舞台は5月15日(日)のテイストオブツクバ

レース本番まであと3日! チーム加賀山のオリジナルマシン“鐵隼(テツブサ)”の完成版を大予想

スズキ・ハヤブサを鉄フレーム化し、テイストオブツクバ(T.O.T)の最速クラス・ハーキュリーズで勝ちを狙おうというチーム加賀山の“鐵隼”プロジェクト。5月15日に開催されるハーキュリーズの決勝を前に、WEBヤングマシンで数回に渡って追いかけてきた記事の総集編をお届け。さらに、現状では未公開となっている鐵隼のカラーリングも勝手に予想してみた!


●文:ヤングマシン編集部 ●写真:佐藤寿宏/編集部 ●CG製作:SRD ●外部リンク:Team KAGAYAMA

コースレコード樹立「カタナ1000R」の次期プロジェクトとして

ここ数年、チーム加賀山はカタナフレームにGSX-R1000エンジンを搭載した「カタナ1000R」でT.O.T・ハーキュリーズクラスに参戦し続けており、昨秋の大会では予選で57秒786というコースレコードを記録して優勝した。ライダーはチーム代表であり、全日本やWSB、8耐などで活躍した加賀山就臣さんだ。

「自分の中で、カタナはこれで完結したと感じました。すごく良いストーリーも作れたし、改めて次のステージに行こうと考えたんです(加賀山さん)」

カタナ1000Rは旧車レースであるT.O.Tの趣旨を踏まえ、参戦のたびに旧態然とした構成へ作り変えられ、コースレコードをマークしたのはキャブレター&2本サスという仕様。そんな、あえて戦闘力を下げたマシンで激戦のハーキュリーズに挑む姿に触発され、レースに興味のなかったカタナ乗りが応援のためにT.O.Tに集まるようになった。

2021年11月のT.O.Tハーキュリーズを制したカタナ1000R。大改造したGSX1100Sカタナのフレームに、GSX-R1000のエンジンをキャブレター化して搭載。ちなみに57秒786というタイムは、最新リッターSSのSTD車で競われるST1000クラスでもポイント圏内に食い込めるほど!

ハヤブサで出るなら鉄フレーム化しかない!

「同じことを、今度はスズキのフラッグシップであるハヤブサでやりたいんです。僕も2代目ハヤブサのオーナーですし、ハヤブサってフルカウルなのに出られるレースが何もない。それが面白いと思って(加賀山さん)」

ハーキュリーズはフレームが鉄製であれば参戦OKだが、ハヤブサのノーマルフレームはご存知のとおりアルミ製。ならば鉄フレームを新たに製作してしまおう…というわけだが、元々がツアラーであり、装備重量も260kgを超すハヤブサは決してサーキット向けの車両ではない。苦労するであろうことは容易に想像できる。

「でも、ちょっと変わったバイク乗りが熱くなれるような、そんな話題を提供していきたいんです。そもそも、アルミフレームをわざわざ鉄にするなんて壮大な悪ふざけですよ(笑)。でも、我々はそれを楽しんでいるし、そこに共感してもらえるなら是非サーキットに足を運んで欲しい。モータースポーツに興味のないライダーをサーキットに引き寄せて、日本のレース界を盛り上げたいんです(加賀山さん)」

鉄フレームは野口メカが鉄パイプを1本づつ手曲げし、溶接して組み立てた一品モノ。鐵隼のアイデアは代表の加賀山さんを中心に浮かんだものというが、それを実現できるチーム加賀山の技術力にも注目したい。

鐵隼・マシンメイクの考え方とは?

鋼のイメージを投影し、あえて旧字を当てたという“鐵隼”の狙い所を、設計者であるチーム加賀山のチーフメカニック・斉藤雅彦さんはこう語る。

「変な話ですけど、ハヤブサがベースと言う時点である程度は諦めざるを得ない。どうやったってGSX-Rにはなりませんから。その上で、譲れない部分だけはしっかり押さえるという考え方をしています。そうすれば、後は加賀山が何とかしてくれますから」

鐵隼はT.O.T用の車両なので「筑波サーキットでタイムを出せる」ことが最も重要。加賀山さんはそのために必要なことを“止まること”と“加速すること”だと説明する。

「鈴鹿だとフレームの剛性なども重要なのですが、筑波では剛性のプライオリティを下げてでも、加速と減速を重視したい。なので、とにかくブレーキ回りとエンジン出力のデリバリーをしっかり作り込んでくれと伝えました。それが出来ていれば、後は僕のライディングでタイムは出せますから」

ライバルより優れたバイクを作り上げることを重視し、それを様々なマシンで学んできた加賀山さんは、サーキットや車両の性格に応じた「タイムを出せるバイクの作り方」を熟知している。鐵隼はそのノウハウが下敷きとなっているわけだが、長らく共に戦ってきた加賀山さんと斉藤さんならではの信頼関係、明確な役割分担も見どころのひとつと言っていい。

