いろいろ短い”短い同盟”に光明を!![ゴー・ライド]

小柄な体格でも大型アドベンチャー=アフリカツインを安全に乗りこなす攻略法〈”短い”あるある〉

小柄な体格でも大型アドベンチャー=アフリカツインを安全に乗りこなす攻略法〈"短い"あるある〉

●文:ゴーライド編集部(小泉裕子) ●写真:長谷川徹

愛車を選ぶのに、体格を理由に購入を断念したことはあるだろうか? 重い/高いシート高/大きい車体と3拍子揃った大型アドベンチャーモデルなど、まさにその筆頭に上がるだろう。しかもダート走行ともなれば、腰が引けてしまう人も多いハズ。今回、オフロードマシン総合誌『ゴー・ライド』の副編集長コイ(身長156cm弱)がいろいろ短い”短い同盟”を代表して、ホンダCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES DCTを試乗。舗装路からダート走行まで、”短い目線”でインプレしつつ、短いあるあるを攻略する技を伝授しちゃうゾ!!

小柄な体格でも大型アドベンチャー=アフリカツインを安全に乗りこなす攻略法
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【副編コイ】オフロードマシンの野駆け、アウトドアキャンプを楽しむオフロードマシン総合誌『ゴー・ライド』の名物副編集長。ふだんはハスクバーナFE250を足に使い、ドゥカティ848evo、モンスター695、アプリリアRS125などオンロードモデルも複数所有するツワモノ。写真は、身長156cm弱の副編コイが直立させた新型アフリカツインと並んだ状態。

低身長の前に立ちはだかるビックオフ

今回チャレンジするのは、’20年に登場したホンダCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES DCT。アフリカツインといえば、ダカールレプリカとして登場した元祖”ビックオフ”だ。もちろんこの新型アフリカツインも例に漏れず、重い/高いシート高/大きい車体を、156cm弱と標準より低身長の部類に入る筆者(副編コイ)に突きつけてくる。

ホンダCRF110Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES DCT
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【HONDA CRF1100L AFRICA TWIN ADVENTURE SPORTS ES DCT】■全長/全幅/全高:2310/960/1520mm 軸距1560mm シート高830/810mm(ローポジション) 車重250kg ■水冷4ストローク並列2気筒OHC4バルブ 1082cc 102ps/7500rpm 10.7kg-m/6250rpm 変速機6段 燃料タンク容量:24L ●タイヤサイズF=90/90-21M/C R=150/70-18M/C ●価格:205万7000円

だがこの新型アフリカツインは、今までになくいろいろ短い我ら(以下、短い同盟)にとってありがたい変化を遂げている。まず新設計のフレームは1.8kg軽くなり、シートレール前方部の幅が40mmスリムに(といっても十分デカイけど)。これまた新設計のエンジンは2.2kg軽量化、スイングアームも500gの軽量化。

さらに燃料タンクはシート下部の断面が20mm狭くなるなど、ふんわりと変化を並べてみただけでも、だいぶ縮んで軽くなってるような印象を数字からは受ける。そしてシートをはめる位置を変えるだけで、シート高をノーマル(830mm)かロー(810mm)に簡単にチェンジできてしまうのだ。といいつつも、やはりマシンを目の前にすると、ドデカい…。

“短い同盟”でもマシンが動いている時は問題なし!!

“短いあるある”のひとつとして、走っている時はなんの問題もなく普通に走れるということがある。高速走行はもちろん低速走行でも、とにかく”マシンが動いている”時は身長も手足の長さも大きな問題じゃないのだ。

ただ、走行時は問題ないといいつつも、ウインドシールドの位置がちょうど目線にかぶってしまったり、ダート走行中に障害物にあたってズレたミラーを走りながら直そうとすると手が届かない、手元のスイッチ類に握りをいちいちズラさないと届かないなど、ノーマルのままでは物理的に解決できない問題はある。

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短コイが新型アフリカツインに乗ると、パッと見、アフリカツインだけが走って見える。直線時の姿勢だと、シールドスクリーンのトップがちょうど目線にカブり、コーナリング時の少し腰を落とした状態だと、完全に目の前はスクリーンになるので、スクリーンがひどく汚れたり雨天時は視界が極端に悪くなりそうだった。なのでスクリーンの高さは一番低い位置一択になる。

“短い同盟”にとって停車時や取り回しが一番危険

“短い同盟”にとって、バイクは走っている時ではなく、止まっている時が一番危険に満ちている。もちろん止まろうとする時も同じ。そこで、短コイ流”大きいorシート高いバイクでもスンッと余裕〜に停車する技”をご紹介する。

舗装路での信号待ちを例にしたが、この方法は路面状況がボコボコしたダート路面でも有効だ。ポイントは身体をフリーダムにして、体幹を使って状況に合わせて左右どちらでも足を安定して下ろせるようにバランスをとること。

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お、信号が赤になりそう。少し腰を浮かしてどちらでも足を下ろせる体勢に身体をシフト!

