●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明)
独自理論で乗り心地極上。魔法のじゅうたん感覚
前後17インチの直4クロスオーバーという独自の地位を築くヴェルシス1000。’21モデルでは、スカイフックテクノロジーに基づく最新のショーワ製電子制御サスペンションを獲得した。’19年型から電子制御サスペンション仕様のSEを導入してきたが、新作はアルゴリズムを進化。”まるでバネ上を宙吊りしたように安定させる”という「スカイフック理論」を取り入れたことで、あらゆる路面の乗り心地と追従性が向上した。
ドゥカティも’13年からオーリンズと共同開発したスカイフックの電子制御サスペンション仕様をムルティストラーダに設定するが、日本のショーワ製スカイフックは2輪初。より高度化した制御を実現し、万能ツアラーとしての実力をより高めている。
【スカイフック緊急試乗:接地感があるのがGood!!】スカイフック理論そのものは’13年にドゥカティがムルティストラーダシリーズにて導入しており、目新しさはないのだが、今回のショーワのスカフック制御を体感して驚いたのは、その接地感の強さだ。2輪車は乗り手に路面とタイヤのグリップ状況が伝わりやすい乗り物だ。スポーツ走行の分野ではよく「タイヤを潰してグリップを稼いで…」なんて表現を使うが、これはライダーがサスペンションの反力を利用してタイヤを路面に押し付ける行為だ。だがスカイフック理論は、このバイクならではの乗り方と逆の制御を行う。実際、過去にスカイフック制御搭載車にも乗ってみたこともあるが、理論はわかってもどうにもタイヤの接地感が希薄で不安だった。慣れの問題もあるし、流す程度なら気にならないのだが、攻め始めるとどうにも地に足が着いていないというか不安なのだ。だからこそ、ショーワのスカイフックサスペンションの接地感の強さに驚いた。実際、ショーワ開発陣にそのあたりの話を聞いてみると、それこそがスカイフック制御の採用を見送っていた要因のひとつとのこと。この接地感があれば、悪路の峠もスイスイだろう(谷田貝洋暁)。
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