シェイクダウン前、外装類が仮固定の状態で撮影した鐵隼。F/Rカウルは初代ハヤブサ用を用いるが、タンクはチーム加賀山で開発中の現行ハヤブサ用アルミ製ビッグタンク(容量19→24L)を採用。

ハーキュリーズには鉄フレーム以外にも「エンジンが見えること」という規定があるためハーフカウル仕様とされる。ヘッドパイプが引かれたことで前輪がエンジンに近づき、かつロングなスイングアームでグッと戦闘的なスタイルに変貌している。

メカニックを育てる、数少ない機会

加賀山さんはこの鐵隼について「最も大事なのはメカニック」とも語る。鐵隼には斉藤さんの他、同チームの野口裕一メカニックが車両制作担当として関わっており、フレームの製作などは彼の手によるものだ。

そのフレームはヘッドパイプがライダー側に40mm引かれているが、それによって前輪とエキパイ/ラジエターが干渉しやすくなるため、マフラーはヨシムラの協力を得て専用品が製作される。エンジンは初代ハヤブサ用がベースで、ハイコンプピストン以外はほぼノーマル。外装品も初代と同形状の物を使う。車重は取材時点で未計測だが、レーサーとしてはかなりの重量級になることは間違いない。

「メカとしては、すごく面白くてやり甲斐があるのは確かです。特に野口はカタナ1000Rとこの鐵隼で、溶接や手曲げ、キャブセッティングなど様々なことを学んだはず。このプロジェクトはメカニックを鍛え、大きく成長させてくれる、今となっては希少な機会だとも思います(斉藤さん)」

チーム代表でありライダーの加賀山就臣さん(右)と、チーフメカニックの斉藤雅彦さんの関係性は長年の信頼を感じさせるもの。ここにメカニックの野口裕一さんを加えた3名が鐵隼の中心人物。

シェイクダウンはかなりの好印象!

そんな鐵隼が初めて筑波を走ったのは、レースの約10日前となる5月6日。やはりレーサーとしては規格外の重さが影響してサスセットが合わず、油温の上昇といった問題にも直面したものの、ラップタイムは59秒台と、シェイクダウンとしてはかなりの好タイムをマークした。

「想像していたよりファーストインプレッションは良かった。大きく振られることもなく、安全に乗れるマシンに仕上がっている。メカニックに感謝だね。ただ、1300ccもあると今まで経験のないシフトショックが出たり、バックトルクリミッターがないなどの苦労もある。そこは“人間アジャスト”で対応したい(加賀山さん)」

レースウィークは今までの経験を全て放り込んで勝負したいと語る加賀山さん。今回のハーキュリーズには常連勢に加え、新たに参戦する注目チームも多く、かなりの激戦が予想される。そんな中で、性能的には決して有利とは言えない鐵隼の戦いぶりに注目したいところだ。

シェイクダウンで筑波サーキットを走る鐵隼(写真:佐藤寿宏)。重量は感じるもレーシングスピードで安全に走れる、というのが加賀山さんの第一印象。

不具合や課題はあったものの、59秒台で安定して周回してみせた鐵隼。「カタナ1000Rで戦ってきた経験が生きている」と加賀山さん。

レース界を盛り上げるため、何でもやる!

先にも述べたとおり、加賀山さんは「日本のレース界を盛り上げたい!」という強い意志を持っている。今年から「ヨシムラスズキライドウィン」のチーム監督を務め、全日本JSB1000で渡辺一樹選手を走らせるのももちろん、地元・横浜のイベントで一日警察署長を務めたことなども、全てはモータースポーツに興味を持ってもらい、サーキットに足を運んでもらうためだと語る。

それはもちろん、鐵隼によるT.O.T参戦もまったく同じだ。5月15日のハーキュリーズ決勝まであと3日。何かと話題を提供し続け、日本のモータースポーツ界を盛り上げるべく尽力しているチーム加賀山を、あなたも是非応援して欲しい

5月5日に神奈川県横浜市の元町商店街で開催された「元町 安全・安心Day2022」で、タレントの出川哲朗さんたちと一日警察署長を務めた加賀山さん。共に全日本を戦う渡辺一樹選手もツナギ姿で登場!

早くカラーリングされた姿を見たい…というわけで、ヤングマシン編集部が鐵隼のカラーリングを勝手に予想! 実際どんなカラーになるのかは…5/14開幕のT.O.T本番をお楽しみに!(CG製作:SRD)

鐵隼の予想CGは、2018年の全日本JSB1000を戦ったチーム加賀山のGSX-R1000のイメージを投影したもの。実車はどうなる?(写真:佐藤寿宏)

もういっちょ勝手に予想! チーム加賀山のイメージカラー・ブルーの単色で大人っぽくまとめてみました。レーサーっぽくはないけど、こんなのもアリ!?(CG:SRD)


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