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日本は道路の左側に下がるように傾斜がついてることが多いので、より地面が近い右側に腰をズラして着地。この時左足はフリーにしてバランスを取る。もし停車時に急に強い風が吹いてもこのフリーの左足でバランスをヒョイヒョイ取れるのだ。

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体勢が整ったら、バランスを取っていた左足をそっとステップに乗せる。はい、普通に不安なく止まってる画が完成! 

ノーマルとローダウンで足着きチェック

新型アフリカツインは前述した通り、全体的に縮んで軽量化されているだけでなく、シートをはめる位置を変えることでシート高をローダウンすることができる。実際どれだけ変わるのかチェックしてみた。ちなみにローダウンしているかしていないかの違いは、シートとタンデムシートの形状でわかる。シートとタンデムシートがフラットなのがノーマルだ。

ノーマルポジションだと身体のあちこちが突っ張る

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(右)上体のバランス重視で座った場合、腰のズラしを最小限にしたところ、左足のカカトが浮いた。(左)両足を着こうとすると、左足は親指のみが接地した。左足を完全に接地させた場合、かなり腰をズラしたことで右腕がつっぱり前傾になった。 [写真タップで拡大]

ローポジションならだいぶ体勢に余裕を持てる

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(右)上体のバランス重視で座った場合、腰ズラしを最小限にしたところ、左足はカカトがほんの少し浮いた。(左)両足を着こうとすると、左足は足の指3〜4本が接地した。左足を完全に接地させた場合、右腕に余裕がある範囲の腰ズラしで安定した。 [写真タップで拡大]

足着き系”短い同盟”あるある:乗り降り時のキケン

シート高の高いマシンに乗る時、たいがいの人はスタンドを下ろし、跨ってからスタンドを払う。そして降りる時はスタンドを出し、スタンドが接地したのを確認してマシンから降りるだろう。

だが”短い同盟”の場合、そもそもスタンドに足が届かない、という事例が発生する。マシンから降りる時に腰を右側にズラし、右足でマシンを支えた状態で左足でスタンドを払……えないのである。

また、マシンに乗る時にスタンドをかけたまま乗る。スタンドを払うためにマシンをまっすぐに起こ……せないのである。体力のある男の人なら力技でいけるだろう。だが、軽量化したとはいえ車重250kg。勢いでマシンをまっすぐに立てた時、勢い余って右側に倒れてしまう危険も跳ね上がるのだ。

つまり、”短い同盟”だともれなく教習所で習った”スタンドを払ってマシンに跨る”がマストになる。軽いトレールマシンならエンジンをかけ1速に入れて三角乗りなど有効だが、大型アドベンチャーモデルは慎重に乗り降りしたい。とくに後ろに荷物を積むような乗り方が多くなるなら、購入した瞬間にガイド付きのスタンドなどカスタムパーツでフォローしよう。カスタムパーツは強い味方なのだ。

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ノーマルポジションとローポジションで試したところ、ローポジションだとかろうじてスタンドを出すことができた。ノーマルでは左足はスタンドにかすりもしなかった。

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跨るだけで足が伸びきってしまうので、力を入れづらい。無理に地面を蹴りすぎるとバランスを崩す危険も。

ダートでも安全に取り回しをする方法

何度も言うが、マシンを走らせるだけなら”短い同盟”でもなんら問題はない。足着きにせよマシンのサイズにせよ、大きく関わってくるのは駐停車時やマシンを引き回す時なのだ。

そして林道などダート走行では、さらにその割合は大きくなる。ただ”短い同盟”とはいえども、大型アドベンチャーモデルでも自在に操れるスキルを持つ人はそれでいい。だが、そうではない場合、狭いダート林道でのUターンなどはまず降りてから行うのが賢明だ。

そこで、”短い同盟”でも比較的安全にできる、足場の悪いダートでの取り回しによるUターンを紹介する。自分の身体バランスと重さに対するマシンのバランス感をしっかりと身体に覚え込ませると、大きさや重さに対する苦手意識が減るハズだ。Uターンを制すれば、もうそのマシンを制したも同然となる!!

