様の欧州販売終了はヤマハ社内からの反発も大きかったと聞く。日髙祥博社長も愛車とするヤマハのフラッグシップであるR1が消えれば、同エンジンを搭載するMT-10も同じ道を辿り、ヤマハから並列4気筒エンジンが消滅する事態すら考えられるのだ。
仮に新型R1がファイナルエディションになるとした場合、欧州での販売が終了する今年中には登場するだろう(もちろん日本にも投入されるはずだ)。諸規制が日本や欧州より緩い北米は販売が継続するかもしれないが、そちらにも特別仕様としての投入はあるかもしれない。
また、公道仕様の終了後もしばらくは継続生産されるレースベース車との共通性を考えれば、ファイナルのベース車両はオーリンズの電子制御サスを持つR1Mではなく、機械式サスのSTDが選ばれる可能性が高い。
とはいえファイナルらしく華のある装備、例えばブレンボ製キャリパーなどの高級パーツはぜひ欲しいし、ヤマハとは合弁事業で繋がりが深く、全日本JSB1000のファクトリーR1も装備するKYB製のスペシャルサスなどが投入されればプレミアム感も高まるはずだ。その上で前述のウイングレットも投入すれば、差別化はかなり大きなものとなる。
全日本JSB1000クラスに参戦中のヤマハファクトリー。過去12回のチャンピオン経験を持つ“絶対王者”中須賀克行選手とYZF-R1は全日本最速の組み合わせだ(走り写真撮影:箱崎太輔)。
YZF-R9はR1の後継機たり得る?
ヤマハは今秋にも登場と噂される新型“YZF-R9”を鋭意開発中で、このモデルにヤマハ初のウイングレットが装備されるとの情報だが、これに続くのがR1ファイナルとなるのかもしれない。
このYZF-R9はMT-09のパワーユニットを転用しつつ、かなり尖ったスーパースポーツとして作り込まれており、速さでは既にYZF-R6を上回っているとの情報だ。車体まわりは専用設計との話もあり、ヤマハの注力ぶりが伝わってくるが、その裏にはR1の殿堂入りという事情もあるのかもしれない。
とはいえ“ナイン”がいくら速かったとしても、ヤマハの象徴はやはり“ワン”。セローやSRといった伝統ブランドが消え、さらにフラッグシップのR1まで終焉となれば…。ファイナルエディションの詳細は楽しみではあるものの、後継や代替機種などの未来もぜひ見せて欲しいところだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA] | 新型大型二輪 [751〜1000cc])
“Neo Retro”ロードスポーツ:2016年モデル 発売は2016年4月15日。現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロ[…]
150万円切りはほぼ確実と思われるが…… ヤマハは台湾で、欧州および北米などで発表済みのスーパースポーツモデル「YZF-R9」の導入価格を発表。日本国内にも2025年春以降の導入が案内されており、正式[…]
新型スーパースポーツ「YZF-R9」の国内導入を2025年春以降に発表 欧州および北米ではすでに正式発表されている新型スーパースポーツモデル「YZF-R9」。日本国内にも2025年春以降に導入されると[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
GT+にはY-AMTを標準装備 ヤマハは、今夏発売と予告していた新型「TRACER9 GT+ Y-AMT」を2025年5月28日に発売すると正式発表。今世代のトレーサー9 GTシリーズでモーターサイク[…]
人気記事ランキング(全体)
新進気鋭のクルーザー専業ブランドから日本市場に刺客! 成長著しい中国ブランドから、またしても新顔が日本市場にお目見えしそうだ。輸入を手掛けることになるウイングフット(東京都足立区)が「導入ほぼ確定」と[…]
静かに全身冷却&最長10時間のひんやり感を実現 ライディングジャケットのインナーとしても使えそうな『PowerArQ Cooling Vest』。その特長は、ファンやブロワー、ペルチェ式ヒートシンクを[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
レブル250ではユーザーの8割が選択するというHonda E-Clutch ベストセラーモデルのレブル250と基本骨格を共有しながら、シートレールの変更や専用タンク、マフラー、ライディングポジション構[…]
最新モデルはペルチェデバイスが3個から5個へ 電極の入れ替えによって冷却と温熱の両機能を有するペルチェ素子。これを利用した冷暖房アイテムが人気を博している。ワークマンは2023年に初代となる「ウィンド[…]
最新の投稿記事(全体)
シリーズ第12回は最終回特別応用偏! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転のお手本として白バイ流の[…]
スズキGSX-R:斬新かつ孤高のネーム、走りもケタ違い 1983年は、世界耐久や鈴鹿8耐でスズキの耐久レーサーGS1000Rが旋風を巻き起こした。 その年の暮れ、晴海で開催された東京モーターショーに、[…]
想像していたよりスポーティで楽しさの基本が詰まってる!! エントリーライダーや若年層、セカンドバイクユーザーなどをターゲットに日本でもラインアップされているジクサー150のʼ25年モデルは、ニューカラ[…]
ホンダ「PRO LITE」の正体が判明?! 2025年秋に生産終了する50cc原付の後継車について、ホンダが新たな動きを見せた。それが2025年6月5日に行われた、「SUPER CUB PRO LIT[…]
非Vツインから始まった、日本メーカー製のアメリカンモデル 1969年に公開されたアメリカ映画「イージーライダー」に登場するハーレーダビッドソンのカスタムチョッパーに影響を受け、長めのフロントフォークと[…]