
MVアグスタとアーティストのダニエル・アーシャム氏は、スーパーヴェローチェ800の特別限定モデル「Superveloce Arsham」の共同制作について発表した。わずか6台のみが12月8日のMiami Art Baselで発表され、同氏作品のコレクターまたはMVアグスタの大口顧客に購入の機会が充てられているという。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
ディーラー販売せず、公道走行の登録は不可
走る芸術品とも言われるMVアグスタ・スーパーヴェローチェをベースに、世界的アーティストが「動く彫刻」をテーマとした作品へと昇華したモデルが限定わずか6台で制作された。ニューヨークを拠点とするアーティストであるダニエル・アーシャム氏の手により、純白の外装に石膏像のような質感が与えられた「Superveloce Arsham」が、12月8日のマイアミアートバーゼル(Miami Art Basel)で発表されたのだ。
MVアグスタの現行モデルの中でも特徴的なデザインを持つネオレトロマシンに与えられたのは、エロージョン技法と呼ばれる腐食や損傷を表現するもので、時の流れという概念を具現化している。アーシャム氏はさまざまな題材を用いながら、事物の絶え間ない変化を途中で凍結したような作品を制作。これを「未来における現在の遺物」と呼び、そのオブジェクトのほとんどは20世紀末またはミレニアル時代から題材が選ばれているという。
なお、すべてのSuperveloce Arshamは走行可能なスーパーヴェローチェ800をベースに制作されるが、公道走行用に登録することはできず、工場保証の適用もなく、あくまでも芸術作品として販売される。ディーラー販売はなく、MVアグスタの大口顧客およびダニエル・アーシャム氏の作品コレクターに購入の機会が与えられ、価格が一般公開されることはない。
完成した作品や作業中の様子は下記リンクより関連写真ギャラリーへ。
Superveloce Arsham x Daniel Arsham
以下、MVアグスタのプレスリリースより引用
MV Agusta Motor S.p.A.のCEOを務めるティムール・サルダロフ氏のコメント
「ダニエル・アーシャム氏とのこの信じられないようなコラボレーションには、大変ワクワクしています。本当に素晴らしいアーティストであり、価値観や哲学の点でMV Agustaと多くの共通点があります。彼の作品は驚くほど刺激的であり、モーターサイクルアートであるMV Agustaを新たな高みへと引き上げてくれるでしょう」
ダニエル・アーシャム氏のコメント
「私はずっと自動車やバイクの世界に魅せられてきました。自動車やモーターサイクルのデザイントレンドは時代に合わせて常に移り変わり、さらにそのデザインが時代を作ってきました。Superveloceのプロジェクトは「動く彫刻」を探求する機会となりました。実際に動くモーターサイクルにクリアなエロ―ジョンを加え、私の他の作品やスタイルとも共通した色合いを施すことで、彫刻へと変容させるのです。MV Agustaとともに、スタンドを含めたバイクのすべての要素を制作し、エンジニアリング上の課題を克服しながら、新解釈のモーターサイクルアートを作り上げました」
ダニエル・アーシャム氏について
ニューヨークを拠点とするアーティストであるダニエル・アーシャム氏の作品は、美術、建築、パフォーマンス、デザイン、映像の各分野に及んでいます。アーシャム氏はマイアミで生まれ育ち、ニューヨーク市のクーパー・ユニオンに在学中の2003年、Gelman Trust Fellowship Awardを獲得しました。
その後まもなく、アーシャム氏はマース・カニングハム・ダンスカンパニーの世界公演に同行し、ステージデザイナーを務めました。この経験は継続的な共同製作活動へとつながり、世界の著名なアーティストやミュージシャン、デザイナー、さらにはポルシェやディオールなどのブランドとも一緒に製作に取り組んでいます。
時が止まったようなアーシャム氏の作品は、「フィクションとしての考古学」という氏独自のコンセプトに根差しています。アーシャム氏はさまざまな題材を扱い、事物の絶え間ない変化を途中で凍結したような作品を制作しています。アーシャム氏はこれを、「未来における現在の遺物」と呼んでいます。アーシャム氏が制作するアイコニックな彫刻作品のほとんどは、20世紀末またはミレニアル時代から題材が選ばれています。この時代は、デジタルによる世界の脱物質化に伴って技術の陳腐化がこれまでにないほど加速された時代でもあります。その不気味さと遊び心が共存するビジョンでは、ロマン主義とポップアートのあわいで現在、未来、過去が詩的にぶつかり合っています。さらにアーシャム氏は、文化が異なっても時代を超えた意味を持つシンボルやジェスチャを取り上げ、実験的な作品を制作しています。
近年、アーシャム氏は美術とビジネスの架け橋となる活動として、複数のビジネスベンチャーによる限定版アートワーク構想を、全世界のオーディエンスに向けて展開しています。たとえば、Arsham Editions、Arsham Living、Objects IV Lifeなどのプロジェクトがあります。
2021年、アーシャム氏はクリーブランド・キャバリアーズのクリエイティブディレクターに就任し、美術作家として史上初めてこの種の役職を担うことになりました。
アーシャム氏の作品は、ニューヨークのPS1、マイアミの現代美術館、ギリシャのアテネ・ビエンナーレ、ニューヨークのニュー・ミュージアム、シンシナティ現代美術センター、ジョージア州サバンナのSCAD美術館、フランスのCarré d’Art de Nîmes、ジョージア州アトランタのハイ美術館などで展示されてきました。パリ、香港、ニューヨーク、ソウル、上海、東京では、Galerie Perrotinがアーシャム氏の作品を取り扱っています。また、アーシャム氏の作品は、リスボンとマヨルカのBaró Galeria、アムステルダムのRon Mandos、東京のNANZUKAギャラリー、ニューヨークのFriedman Benda、ベルリンのKönig Galerieでも展示されています。
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