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短い同盟だと取り回しのために下半身を踏ん張りつつ両手をハンドルにかけると、腕はギリギリまで伸びてしまう。この時、上体がどこまでマシン側に持っていかれるかを把握しておこう。

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そこからUターンのためにハンドルを切ると、上半身ごとさらに外側に持っていかれる。

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マシンに胸/腹/腰を密着させ、バランスを取りながら取り回す。この時、短コイの右手はブレーキレバーに届いていない。ブレーキを使えないので、重くなるがあえてローギヤ(MTモードorMT車の場合)に入れることでマシンの制動をコントロールする。なお、このCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES DCTはハンドル左にパーキングブレーキがついている。

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短い同盟はこの形をキープすることが重要!! どんなバイクでも指1本で押さえるだけで自立するバランスを持っている。最小限の傾きで済むように自分の身体バランスとの合致ポイントを見つけ出そう。

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Uターンを制する者はマシンを制す!! 抵抗の多いダート路面で練習すれば、取り回し時の細かなマシンからのレスポンスや倒れグセなどを掴みやすい。

マシンと一体化する走りで、重さや大きさの恐怖を克服する

身長が高くて足も長く、まるでアドベンチャーモデルを乗りこなすための肉体をすべて持っているようなラリーライダーがいつだったか言っていた、「大きい人より小さい人の方が、本当はライダーとして恵まれた体格なのだ」という言葉。重心も低く、そして軽く、身体がよりマシンと一体化できるということなのだろうか? 一度きちんと聞いてみたいものである。

新型アフリカツインで舗装路を走行するぶんにはオンロードな乗り方で普通に楽しめるが、ダート走行時に、ふと後輪の滑る感覚が軽いオフロードマシンでの感覚より恐怖を伴ったりする。もちろん抜群の電子制御たちがいい仕事をして立て直してくれるわけなのだが、直感的な大きい/重いが頭をよぎる。

この時、エンジンの真上に自分の身体を持ってくると、車体からくる重みの圧を一切感じなくなる。後輪が滑っていても、軽いオフロードマシンでの滑りと同等の感覚で「あぁ今滑っているな」で終わるのだ。

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エンジンの真上あたりに自分の重心を持っていくことで、感覚がよりマシンと一体化して1輪で走っているような錯覚を覚えることも。

まずは触れ合って、乗ってみよう

筆者もこれまで「アフリカツインってすごいね」と思いつつ、自分の人生で乗ることはないだろうと思っていた。なぜなら、アフリカツインは畏怖の念を抱くアドベンチャーモデルの中でもトップクラスに大きくて重そうで、それでいてアドベンチャーらしくシート高ももれなく高いという、敬遠する材料しかなかったからだ。アドベンチャーモデルで颯爽と旅に出る、といった憧れはもちろんある。が、あまりにも自分の選択肢に入らなくて興味が一切湧かない。これがアフリカツインに対する筆者のリアルな心情だった。

だが、今回こうして新型アフリカツインと触れ合い、実際ダート走行までしたことで、自分の中にあった”ビックオフ”への苦手意識やネガティブなイメージがだいぶ薄れたような気がする。

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ヒラヒラとコーナリングでも軽快に走ってくれる。オンもオフもモードを変えるだけでどちらも楽しめる、短い同盟期待のアドベンチャーマシン・新型アフリカツイン。

“短い同盟”がアドベンチャー系マシンを操れるか否かは、足着きやライテクなどの問題ではない

大型アドベンチャーモデルに乗るのに必要なのは大きく言って2点。ひとつめはマシンを取り回す時に左右にハンドルを振っても両手がハンドルに届くこと。そしてその時ブレーキレバーを操作できること。ふたつめはマシンからの最低限の重さを支えることができる下半身の筋力と、不安定な路面に対する自身とマシンのバランス感覚をしっかりと持つこと。それさえできれば普通に乗れます!

ハンドルまわりについてはハンドル角度や突き出しやレバーの角度を調整するなどで解決可能だ。ちょこっとイジるだけで身体に合わせることができるのも、今回の新型アフリカツインのスリム化&軽量化されたフレームのおかげ。絞るところは絞ってあるスタイルが、短い同盟でも寄り添える形状になっているのだ。

下半身については「筋トレをしよう!」に限る。また、自分が停車時のマシンの傾きにどこまで対応できるのかを、マシンを実際に左右に揺らしながら確かめてみるのもテ。この場合は危ないので誰かに補助してもらおう。

“短い同盟”でなければ気にもならないであろう点や攻略法を知った上で、ぜひ新型アフリカツインと触れ合う時間を作ってみることをオススメする。アドベンチャーモデルへの敷居が下がるハズだ。まさに目からウロコ!


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※この記事はオフロードバイク総合誌『オフロードマシン ゴー・ライド』に掲載したものを加筆修正したものです。最新の雑誌は書店もしくは下記サイトにてお買い求めください。

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