これがビモータのプラットフォームになる?!

2024新型ビモータ テラ(TERA)登場【ハブセンターステア+スーパーチャージャーで世界最速のクロスオーバー?! |EICMAミラノショーREPORT】

2024新型ビモータ テラ(TERA)

2023年11月にイタリアで開催されたEICMA(ミラノショー)にて、ビモータは新しいハブセンターステアリングのシャーシに、カワサキ製の998cc直4スーパーチャージドエンジンを搭載したクロスオーバーモデル「テラ」を発表した。同社初のクロスオーバーモデルであり、タンデム走行への配慮やツーリングオプション設定など、今までと異なる異色のビモータだ。


●文:ヤングマシン編集部 ●写真:編集部 ビモータ

スーパーチャージャーにハブステアでクロスオーバー…全部載せじゃん!!

EICMAで発表されたビモータのニューモデル「テラ」は、カワサキ体制となって初めて発表された、2019年のテージH2から数えて5番目となる「カワサキ・ビモータ」だ。このモデル最大の特徴は、同社のアイデンティティ=ハブセンターステアリングシャーシの最新進化にあるのだが、その解説の前に、まずは車両のアウトラインを解説していこう。とにかく要素盛り込みすぎな1台なのだ。

まず、テラはビモータ初のクロスオーバーモデルだが、エンジンには200ps&14.0kg-m(137Nm)を発揮する、カワサキZ H2用の998cc直4スーパーチャージャーユニットを選んでいる。同ジャンルでは最強を誇るBMW M1000XRの201psにはわずかに及ばないものの、ビモータ自身は「パフォーマンスはクラス最高。テストでは0-100km/h加速3.5秒、0-200km/h加速8.2秒をマーク」と述べており、世界最速級クロスオーバーなのは間違いない。

BIMOTA TERA

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そんな凶暴な速さを持ちつつも、クロスオーバーらしい配慮もしっかりなされているのも特徴。タンデム走行を考慮してしっかり座面が確保されたリヤシートや、内部をキルティング張りとしたパニアケース、グリップヒーターやUSB電源ソケット、大型スクリーンなどのオプション設定なども、従来のビモータでは考えにくかったものだ。

最新バイクに欠かせない電子制御はZ H2譲りで、クルーズコントロールやトラクションコントロール、コーナリングブレーキ、上下方向クイックシフターにTFT液晶メーターなどを装備。さらにはオプションでマルゾッキのセミアクティブサスペンションも設定されるが、これは標準装備のオーリンズ製前後サスのフロント114mm/リヤ135mmというホイールトラベルを、それぞれ145mm /165mmまで拡大するもの。テラで悪路やオフロードに挑む人向けの選択肢まで用意されているのだ(本当にそんな人がいるかはさておき…)。

スタイリングは、Z H2同様に吸気ダクトを車体左側に大胆に配しつつアドベンチャー感を盛り込んだもので、奇抜さはなくオーソドックスなまとまりを見せるが、トリコロールをあしらったシート表皮などにイタリアンらしさを感じることができる。小型の2眼ヘッドライトはカワサキZX-10Rと共通のようだ。

BIMOTA TERA

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伝家の宝刀・ハブセンターステアがさらなる進化

BIMOTA TERA

ここからはテラのキーポイントとなる車体の話に移ろう。ビモータはテラのシャーシを「あらゆる種類の道路で、あらゆるライダーとパッセンジャーのスタイルに合わせ、快適性や独自の機能、完璧なライディング能力を組み合わせたマシンを生産することを目的に、ゼロから設計した」としている。

その特徴は、片側35°というテージより8°大きな前輪切れ角を達成した新ステアリングシステムにある。ハンドルバーはブレーキキャリパーから伸びるリンクで、より直線的にフロントホイールと接続される構造(テージのハンドルバーは複雑に折れ曲がった長いロッド/リンク/ジョイント類を介し、前輪を後ろから押し引きしている)に改められており、この新システムにより、ハブセンターステアリングの弱点とされるステアリングの切れ角は大幅に改善されている。

【BIMOTA TESI H2】テージのステアリングシステムは、ブレーキキャリパーに接続されたステアリングロッド(青矢印)が、フロントホイールを後ろから押し引きする方式。ハンドルバーからの入力は、リンクやロッドを介して複雑に折れ曲がりながら、このロッドに伝えられる(写真のテージH2は2019年のEICMAに展示されたプロトタイプ。市販型ではステアリングロッドがキャリパーブラケット側に接続されている)。

汎用性が必要なクロスオーバーに“伝家の宝刀”と言えるメカニズムを搭載できたのは、この新ステアリングによるものが大きいはずだ。また、このシステムは「道路の凹凸やブレーキに対する感度を高め、ブレーキングによるフロントダイブの可変制御と下げられたロールセンターにより、最大のコーナリングパフォーマンスを発揮する」ともビモータは述べている。52.5%という、スーパースポーツと比較してもかなり大きいフロントの重量配分にも注目したい。

テラがビモータの汎用プラットフォームに?

とはいえ、フロント用のショックユニットをリヤショックと並べてエンジン後ろに配置するなど、車体の構成自体はテージH2の進化版といえるもので、エンジンをストレスメンバーとし、エンジン前部に固定したアルミプレートがフロントサスペンションを支持する構造は同様。このプレートを作り変えればどんなエンジンにも対応できるし、切れ角が大きなテラの新ステアリングシステムなら、あらゆるジャンルの機種に適合するはずだ。

つまりビモータが誇るハブセンターステアリングのシャーシを、より幅広く展開するための汎用プラットフォームがテラと見ることもできる。このテラの走りも気になるところだが、今後、カワサキとビモータのコラボレーションはさらなる展開が待っているとの情報もある。次にどんな手で我々を驚かせてくれるのかを楽しみに待ちたい!

BIMOTA TERA

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