●監修:青木宣篤 ●写真:Yamaha MotoGP.com
- 1 何を狙っての契約か?:クアルタラロ
- 2 [連載] 青木宣篤の上毛GP新聞に関連する記事
- 3 「前時代的? な気合とド根性が現代のMotoGPをさらなる高次元へ」【ノブ青木の上毛グランプリ新聞 Vol.19】
- 4 「好コンディションの時にマルケスが勝てない理由とは?」【ノブ青木の上毛グランプリ新聞 Vol.18】
- 5 「小椋藍と中上貴晶 それぞれの“最後の”日本GP、マニアックすぎない見どころ紹介」【ノブ青木の上毛グランプリ新聞 Vol.17】
- 6 「“知らぬが仏”で速い若者と、痛い思いをしてもビビらない男・マルケス」【ノブ青木の上毛グランプリ新聞 Vol.16】
- 7 「地味すぎて凄さが伝わらないチャンピオンライダー、ペッコについて解説したい」【ノブ青木の上毛グランプリ新聞 Vol.15】
- 8 「特殊なライディングに戻り始めたマルク・マルケス」【ノブ青木の上毛グランプリ新聞 Vol.14】
- 9 あなたにおすすめの関連記事
- 10 最新の記事
何を狙っての契約か?:クアルタラロ
ヤマハがファビオ・クアルタラロとの契約更新を発表したのは、去る6月2日。’23〜’24年の2年間ということだが、「久々に通常通りの契約スタイルに戻ったな」と妙な安心感があった。「いい時季だな」という意味で。
過去を遡ると、だいたいシーズン半ばのオランダGPあたりで契約について表沙汰になることが多かった。しかし昨今のモトGPライダーの契約は、下手するとシーズン開幕前だったりと、さすがにちょっと早すぎだったのった。
開幕して、少なくとも6〜7戦はこなしてみないと、チームはライダーを評価できないだろうし、ライダーもマシンを評価できないだろう。お互いある程度一緒に戦ったところで、初めて将来について話し合える素材が集まるはずだ。
クアルタラロはかなり好条件で契約したと思う。今のヤマハで勝てるのは彼だけ。ヤマハとしては何としてでも引き留めたかったはずで、その思いは契約金という形で示されたに違いない。
圧倒的に有利な立場での契約。ライダーなら一度はしてみたいものだ…。
クアルタラロのひとり勝ちになると、すぐに「ヤマハのマシンはクアルタラロスペシャルで作り込まれている」という話になるが、ワタシはあまりそうは思わない。やはりクアルタラロのスキルが一歩抜け出ているのだろう。
サテライトチームとはいえ同じヤマハながら、今季まったく目立たないベテラン格、アンドレア・ドヴィツィオーゾがこんなことを言っていた。「今のミシュランタイヤは、一度ホイールスピンし始めると止まらない。それをコントロールするのは大変なんだ」
これ、バレンティーノ・ロッシも言い続けていたこと。つまりヤマハがずっと抱えている課題なのだが、クアルタラロはしっかりと乗りこなせている。ということは、やはり乗り方の問題ではないかと思われるのだ。
先日出向いた全日本ロードの現場で、こんな話を聞いた。
「最近のレーシングマシンはみんな4ストFIだけど、エンジンがツイてこない時、2ストキャブレター育ちの我々はついスロットルコントロールでどうにかしようと四苦八苦しちゃうんだよね。
でもFI育ちの若手は、『早めに開けて待ってりゃいいじゃん』と、我々よりはるかに早いタイミングでスロットルをパチッと開けて、ホントに待ってるんだよ。
それって、2ストキャブ育ちの我々には、怖くてできないこと。急にパワーが出てくるかもしれないから。でも4ストFI育ちの若手は、『怖いって、何が?』てなものでさ。昔と今とじゃ、走り方が全然違うんだよ」
ドヴィツィオーゾとクアルタラロの間には、13歳の年齢差がある。昭和後期と平成中期。そりゃあ乗り方も違うだろう。昔ながらの経験、すなわち「レガシーエクスペリエンス」が邪魔をしているところは、少なからずあるだろうとワタシは睨んでいる。
その根拠のひとつは、クアルタラロだけがなぜ速いのか、本当のところを理解できていないことだ。自分が育ってきた環境や経験してきたことが、今の自分の礎になっている。それはつまり、過去から逃れるのが非常に難しい、ということでもある。
’22年、KTMのサテライトチームには、モト2からステップアップしてきた若手がふたりいる。いずれも実力派だが、予想以上に苦戦している。彼らはモト3でこそKTMを走らせているが、モト3とモトGPは遠い。より近いモト2で鉄フレームの経験をしていないから、戸惑っているのだ。
モト2でKTM経験のあるファクトリーチームのふたりは、言わば鉄フレームの生え抜き。最初から違和感はなかったはずだ。
ファクトリーとサテライトという違いやキャリアの違いよりも大きな、“生まれ”の違い。そう考えると、ヤマハ継続を選んだクアルタラロの選択は、契約金アップ以上の価値がありそうだ。
KTMの生え抜きか否か?
ビンダーはモト2で3年、オリベイラは2年のKTM鉄フレーム経験者。一方のフェルナンデスとガードナーは、’19年をもってKTMがモト2を撤退したあおりで未経験。モト2とモトGPが接近しているだけに、この差が大きく影響している。
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
[連載] 青木宣篤の上毛GP新聞に関連する記事
あなたにおすすめの関連記事
レースに対して情熱を持って取り組んでいるチームスタッフ、そしてライダーたちのことを思うと、撤退は本当に残念。レースにはさまざまな効果があると思うのだが……。 彼らが背負っているのは「SUZUKI」の看[…]
リヤタイヤの強みをより強化するために設置?! ルックス的には賛否両論…というより、どちらかといえば「否」の声の方が大きいような気がする、最新モトGPマシンの巨大シートカウル。年々厚みとボリューム感が増[…]
D.ペトルッチ、ダカールラリー・ステージ優勝の快挙! 2輪モータースポーツ界にものすごい"事件"が起きてしまった。'21年までモトGPライダーとして活躍していたダニーロ・ペトルッチが、ダカールラリーで[…]
セルフステアを抑制!? A.F.C.は完全プライベートレッスンで、決まったカリキュラムはない。完全フルオーダーコーチングだからこそ「ファクトリー」と名付けた。それでも回を重ねるうちに"共通の課題"も見[…]
いくら努力を重ねても、脊髄反射には敵わない 寂しい反面、「だよな…」という思いもあった。モトGP第10戦スティリアGPが開幕されようかという'21年8月5日、バレンティーノ・ロッシが特別記者会見を開き[…]
最新の記事
- スズキ「Vストローム250SX」と「Vストローム250」は何が違う? 身近な兄弟車を比較!
- 【2024年11月版】150~250cc軽二輪スクーター 国内メーカーおすすめ7選! 125ccの双子モデルからフルサイズまで
- SHOEIがシステムヘルメットのド定番モデル「ネオテック3」に新グラフィック「ANTHEM」を発表!
- SHOEIが「Z-8 YAGYO」を発表! 百鬼夜行をイメージしたバイクパーツ妖怪が目印だ!!
- 【SCOOP!】ついに「GB500」登場へ?! ホンダが海外で商標を出願!
- 1
- 2