文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:増井貴光 ●取材協力:HSC沼津
これぞ純正クラブスタイル
いつの時代もカスタムトレンドが生まれるのはアメリカ西海岸。より速く、より遠くへ、そうして生み出された「クラブスタイル」も発端はそこにある。
ハードな走りにも対応する剛性の高いシャシーを持つダイナやFXRをベースに、信頼性の高いツインカムのチューニングモーターを積み、足まわりを強化。ハイスピードに耐えるためのフェアリングやTバーで武装するというのが、お決まりのスタイルだ。
もちろん、時代の移り変わりとともにトレンドも新たなフェーズへ突入していく。スピードクルーザーとして、最新カスタムではミルウォーキーエイト・ソフテイルがベースとなっていくのは必然だろう。走りのパフォーマンスを求めたとき、現行M8ソフテイルは伸びしろを含め最強。すでに珍しくなくなっているが、今後一気にM8ソフテイルベースのクラブスタイルが増殖する可能性は高い。
HSC沼津が手がけた1台は、FXBBストリートボブにクォーターフェアリングをセットし、吸排気をS&Sハイフローエアクリーナー&TWOブラザース2in1フルエキゾーストでモディファイしたもの。肩の高さまで迫り上がったクラッシュバーとサドルマンのダブルシートで、あっという間にそれらしく仕上がった。いかがだろうか?
すっかり出来上がったカスタムスタイルだが、実は肝心なエンジンや足まわりには一切手がつけられていない。
フルノーマルでも十分に効き、コントロールしやすいブレーキ、不足のないサスペンションを標準装備し、パワフルなM8モーターを搭載する2020年式ソフテイルだからこそ、それが大して気にならないのだ。これはM8ソフテイルの大きな強みと言えよう。
マフラー&エアクリーナーはもちろん、ハンドルやシートを自分好みに交換するだけで、これほどに個性をアピールできるM8ソフテイル。今後のカスタムシーンでも、早々に主役となっていくのは間違いなさそうだ。
さて、ベースとなったFXBBストリートボブについても触れておこう。搭載するM8エンジンは107=排気量1745ccで、小振りなLEDヘッドライトやクロススポーク仕様のホイールなどトラディショナルな装いを最新ソフテイルのシャシーにビルドアップ。フューエルタンクもスマートなシルエットだが、容量は13.2リットルを確保し、ツーリングにも対応した。短くカットされた前後フェンダーなど、ストックではチョッパーライクなスタイルとし、軽快感の強い機種となっている。
フロント19/リヤ16インチのオーソドックスなホイールサイズで、クセのないニュートラルなハンドリングも好評を博す。ステップはミッドコントロールで、どんなジャンルのカスタムとも相性がいい。シート高は680mmと低く、女性や小柄なライダーからも絶大な支持を得ている。
車体構成もシンプルで、スポーツスターからのステップアップにも最適なモデル。ビッグツインではもっともリーズナブルな価格設定で、カスタムベースとしてチョイスするのも賢い選択だ。
グリップ位置の高いクラッシュバーで車体を操ると、応答性が高まり旋回時はコーナーの進入からスパンとキレイに寝ていく。過激にM8ソフテイルを走らせるには、うってつけのライディングポジション。リラックスして楽しもうではないか!
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